池袋の巨大な地下街に、半世紀以上にわたって続いてきた一軒の立ち食い寿司があります。それが「立喰 さくら寿司」。JR、東武、メトロの各改札から雨に濡れずに行ける抜群の立地ながら、チェーン店にはない魅力あり。豊洲直送の極上ネタと職人の技が、慌ただしい中でもほっぺが緩む時間を作り出します。
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駅の地下迷宮に佇む、昭和からの贈り物

巨大ターミナル・池袋駅。その西口方面へ広がる広大な地下商店街「東武ホープセンター」の一角に、「さくら寿司」の暖簾はかかっています。1969年のホープセンター開業時から、この場所で池袋の変遷を見つめてきた、まさに生き字引のような存在です。

コンコースから店内が見えるガラス張りで、一見すると情緒がないように感じるかもしれません。ですが、駅ナカですから入りやすさも大事。7人ほどでいっぱいになるLの字カウンターで、気風の良い職人さんが迎えてくれます。

回転寿司に限らず安価な店はタッチパネルが主流となった現在でも、ここは職人さんに直接口頭で注文するスタイルを貫いています。私はこれが好き。その日の良いネタを教えてもらったり、好みを伝えたり。屋台から始まった江戸前寿司の魅力のひとつだと思います。
回転寿司とは違った本格感を楽しむ
名物「鮪三種類盛り」で乾杯

飲み物は生ビール(アサヒスーパードライ)をもらって、まずは喉を潤します。さて、何からいただきましょうか。

単品でも頼めますが、まずはこの店自慢のマグロを食べ比べできる「鮪三種類盛り」を頼むのが私のオススメ。

左から大トロ、赤身、中トロ。豊洲直送の自慢の本マグロが三貫揃って、これで880円というのですから驚きです。赤身はねっとりと旨味が濃く、中トロは脂の甘みと赤身のバランスが絶妙。大トロは口の中でふわりととろけ、その余韻が心地良い。
老舗は市場の水産仲卸との関係が深いことが多く、ここ「さくら寿司」でもそれを感じます。
ツメの甘さに誘われて、日本酒がすすむ

自慢の鮪を堪能したら、他のネタにも手を伸ばしたくなります。壁にずらりと並んだ短冊メニューは常時40品以上。しかも1貫77円からと、驚くほど良心的です。

続いては「煮蛤」を。「ニハマ」と呼んで注文してみたり。
絶妙な火入れでふっくらと炊かれた蛤に、甘すぎずキリッとした煮ツメが塗られています。この奥深い味わいには、もうビールではありません。
キリッと冷えた「菊正宗 香り冷酒 雫瓶」をお願いしました。煮蛤のコクと、日本酒の凛とした味わいが口の中で見事に調和します。これぞ、寿司屋で飲む醍醐味です。
職人技が光る、追加の一貫を楽しむ
こうなるともう手が止まりません。1貫から気軽に頼めるのが、この店の嬉しいところ。色々な種類を少しずつ楽しめます。

こちらは珍しい「生牡蠣の握り」(330円)。ぷりっとした大ぶりの生牡蠣がシャリの上に鎮座しています。特筆すべきは、その握り加減。持ち上げて口に運ぶまでは決して崩れないのに、口に入れた瞬間にシャリがはらりとほどけ、牡蠣の磯の香りとクリーミーな旨味が一体となって広がります。まさに職人技。
※季節や市場の入荷事情で寿司種は入れ替わります。


さらに、この日は豊漁だという日本海の「ブリ」、光り物の王道「アジ」、そして上品な白身の「サヨリ」を追加。どれも鮮度が良く、その質の高さに思わず大きく頷いてしまいます。
古き良き会計と、現代の利便性と

楽しい時間はあっという間。混んできたので、そろそろお会計にしましょう。
職人さんに声をかけると、食べた寿司の価格帯ごとに色分けされた札の入った器を渡されます。これを持ってレジへ向かうという、昔ながらのシステム。レジもアナログかと思いきや、ここは電鉄系の商業施設。交通系ICカード決済にももちろん対応しています。
これだけ堪能して、お会計は3,000円台。大満足でお店を後にしました。駅直結で、朝10時から通し営業という懐の深さ。朝飲み、昼飲み好きに嬉しい1軒です。夏場は涼しいことも大事ですよね。
大満足で、帰り道、池袋の地下迷宮で本気で3分ほど迷子になったのは、ここだけの話です。
ごちそうさま。
店舗詳細
- 生ビール 473円
- 日本酒:506円
- 冷酒:550円
- 焼酎:473円
- 緑茶ハイ:550円
- つまみ玉子:77円
- しじみ汁・のり椀:110円
- コハダ・しめ鯖:165円
- あじ・やりいか・えび・赤身:220円
- おすすめ3カン握り:660円
店名 | 立喰 さくら寿司 |
住所 | 東京都豊島区西池袋1-15-9 東武ホープセンター B1F |
営業時間 | 10:00 – 22:00 |
予算 | 3,000円 |
創業 | 1969年 |