東京メトロ有楽町線の氷川台駅直上に建つ、独特な佇まいの店『屋台 正久保』。駐車場脇の三角地帯に、鉄パイプとベニヤ板を組み合わせてつくった、海の家のような建物です。チープな雰囲気に漂うソースの香り。思わず吸い込まれてしまいます。
目次
浜辺まで16キロメートル離れた海の家
東京メトロ有楽町線で、池袋から和光市方面へ4駅。東京都練馬区の氷川台駅にやってきました。「氷川台」の由来は、近くにある氷川神社から。
1983年の地下鉄開通を機に、鉄道空白地帯だった氷川台は一気にマンション建築など宅地化が進みました。駅の歴史が浅いため、目立った飲み屋街や商店街は存在しませんが、地下鉄駅の出口にはかなり個性的な居酒屋が営業しています。
店名は『屋台 正久保』。都道441号・池袋谷原線と生活道路がY字に交差する三角地帯に建つバラックの建物です。
外観
雰囲気を一言で表すならば「海の家」。店の前まで来ると、ビーチサンダルで来るべきだったと思えるほど。有楽町線で40分乗れば、海を眺める豊洲に着きますが、それにしても浜辺から遠く離れた海の家です。
内観
横の駐車場や、今は使用されていない小さなガソリンスタンド風の事務所を含め、この三角地帯が『正久保』のエリア。外観同様、店内も広く、打ちっぱなしの上に鉄パイプとベニヤ、そして波板(トタンのようなもの)を組み合わせた素材で構成されています。
店の右側は調理場。ベテランの皆さんが忙しく調理しています。
開け広げた扉、そのまま地面の上に並べられた合板の会議机とパイプ椅子。ぶら下がるアサヒの提灯や、日光を避ける立てすだれ。なにもか海の家のよう。
かなり使い込んだ雰囲気ですが、駅の歴史が新しいのと同様に、同店も1990年代になってからオープンしています。
品書き
お酒
樽生ビール(アサヒスーパードライ):500円。日本酒(菊正宗)1合:410円。久保田、八海山、出雲富士:各700円。チューハイ、ウーロンハイ、紅茶ハイ、レモンサワーなど:410円。タルハイ(樽ハイ倶楽部):460円。
なお、開店から19時まではドリンクサービスタイムで、生ビールや酎ハイがとってもお得になります。
プチおつまみ
お好み焼きハーフサイズ:400円、もつ煮込みハーフサイズ:300円、マカロニサラダorポテトサラダ&鶏唐揚:450円、牛スジどて焼ハーフサイズ:360円、正久保サラダハーフサイズ:360円、肉じゃがハーフサイズ:330円。
定番料理
おすすめは、皿うどん:480円、ネギ焼き:400円、活けダコ炙り焼き:350円、ウニクリームコロッケ:380円、パリパリサラダスモークチキン入り:360円。
差し込みメニュー
それにしても品数豊富ですね!
差し込みで揚げ物類が続々追加されています。
カレー春巻:290円、メンチカツ:290円、ハムカツ:290円、アジフライ:290円、カキフライ:430円、ふぐ唐揚:280円など。大粒しゅうまい:290円も気になります。
波音ではなく、石神井川の川音をBGMにして
緑茶ハイ(410円)とアサヒスーパードライ(500円)
店の近く流れる石神井川にかけられた正久保橋が、店名の元になりました。川音が聞こえてくるほどの位置にあり、それがますます海の家気分を高めてくれます。
こんなロケーションで飲むアサヒスーパードライは格別の開放感です。乾杯!
カレー春巻(290円)
揚げ物が多く、地元の皆さんは鶏唐揚を注文されているようですが、差し込みメニューのカレー春巻がきになりました。うん、しっかりカレー入り。
ねぎ焼(400円)
お好み焼き、たこ焼き、ラーメン。品揃えそのものが屋台風なんですよね。ねぎ焼はこの通り、ボリュームたっぷり。
レモンサワー(410円)
となりの席はママ会のようで、皆さんいい感じにメートルをあげています。奥の席は若い家族連れ。入口近くでは背広姿の年配の男性ふたりが日本酒の徳利を傾けています。みなさん自由な時間を満喫されています。
19時までなら、チューハイが200円台だったりとリーズナブル。ハッピーアワーだけが特長ではありません。営業時間が長く、有楽町線の終電頃まで営業しています。以前は朝5時までやっていました。
看板が一部剥がれていたり、トイレが相当古い建物だったりと、かなりディープなオーラが漂っています。ですが、お店の皆さんはとても親切ですし、飲みに集まるお客さんもこの場所の開放感を静かに楽しむ方ばかり。とても居心地のよい、不思議な海の家風居酒屋です。
ごちそうさま。
(取材・文・撮影/塩見 なゆ)
店名 | 正久保 |
住所 | 東京都練馬区氷川台3丁目37-2 |
営業時間 | 17:00~23:00過ぎ(不定休) |
開業年 | 1990年代 |