御徒町で飲もう、そう考えたときに「もつ焼」という選択肢はなかなか難しい。
湯島のほうまで歩いたとしても、樽平、岩手屋、シンスケなど酒場の銘店はいずれも古典的な居酒屋料理が中心。
JRの高架下、佐原屋もどちらかというと魚系。酒場のかっぱも焼き鳥はあるけれど、やはり鮨屋の系列ということもあり魚を食べるようなお店。
そんなもつ焼不毛地帯に、近年美味しいお店が出来ました。
西武新宿線の野方という小さな駅前から今や東京中にその名を知られるようになったもつ焼の「秋元屋」。そこで修行したご主人が開く、いわゆる秋元屋系の酒場が御徒町に出来ました。ご主人の名前から「まーちゃん」という店名がつけられました。
御徒町駅から清龍上野店の脇を通り、昭和通を越えた先にあります。こんなところに飲み屋あるの?と初めての人は心配するような場所。
小さなお店ですが、毎日ご近所の会社員を中心に常に満員状態となっています。予約ができないというのだから、なおさら入るのは大変。上手く時間を狙って二巡目に入るのがベスト♪
ビールはサッポロラガー、焼酎はキンミヤ、下町ハイボールや三冷ホッピーといった酒場好きが喜ぶチョイスが心憎い。
一杯目はサッポロラガー、通称赤星で乾杯を。
このお店のムードに日本最古のラガーは実によく合います。
そして、すぐにキンミヤへ移行。シャリキンと呼ばれる甲類キンミヤ焼酎を冷凍庫に入れシャリシャリにしたものを飲むんです。度数は25度と高いですが、これが濃さを感じないマイルドな味で美味。
下町の飲み屋ではあたりまえの、天羽の梅というシロップをアクセントにして飲めば、いくらでも飲めてしまいます。
毎日、酒場をめぐり、いろんな人と出会い、もつ焼談義なんてすることも多い私。
下町のお父さんたちは皆口をそろえて「シロが旨い店はイイ店だ」と。
シロって部位によって臭いが出るし、下ごしらえ次第で味が大きく変わり、焼き方だって間違えるとゴムのようになるから難しい。これを絶妙なバランスで出せるお店は、他の部位も美味しいというのが飲兵衛の考え。私も同意。
とにかく、まーちゃんのシロタレは美味。味が濃厚で臭みは一切なくタレとのバランスもいい。この余韻に、キンミヤをふくむのが癖になります。
そして、秋元屋系といえば、やはりこれでしょう。カシラの味噌焼き。
他に例えようのない味で、甘辛くニンニクの効いた絶妙な味噌味が、カシラの脂をまるく包んでいます。かまなくても、とろけるような食感で、一般的なカシラとは完全に別物。
これをつまみたくて御徒町で途中下車する夜も多いです。
チレやフワも、味噌で焼いてもらうとまた味が変わって美味しい。タレと塩のもつ焼きは毎晩のように食べていても、なかなか味噌は食べる機会がなく、ここぞとばかりいただきます。
ニンニクがよく効いているのですが、翌日に残ったことはなく、平日でも安心していただけます。
ただ、店内がこの味噌焼きを作るために漂うニンニクまじりの煙が漂っているのでスーツの方は帰ったら消臭すべし(笑)
三杯ルールということもにく、ひたすらキンミヤを飲み続けていますが、このお店は日本酒もそこそこあります。宮の雪というキンミヤと同じ宮崎本店が作る日本酒だけでなく、あまり見かけない銘柄が入っていることも。
ご主人は本当に飲み屋やお酒が好きな方のようで、お酒のチョイスもなかなかのもの。もつ焼きに合う日本酒は?と聞かれて、プロでも返答に迷いそうな感じですが、ここで飲む日本酒は概ねモツとの相性よし。
煮込みや定番のクシものが揃いますが、小鉢系の普通の酒場メニューは少なめ。
三巡目のお客さんは21時近くにもやってきますので、満足したら長居をせずに次のお店へハシゴされるほうがスマートかな。
カウンターと奥のテーブル席2卓合計20席のお店。できれば、二人で訪問されることをおすすめします。
店員さんは忙しくても、とても気持ちのいい接客をされています。ぜひ、酒場初心者の方を連れて、こういう空間の良さを広めてください♪
ごちそうさま。
(取材・文・撮影/なゆ)
やきとん ま~ちゃん
03-3835-1758
東京都台東区台東4-6-1
17:00~24:00(日祝定休)
予算2,000円