浅草「赤垣」 酒夏酒冬、季節の肴で高清水の樽酒を飲む

浅草「赤垣」 酒夏酒冬、季節の肴で高清水の樽酒を飲む

2019年9月11日

1917年創業、浅草の赤垣。老舗酒場が多く残る下町でも、百年続く店はそう多くはありません。現在は3代目が暖簾を守ります。

浅草観光の人々で賑わう新仲見世通りから一本裏に入った静かな路地にあり、長年通う地元の人々が集まる酒場です。浅草でお酒を飲む場所と言えば、やはり有名なのは吾妻橋交差点角にある大箱レストランや、開放感に浸れる煮込み横丁になりますが、小路にある落ち着いたお店で飲むのも風情があっていいものです。

L字カウンターで7席ほど、そして入口近くにテーブル席というコンパクトな造りで、カウンターに立つ大将が店内を無理なく見渡せます。こちらも、大将や女将さんのお仕事をぼんやり眺めつつ酔を進めます。この距離感が絶妙です。

ビールは、吾妻橋のビール、アサヒスーパードライ。吾妻橋の工場機能は足柄(神奈川県)に移されましたが、吾妻橋のビールという印象はこの街で長く飲む人々に刻まれています。では乾杯!

スーパードライの中生(550円)、ビール大瓶(700円)はアサヒに加え、キリンも選べます。酎ハイ類は500円均一。赤垣でぜひおすすめしたい飲み物は、秋田市川元の酒蔵・秋田酒類製造がつくる高清水樽酒(500円)です。店の看板にも入る高清水、カウンターに置かれた樽から注ぐ一杯をぜひ。

旬の魚介類を中心に大衆酒場のスタンダードな料理が揃っています。お刺身はカンパチ、くじら、しめ鯖、まぐろなど800円前後。ハムカツ、エイヒレ、げそ焼きなどが500円。イワシフライ、カキフライや白えびかき揚げ(700円)など季節ものの揚げ物も充実しています。

今日はこはだ酢(500円)の気分。〆がちょうどよく、日本酒なしで食べるのはもったいないくらい。しめ鯖と並ぶ赤垣の定番の肴です。

いただくお酒はもちろん高清水。樽の風味がほどよくついてマイルドな旨味と甘さを感じます。

はまぐりとまでは言わずとも、かなり立派なアサリをつかった酒蒸し(500円)。優しい味がお店の雰囲気と交わり、心をほぐしてくれるよう。

店の外を行き交う人々。そのうち、人影が近づき「こんばんは」と暖簾をくぐって常連さがいらっしゃる。お店は優しい空気で満ちていて忙しなさとは別世界です。

ごちそうさま。

(取材・文・撮影/塩見 なゆ)

赤垣
http://www.akagaki.com/
03-3844-2327
東京都台東区浅草1-23-3
17:00~23:00(土は16:00~・日は15:00~・水定休)
予算2,800円