やきとんの「ひなた」は、上板橋から始まった新進気鋭の大衆酒場。
西の横綱、やきとんの「秋元屋」で修行を積んだ辻さんが展開するお店です。安くて美味しいは当たり前、マニア向けの硬派なもつ焼きメニューだけでなく、コの字酒場にあまり馴染みのない方でも安心して食べられる雰囲気が魅力の人気店です。
上板橋を起点に大山、志村坂上と店を増やし、最近はやきとん以外の飲食店も複数展開する「ひなた」ですが、待望の「ひなた」直系店が池袋西口、マルイの裏にオープン。
秋元屋の流れをくむ味噌ダレのやきとんはもちろんのこと、使い勝手の良さにますます磨きがかかったお店です。
店内は従来のどの店舗よりも広々。白木をつかった清潔感ある明るい店内ですが、しっかりと酒場のムードは維持されています。これまでのお店と違い、カウンター席はハイチェアとなっていて、席に座ると焼担当の方をはじめ、スタッフの方と同じ目線になり、酒場をダイナミックに見渡せます。
テーブル席も明るく広々。煙い、狭いから開放されていて、これならば酒場入門の方にも安心してすすめられます。
料理の構成は基本的にはいっしょ。一本から注文可能なやきとんが100円(以下税別)とリーズナブル。サイドメニューが豊富で、ややバル・ビストロテイストが含まれているのも同様。ただほんのちょっとブラッシュアップもされていて、より頼みたくなる内容が増しているように思えます。
ビールは大樽のハートランド。瓶では赤星ことサッポロラガー。小びんで一番搾り<黒生>。甲類のベースはキンミヤで割り材にホッピー、下町ハイボールも健在です。
男梅サワーに南高梅を追加した特別酎ハイはよくでるとのこと。
冷蔵庫で出番を待つ瓶ビールと一升酒。
ハートランド(中ジョッキ580円)をおしゃれに見せずに、日常的なビールに見せているのが逆に男前かも。昔ながらの中ジョッキサイズが嬉しいです。では乾杯!
ひなたでは系列に魚業態で「魚猫」という酒場を板橋区大山で開いていまして、そちらも大人気。そんなこともあって、やきとん屋でありながら刺身も安くておいしいのが特長。日替わりから気になる魚があれば、悩まず頼むべし。
ということで、生しらす。300円でこのボリュームは素直に嬉しい。ポン酢か醤油をちょっとたらしていただきます。
やきとんは注文を受けてから生から焼き始めるので時間は多少かかります。ただ、下茹でしている串と比べジューシーで、待つ価値は十分にあり。
串が焼けそうなタイミングでサッポロの赤星を。日本最古のビール銘柄は、新しくオープンした店舗に深みを演出してくれます。
ひなたのやきとんが大好物。取材でもプライベートでもよく理由させてもらっています。イチオシ3本はシロたれ、カシラ味噌、タンシタ塩。もちろん、どれを食べても鮮度の良さと炭火の燻した豚油のぱりっとした歯ごたえは文句なしにおいしい。
比較的甘めに仕上げているひなたのタレ。コクがありどこか懐かしい味。そこに赤星が大変良く似合います。
昨今、低温調理のお肉が飲食業界のトレンド。生食の食感を残しつつも加熱処理の安全性を担保できるということから、一時期は市場から消えた豚刺し・牛刺しが復活。ひなたでもかつての人気メニューだった豚刺しが低温調理という新たな手法によって復活。
ハラミユッケやタン、レバ刺しが食べられるのは嬉しい限り。もちろん火は通っているので食感は多少違いますが、それでもあの頃の味を思い出します。
下町ハイボールは、キンミヤとナイショのエキスをあわせた色付きハイボール。最近は宝酒造が「焼酎ハイボール」シリーズを展開し広く市民権を得た甲類ハイボールです。氷を入れないこだわりは継続中。
店舗数が増え、お店もキレイにより広い層が利用できる店舗となったひなたですが、お店の方の想いや、やすくて美味しく楽しいというコンセプトにブレはありません。
東口の「ひなた」よりもカウンター席にゆとりがあり、一人で飲むならばこちらのほうがオススメです。
ごちそうさま。
(取材・文・撮影/塩見 なゆ)
やきとん ひなた 池袋西口店
050-5594-4363
東京都豊島区西池袋3-29-11 ファーストビル 2F
17:00~23:30(土日祝は16:00~・日は23:00まで)
予算2,300円