プラハ「プルゼニ・レストラン」 音楽ホールの地下にある巨大なビアホールで乾杯!

プラハ「プルゼニ・レストラン」 音楽ホールの地下にある巨大なビアホールで乾杯!

2019年5月3日

日本で一般的なビールのタイプといえば、ピルスナー。ラガービールもピルスナーの一種です。世界的に見てもメジャーなピルスナーですが、その発祥はチェコの街、ピルゼン(プルゼニ/チェコ語: Plzeň)だということは、ビールマニアや海外旅行好きでないと、あまり知られていないかもしれません。

ピルゼンのビールだからピルスナー。1842年に登場したピルスナーの原点の銘柄「ピルスナーウルケル」(ウルケルは源泉という意味)は現在もピルゼンで醸造されています。2017年、東京・吾妻橋のアサヒグループホールディングスが事業買収を行い、現在はアサヒの傘下となっています。そのため、日本の飲食店でも、この原点と言えるピルスナーウルケルが飲める機会が増えています。

実際にどんな場所で飲まれているのか、チェコへ赴き現地のビアホール「プルゼニ・レストラン」の様子を取材してきましたのでご覧ください。

 

ここはチェコの首都、プラハ。ピルゼンからは北東に100キロに位置します。世界一美しいと讃えられるチェコの歴史地区は、街全体が世界遺産に登録されています。1000年の街の発展の中で、ロマネスク、ゴシック、ルネサンス、ロココ、アール・ヌーヴォーとあらゆる時代の建物が調和し、21世紀の今にもそのまま残っています。

 

ミュンヘンから国際急行列車(ALEX)に乗って5時間。ビールの里・ミュンヘンからピルゼンを経由しプラハまで走るこの列車は、ビール好きの憧れの地を結んでいます。残念ながら食堂車は連結されていないので樽ビールを車内で飲むことはかないませんが、持ち込みと車内の飲酒は可能です。※ドイツ人の皆さんは午前中の便にもかかわらず、勢いよく飲んでいました。

 

プラハ中央駅。ドイツ語でも英語でもなく、ここはチェコ語が公用語。駅前のキオスクでは早速樽詰めのピルスナーを売っていて、長い列車旅の疲れを癒やしてくれました。

 

細い路地をぐいぐいとトラムが駆け抜け、石畳の道の両脇ではたくさんのお土産物屋やチョココロネを売るスタンドが並びます。

 

世界屈指の観光地、世界中から人が集まります。ここはプラハ最古の石橋「カレル橋」。

 

プラハの中央を流れる雄大なヴルタヴァ川。チェコ最長の川で、北ドイツ平原でラベ川に合流し、ハンブルクなどを経由し北海へ流れています。このヴルタヴァ川水系の水がピルスナーづくりに欠かせません。

 

目指すビアホール・プルゼニ・レストランは旧市街の中央に位置しています。

 

どれがビアホール?と思いませんか。この写真の建物がビアホールなのです。ここは市民会館(Obecní dům)で、プラハの春国際音楽祭が開かれるスメタナ・ホールもこの建物にあります。映画にもなった漫画原作の人気ドラマ「のだめカンタービレ」(フジテレビ系)の舞台として登場しました。

ここを本拠地とするチェコ交響楽団などが毎日のようにクラシックコンサートを開いています。タイミングが良いと歌舞伎座の幕見のように飛び込みで鑑賞できることも。スメタナはもちろん、ドボルザークやマーラーの曲が演奏されているホールの地下がビアホールというのは、チェコの文化を凝縮したようで興味深いと思いませんか。

 

ビアホールの名前は、ずばりプルゼニ・レストラン。午前11時30分から夜11時まで通しで営業しています。

 

コンサートホールのロビーの脇から地下へ降りていく、なんだか不思議な気分です。

 

200席以上あるというプレゼニ・レストラン。アールヌーヴォー様式の美しい装飾には、ホップや大麦などビールの原料がモチーフにされています。

 

本場のビアホールは、ビールを飲む場所という以上に、空間に酔うものなのかもしれません。1900年初頭、プラハ市迎賓館として建てられた施設で、様々なチェコの歴史に登場する場所です。

 

クロークはなく気軽に入れます。もちろん一人でもOK。どうぞ、と席に通されてて、そのままハーフリッターのピルスナーウルケル(Pilsner Urquell )をオーダー。すぐにもってきてくれて、では乾杯!

500mlジョッキで97CZK、日本円で470円(掲載日時点)ほどなので、この空間で飲むことを考えればリーズナブルです。

 

持ってきてくれたメニューブックは写真つき。チェコでビールを飲むならば、まずはここ!とプラハ市も案内しているレストランなので、外国からの観光客にも優しいです。チェコ語だけだったらどうしよう…と心配していましたが(笑)

 

チェコ語、ドイツ語、フランス語、そして日本語もあります。「プラハハム・西洋わさびのきゅうりピクルス付」(185CZK)など、丁寧な表記が嬉しいです。

 

南ボヘミアのカワマスグリル(370CZK)はありますが、チェコ料理は肉料理が中心。メインディッシュでは子羊のコンフィ ローズマリー入りマッシュポテトとベジタリアルラタトゥユ(495CZK)やポークヒレカツのミニステーキ ローストポテト クリームソースきのこ添え(395CZK)など。

メニュー(公式サイト)

 

とくにコース仕立てで頼む必要はなく、気軽なビアホールなので最初からメインディッシュ。お店の看板料理で、チェコ伝統のお祝いの逸品、ローストダック/Pecena Kachna(15時までは380CZK・以降445CZK)です。

 

ボヘミア料理の中でもトラディショナルなスペシャリテ、とウエイターさん。パリッとした皮とジューシーかつもちもちの肉。

 

脂は多少あるものの鴨肉なのでしつこさはなく、ハーブ漬けにされていることで風味も爽やかです。

 

滴る肉汁はクネドリーキやポテトダンプリングに染み込み、プレート全体が素敵なビールのおつまみです。

 

ややジャムのように甘く煮込まれた赤キャベツとの相性もなかなか。日本ではあまり馴染みのない味付けながら、一度味を知ってしまうとまた食べたくなる、本当に美味しい料理です。

 

取材は開店直後のためお客さんは居ませんが、お昼ごろにはガヤガヤと大賑わい。楽団の生演奏もあって、プラハの民謡などで明るく楽しくビールが進みます。

コンサートホール地下の巨大なビアホールで、地元の人達と一緒に盛り上がる素敵なひとときでした。一人あたりのビール消費量世界一のチェコへ皆さまもぜひ!

ごちそうさま。

 

(取材・文・撮影/塩見 なゆ)

 

プルゼニ・レストラン(Pilsen Restaurant Prag/プルゼニュスカー・レスタウラツ)
+420 222 002 780
nám. Republiky 5, 110 00 Staré Město, チェコ
11:30~23:00(不定休・イベント等で貸し切りになる場合あり)
予算600CZK