幼いころ、家の近くにあるやきとり屋さんで母親に買ってもらうやきとりが大好きでした。持ち帰らず、その場でタレがたれないように気をつけながら頬張るんです。ねぎまが一番好き、そしてかわ、たん、はつ・・・
焼きたてだから美味しいのはわかりますが、あの味はそれだけの理由ではないと思います。きっと、焼き鳥の煙の香り、目の前で焼いているライブ感、そして、家やお店ではなく路上で食べるという背徳感。そんなものが全部混ざって、最高の味になっていたのでしょう。
それは、大人になってからもかわらず。いえ、むしろお酒が飲める分、今のほうが幸せなはず。
川崎でそんな焼き鳥を楽しむのなら、ここでしょう!
尻手から徒歩5分、桜並木の路地にあるお肉屋さん「尾原商店」。精肉のほかに店頭でもくもくと狼煙を上げながら焼いている焼き鳥が名物。昨今、高層マンションの建設ラッシュでこの地に移ってきた若い家族が多く、そんな人達も自宅用に買って帰るようです。昔からこの地に住むお父さんたちは、焼き鳥をつまみに軽く一杯、いいですねー。
混ぜて混ぜてー!私も飲みたい♪
注文を受けてから焼き始めるのでちょっと時間かかるわよ、と女将さん。
じゃあそれまでビールでも飲んでいましょうか。缶ビールとカップ酒を販売されているので、それで乾杯。
わかっているじゃない、そうそう、こういうお店にはラガーでしょう。
5分ほど焼いている様子を眺めながら待つと、まるで鮨屋のカウンターにいるかのように、「はい、まずはカシラとハツね」と、焼けた順にお皿へ出してくださいます。
定番の焼き鳥はすべて60円。ちょっと贅沢な串は180円。
リーズナブルなのが嬉しいですね。お肉はさほど大きくはないのですが、これくらいが色々つまめていいです。
ラガーをぐいっと飲んで、焼きたてのカシラを頬張る。うん、これは子供の頃の思い出の味。
世のお子様のいる家庭の皆さま、小さなうちに焼き鳥を食べさせると大人になったら確実に飲兵衛に育ちますよ!(笑)
食べている間も次々とお客さんがやってきます。飲んでいく人は私を入れて4人ほど。その場で食べていく家族連れや、まとめ買いのお姉さんが来るなどお客さんの層は多種多様。老若男女、焼きたての焼き鳥を美味しそうにかぶりつきます。
焼き台はさほど大きくないのですが、手前からも奥からも、二人がかりで串を載せ続けてひたすらに焼いていきます。18時頃にはだんだん品切れが起き始め、私が帰る頃にはシロだけになってしまいました。
確かに、ここは美味しいもん。お店の目の前は桜並木。春はここで立ち飲みをしながら桜を眺めたら気持ちいいんでしょうねー!
ビールを飲み干し、串は欲張って5本も食べて大満足。
ごちそうさま。
(取材・文・撮影/塩見なゆ)
尾原商店
045-572-4439
神奈川県横浜市鶴見区矢向4-2-5
8:00~21:00 (飲むのは15時から・品切れ次第終了・日祝定休)
予算800円
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