雷門通り沿いに暖簾を掲げる『やっ古』は、江戸時代・寛政年間から200年以上続く鰻の名店。長い歴史を持ちながら誰もが入りやすい雰囲気は、さすが下町・浅草です。大正ロマン漂う空間でゆったりと鰻をつまみにお酒も楽しめます。今回は、歴史ある名店で味わう江戸の味「うな重」をご紹介!昼時はお手頃価格です。
幕末の英傑や文豪が通った浅草の名店

雷門の賑わいを抜け、国際通りと交差する雷門1丁目交差点近くに構える堂々とした老舗。
創業は11代将軍・徳川家斉が治めていた寛政年間。嘉永5年発行のグルメガイド『江戸前大蒲焼番付』では前頭筆頭に名を連ね、江戸の町民に愛されてきました。

幕末には勝海舟とジョン万次郎が連れ立って来店した記録が残り、夏目漱石や岡本綺堂らの文学作品にも実名で登場しています。単なる街の美味しい飲食店におさまらず、浅草の歩みをずっと見守ってきた歴史の生き証人と言えますね!
店は建て替えられビルになっていますが、木組みの引き戸と爽やかな青い暖簾はさすがの風格。それでいて、お昼のうな重 3,100円の看板もあって手頃感も十分。このあたりはさすが浅草です。

一歩足を踏み入れると、そこは別世界。見事な格天井にレトロなシャンデリアが下がり、ステンドグラスの仕切りや白いカバーが掛けられた椅子が並ぶ大正ロマンの洋館風です。着物姿の仲居さんが行き交い、お帳場に立つ女将さんの親切な接客にも心温まります。
平日の正午前ならすんなり入れますが、昼時は地元のご隠居さんや家族連れ、国内外の旅行者で大賑わい。老舗にあぐらをかかず、ぴしっとした空気が保たれています。
伝統の技が光る蒲焼には月桂冠

席に着き、まずは常温の月桂冠(1合600円)を注文。涼しげな切子細工のグラスに注ぎ、鰻の焼き上がりを待つ時間はお酒飲みの醍醐味です。鰻が焼けるまで20分ほどかかりますから、人気の「うなぎハム」や定番の「肝わさ」などをつまむのもオススメ。

さて、こちらが今回の主役「うな重」です。ランチタイムに提供される3,100円のうな重は、美しい金色の菊が描かれたお重で運ばれてきます。

少し蒸されたころに蓋を開けると、炭火の香ばしい匂いがふわり。

小ぶりな鰻を使用していますが、職人の焼きの技術が見事です。関東風の背開きで、蒸しを挟んで焼く蒲焼き(備長炭)。

やっ古の特長は、身が崩れる寸前まで柔らかく蒸して余分な脂を丁寧に落としていること。

口に運べば、ほろっとほどける食感。甘さを抑えたキリッとした辛口のタレが素材の味を引き立てており、年配の方でも重たさを感じずに最後まで美味しく味わえます。

通し営業で常にお客さんがやってくる店なので、鰻が新鮮なことはもちろんですが、山椒も回転がよいため風味がとっても華やかなんです。


彩り豊かな麩が浮かぶあっさりとしたお吸いものと、柴漬け、奈良漬けが口の中をさっぱりと流してくれます。
浅草は江戸っ子の粋を今に伝える名店揃い

200年以上の年月を経て受け継がれてきた江戸前の味を、和洋折衷の美しい空間で堪能できる浅草の『やっ古』。徹底的に蒸す焼き方や、独特なあっさりとしたタレなど、確かな味を守りつつ、誰でも温かく迎え入れてくれる姿勢が、長年愛され続ける理由でしょう。
浅草は観光地だかと侮るなかれ。老舗暖簾が百年単位で切磋琢磨するこの街は実力派揃いです。
店舗詳細



うな重 椿:3,300円・梅:4,000円・桜:5,000円・桐:8,000円
| 店名 | やっ古 |
| 住所 | 東京都台東区浅草1丁目10−2 |
| 営業時間 | 11時30分~20時00分 水定休 |
| 創業 | 寛政年間(1789~1800年) |
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