都営三田線は日比谷や大手町、神保町を通る都心と住宅街を繋ぐ路線。東急目黒線との直通で便利になったものの、他の地下鉄と比べるとちょっぴりマイナーかも。とくに北側は、JR板橋駅を過ぎると他の鉄道と接続する駅もなく、坦々と板橋区の北側エリアを走っています。終点の西高島平は他の路線と接続していない終端駅なので、板橋区で働くか暮らすかしている人以外は乗るきっかけも少ない。
ということもあり、繁華街というものがほとんどなく、赤提灯の数も数えるほど。こちら側に用事がない限り、なかなか飲み歩きはしないと思います。だからこそ、独自の個性を持った酒場があって、23区内ながら地方都市で飲んでいるような気分が味わえるのがおもしろい。
高島平は団地の街ですが、さらにその先、西高島平には板橋トラックターミナルというのがあり、大型トラック700台/日分の貨物取扱能力を持つ物流の拠点です。施設内に宿泊施設もある大規模な事業所で、ここで働く人たちが新高島平の飲み屋の中心。
トラックターミナルの物流関係者が通う酒場「樽八」はそんな数少ない高島平の赤提灯で人気の一軒です。
35年以上続くこの界隈では古いお店。そもそも原っぱだった高島平に開発が始まったのはさほど古い話ではないですし、三田線が西高島平まで開通したのも1970年代後半になってから。ということで、35年というのは新高島平という街ができたころから続くお店になるわけです。
店内はいい味がでています。カウンター、テーブル、そして小上がりの居酒屋定番配置。作業着姿や普段着で飲みに来ている常連さんで盛り上がります。
さて、私も飲みましょう。悩むことなく、大生を。サッポロ黒ラベルの大生が650円とリーズナブル。地元密着の人気店はドリンクの値段設定が安めですね。
状態がとても良い生ビール。やっぱこうでなくちゃ。それでは美味しいビールで乾杯!
浦和の市場から毎日仕入れていると聞きますが、品書きの多さに驚かされます。在庫にできない鮮度が求められる刺身が多い。とくにいわしの刺身があるところが、食べ物がちゃんと回転していることを表しています。
一人だとあまり種類は増やせませんが、500円前後の料理がほとんどなのでグループならばあれこれ食べ比べしても2,000円で満足できそうです。
お通しのマカロニサラダ。ちびちびとまみながら頼んだ料理が来るまでビールを飲み進めましょう。自分の料理が来るまでの間、厨房の様子や近くのお客さんの会話を聞いたりしながら、”そわそわ”するのが実は好き。まわりが何を食べていて、どんな気分で過ごしているのかな、なんて考えるのも酒場の魅力です。
はい、おまちどうさま。と出てきた銀のかたまり。「仕込みしておけば大したことない」、なんて言うけれど、手間のかかっている料理を500円前後で出してくれるのは、やっぱり地方都市の居酒屋に飛び込みで入ったような気分になれていい。
鮭と茸のバターオイル焼き(600円)。真ん中をやけどに気をつけてごそごそと開けたら見えてきました。分厚い鮭の切り身がごろんと入った食べごたえたっぷりの一品。
バターと茸の独特な香りが湯気とともにふわっと広がり、それだけでお酒が進みます。思わず、ふふってにやけて、一人笑っている変な人になりかけました。
豚と白菜のあんかけ豆腐。だしがきいていて、おつゆだけ飲んでもお酒が飲みたくなります。牛もつ煮込みや馬刺しも気になるなー、総合居酒屋なメニューなんだけど、どれも気になるものばかり。
さてさて、ビールからそろそろ日本酒へ切り替えましょうか。お酒の種類はあまり多くないけれど、基本が揃っているので安心。常連さんは皆さんボトルの焼酎を飲まれている様子。いいな、なんだかあったかいな。
板橋区の県境で飲み屋選びをする機会がありましたら、こちらはおすすめです。トラックドライバーの皆さん愛用酒場です。
ごちそうさま。
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(取材・文・撮影/塩見 なゆ)
樽八新高島平店
03-3979-1686
東京都板橋区高島平7-14-5
16:00~24:00(木定休)
予算2,000円