立川『くし秀』60年続く焼鳥名店の名物、若足・せんざん切りとは?

立川『くし秀』60年続く焼鳥名店の名物、若足・せんざん切りとは?

立川駅南口、東京都酒造組合のビルの向かいにある、鳥料理の老舗『くし秀』。昭和38年(1963年)の創業以来、半世紀以上にわたって地元で愛され続ける名店です。酒類関係者も贔屓にすると聞けば、その味への期待は高まります。名物「若足」をはじめとする、奥深い鶏料理の世界をカウンターでじっくりと楽しんできました。

スポンサーリンク

昭和38年から続く、立川の「良き飲み屋」

JR立川駅南口から徒歩数分。週末は予約必須という人気ぶりも納得の、歴史を感じさせる佇まいです。ご主人のルーツは愛媛にあるそうで、それが料理にも反映されています。

店内は、職人の手仕事を間近に眺められるカウンターが特等席。2階には座敷や個室もあり、少人数から宴会まで幅広く対応しています。

「昭和感」あふれる空間ですが、隅々まで清掃が行き届き、非常に清潔。長年磨き上げられてきた空間の心地よさがあります。

パーフェクトな黒ラベルと、地酒を誘う「鶏の塩辛」

サッポロ生ビール黒ラベル

まずは「サッポロザ・パーフェクト黒ラベル」(690円)で喉を潤します。管理の行き届いた生ビールは、一日の疲れを癒やす最初の一杯に最適です。

鶏の塩辛、はじめて食べる料理

お通しとあわせて、すぐに注文したいのが「鶏の塩辛」(480円)。小鉢で提供されるこの一品は、鶏刺しにマグロの酒盗とチーズを合わせた、ありそうでなかった組み合わせです。

酒盗の塩気と旨味、チーズのまろやかなコクが、淡白な鶏刺しの味わいを引き立てます。これはもう、日本酒をお願いせずにはいられません。

浦霞純米は江戸切子のお猪口でいただきます

定番は秋田の「高清水」ですが、今夜は宮城の銘酒「浦霞 純米」を2合(1,650円)で。すっきりとした米の旨味が、これからはじまる鶏料理の数々をしっかりと受け止めてくれます。

必食の「若足」と鮮度抜群の「大山鶏とり刺し」

鮮度の良さが命の「大山鶏のとり刺し」(1,200円)も外せません。

しっとりと柔らかな身は、醤油はもちろん、添えられた柚子胡椒や酢味噌で味の変化を楽しむのも一興です。

奥の小皿は「漬け」。まるで鮪の漬けのようなねっとりとした食感と旨味があり、浦霞が実によくすすみます。

いよいよ真打ち「若足」の登場です。秘伝のタレに漬け込んだ骨付きのもも肉を丸ごと調理した、看板料理にふさわしい迫力ある一皿。豪快に塩をふりかけて焼いていますが、辛すぎこともなく、ビールが進む。

高温で素揚げにしているような、皮はパリッと香ばしく、噛みしめるとジューシーな肉汁が溢れ出します。そこに創業以来継ぎ足してきたという「秘伝のタレ」がたっぷりと絡み、甘辛い風味がたまりません。

今治の郷土の味「せんざん切」と、通好みの串焼き

ご主人のルーツが愛媛と聞き、ぜひ試したかったのが「せんざん切」。今治の方言で「唐揚げ」を意味する郷土料理だそうです。

衣はほんのり甘く、サクサク、フワフワとした独特の食感。対照的に、中の鶏肉はしっとりと柔らか。ビールにも日本酒にも合う、やみつきになる味わいです。衣のレシピも秘伝とのことですが、ココナッツのような風味があり、なかなか食べない味付け。でもあとひく美味しさ!

もちろん、紀州備長炭で焼き上げる串焼きも絶品です。

「つくね」は、濃い黒いタレが印象的。山芋が練り込まれているそうで、フワッとしつつもトロリとした食感が楽しめます。

珍しいところでは、創業当初からのメニューだという「親とり串焼き」(330円)。九州の直火焼きでは雌の親鶏を使うことが多いそうですが、こちらは雄の親鶏。

しっかりとした歯ごたえと、噛むほどに滲み出る凝縮された鶏のコク。好き嫌いは分かれるかもしれませんが、鶏本来の力強い旨味を味わいたい酒飲みには、ぜひおすすめしたい一串です。

立川で半世紀以上愛される、鶏料理専門店の奥深さ

看板の「若足」から、ルーツを感じる「せんざん切」、通好みの「親とり串」まで、鶏の魅力を余すことなく味わえる『くし秀』。店主さんや料理人さんのお人柄もよく楽しく過ごせました。

人気店ゆえ、予約が安心。立川で長く愛され続ける理由が、この店には確かにありました。

店舗詳細

お酒のメニュー
焼鳥と名物のメニュー
シメや小鉢のメニュー
店名くし秀
住所東京都立川市錦町1丁目2−3 田坂ビル
営業時間17時00分~22時30分
創業1963年