毎年秋に開催されている「全国市販酒きき酒会」というイベントをご存知でしょうか。主催は東京小売酒販組合で、もともとは組合員である酒屋さんが仕入れの参考にするための会。ですが、数年前から一般の人も参加できるようになり、これが実におもしろいのです。おつまみはなく、純粋にお酒と向き合う。無駄がなく、自分の好みを知るのにぴったりなイベントをレポートします。
90分2,000円。秋葉原で日本酒の「いま」を知る

2025年10月18日(土)、会場となったのは秋葉原にある東京小売酒販会館。JR秋葉原駅から歩いてすぐの場所です。 参加はWEBからの事前申込制で、参加費は2,000円。3部あり、各回90分の完全入替制となっています。

受付を済ませ、いざ会場内へ。ずらりと並んだお酒の数に圧倒されます。
大手から人気の銘柄、レアな東京の酒まで

この会の特徴は、なんといってもラインナップの幅広さ。

「剣菱」や「菊正宗」といった昔ながらの王道の銘柄から、フルーティーで挑戦的な「月桂冠」の新作「果月 純米・生詰」、そして「獺祭」のような人気の銘柄まで、あらゆるタイプが揃っています。

鑑評会のためだけにつくられた特別なお酒ではなく、すべて「市販酒」。

つまり、私たちが普段お店で買えるお酒ばかりというのがポイント。味見して「美味しい!」と思ったら、その感動のまま街の酒屋さんで探すことができるのです。

日本酒だけでなく、本格焼酎や泡盛、ワインまで並びます。

こちらは近年注目を集めているボタニカルな新ジャンル焼酎。

近年、東京都小売酒販組合は東京都酒造組合との連携を深めていることもあり、東京のお酒コーナーも充実していました。

青ヶ島で造られる「青酎」をはじめ、「澤乃井」や「多満自慢」といった多摩地域の日本酒まで、都内で造られるお酒が一堂に会する光景は壮観です。

利き酒チャレンジで、自分の舌を試す

会場の一角には、利き酒コーナーも設けられています。 日本酒のタイプ(純米酒、吟醸酒など)や辛口・甘口を当てるものや、大手メーカーのビール銘柄を当てる「ききビール」まであります。

参加者はみな真剣な表情。私も挑戦してみましたが、これがなかなか難しい。でも、自分の味覚を試すようで、ゲーム感覚で楽しめます。
90分という時間はあっという間。おつまみがないので、純粋にお酒の香りや味わいに集中できます。全国のお酒を一度に飲み比べられる、まさに「お酒の羅針盤」のようなイベントでした。
来年の秋、お酒選びの参考に

関係者向けの色が濃いためか、会場は落ち着いた雰囲気。大勢で騒ぐイベントとは違い、じっくりとお酒を選びたい大人の日本酒ファンにぴったりです。
毎年10月頃に開催されているようです。自分の好みのタイプを探したり、新しい銘柄に出会ったりする絶好の機会。日本酒好きの方は、来年の開催情報をチェックされてみてはいかがでしょう。