海外の飲食店の話もときおり入れていこうと思います。飲み屋さんは世界中にありますから。
バンクーバーはギャスタウンにある「スチームワークス」は、この街を訪れるお酒好きにはぜひおすすめしたいビアホールです。
いま、カナダは日本同様にクラフトビールブームがきており、とくにブルワリー併設レストランは注目されていました。そんなバンクーバーのブルワリーレストランの中でも定番の店がこちらです。
太平洋に面したカナダの都市、バンクーバー(Vancouver)の都市圏人口は210万人。カナダで第三位の規模をもつ北米有数の世界都市です。
港に面したバンクーバー。東カナダから続く大陸横断鉄道の終着駅が街の中心にあります。入り組んだ天然の港と広大な大地が結ぶ場所として古くから栄えてきた歴史ある街でもあります。2010年にはバンクーバーオリンピックが開催されたことでも知られていますね。
日本に例えるとしたら、横浜でしょうか。いまも貨客ともに大型船舶がひっきりなしに出入りしています。ターミナル近くに建つ「ハーバー・センター・タワー ( Harbour Centre Tower)」からはそんなバンクーバーの構造が見渡せます。船のような形をした港に突き出した白い建物はバンクーバーコンベンションセンター。
バンクーバーの街発祥の地「ギャスタウン」。1800年代に港と製材所が設けられ、以来ずっと都市の中心となる原点の街は、19世紀から20世紀にかけての開拓ロマンが感じられます。蒸気機関で動作する「蒸気時計」がシンボルです。
港、タワー、蒸気時計、そしてこれがバンクーバーウォーターフロント駅。長距離列車のほか、トロリーバス網やスカイトレイン(地下鉄)も集結するターミナルです。
建物遺産に指定された立派な建造物が多く、駅もまた立派です。スタバとキオスクがあり、駅前には飲食店や雑貨屋が並ぶので感覚的には日本とかわりません。
開業初期の頃から使われていた蒸気機関車が保存されています。元カナダ国鉄マンが「カナダは木材が豊富だから石炭ではなく木で走るんだ」と教えてくれました。
そんなギャスタウンの中心街、ウォーターフロント駅のすぐ脇に店を構える「スチームワークスブリューイング」。店名はここまで話してきた通り、蒸気機関によって開拓されてきた歴史が由来であり、ビールづくりそのものも蒸気の力で行われています。
11:30から通しで営業していて、早い時間からベテランの常連さんたちがビール片手に語り合っています。テレビは野球やテニスの中継が流れていますが、日本のように夢中に見ている人はいなくて、時折結果を気にする程度。
カウンターには定番のスピリッツが顔を揃え、立派なタップがピカピカに磨き上げられています。
奥に広いお店で、お昼どきはこのように余裕があるものの、19時頃には100席以上あるビアホールは満席になる賑わいです。なぜ知っているかって?それは、バンクーバー滞在時、毎日通っていたから(笑)
創業は1995年と、ギャスタウンでは若手にはいるお店ですが、客層やロケーションは十分に異国のビアパブで飲みたい心を満たしてくれます。
ラガー、ピルスナー、ライトラガー、サマーエール、バンクーバーヴァイス(ベルギー風)、ペールエール、レッドエール、IPAは2種類、スタウトとドラフトだけでもなかなかの品揃え。ガイドブックには、「黒ビールをはじめ、クラフトビールらしいしっかりした味が楽しめる」のように紹介されていますが、ビール好きの方ならばより深く魅力を知ることができると思います。
ボトルではジャスミンエールやトロピカルエールなんて変わり種も。
ビールだけでなく、バックバーに並ぶ洋酒でつくるカクテルや、グラスでC$8程度のワインも充実しています。
サマーエールとピルスナー。まずは標準的なところから乾杯。
バンクーバーのレストランブルワリーを何軒か巡りましたが、この街のクラフトビールはどれも大変美味しいです。複雑な味わいにピンとたつ個性もあるのですが、飲み心地はどれも爽快さがあり、日本であれほどビールを飲んでいても「おお、これはハマる!」と改めて感じさせてくれる味でした。
ムール貝のトマトクリームソース。たっぷりもられてやってきました。港町バンクーバーは料理も海鮮が豊富、いえ、むしろ外食においては魚介類がメインになっているようです。
ビールとあうことは間違いなし。ガーリックトーストをこのソースにつけて頬張れば、ますますビールが進みます。
BC州を代表する海産物と言えばサーモン。寿司屋にはいってもイタリアンにいっても、こうしてビアホールにきてもサーモンがあり、ウェイターさんおすすめのサーモンチャウダーを頼んでみることに。
クリームソースがたっぷりでコクのある味付けで、「シアトルスタイル」なんて呼ばれていますが、シアトルは国境を越えておよそ200キロ先の隣町。バンクーバーもまた、サーモンチャウダーの本場と言ってよさそうです。
バリエーションに富んだビールたち。地階の醸造施設でつくられています。つくられたビールはそのままカウンターに吸い上げられ※て注がれるのですから、美味しいわけです。
※貯蔵や提供時の抽出方法など、複雑な工程がありますが、ここではわかりやすさから省略。
1パイント、ハーフパイントと選べますが、そんなに飲めないよという人には飲み比べセットがおすすめ。自分でメモに書いてオーダーするので頼みやすいです。
全世界共通なのかな、飲み比べセットって(笑)
海と駅と街を眺めて飲める美味しいビールはいかがですか。街の歴史を感じるカジュアルレストランで一杯。
ごちそうさま。
(取材・文・撮影/塩見 なゆ)
Steamworks
(604)6892739
11;30~24:00
www.steamworks.com
予算C$30