御徒町「(新)味の笛本店」 吉池直営のせんべろ銘店が帰ってきた!

御徒町「(新)味の笛本店」 吉池直営のせんべろ銘店が帰ってきた!

2016年12月7日

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本日ご紹介するお店は、東京の飲み歩きが好きな方ならば、誰もが知っているであろう銘店「味の笛」です。御徒町で長く続く海鮮を得意とした食品企業「吉池」の直営店で、吉池の海鮮の品質は、立ち飲みの味の笛でも同様です。

吉池は古くから御徒町にあるデパート(昭和的な)として認識されている方が多いですが、実は事業は多岐にわたっていて、箱根湯本で温泉旅館をやっていたり、北海道には直営の海鮮食品の加工工場も持っています。

御徒町界隈に多数の飲食店を展開し、魚と酒の仕入力を活かした様々な飲食ビジネスをおこなっています。今で言うところの「ドミナント戦略」ですが、味の笛はじめ各店はそんな派手な感じはありません。まじめで実直、食材に嘘をつかない商売をしているのがかっこいい。

 

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味の笛は、ここ御徒町が本店で、その他神田や、遠く札幌でも立ち飲みを展開しています。(札幌は店名がかわりました。)

JR山手線の高架下で営業していたことから、大規模震災に備えたJR東日本の耐震工事の対象物件となり、一時的に近くに移転。そして、この秋、無事にもとあった場所に戻ってきました。

耐震工事の関係で高架下の銘店が商売をやめてしまうケースもあるなか、久しぶりに明るい話題となりました。

 

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一階が立ち飲み、二階がテーブルのある着席スペースなのですが、味の笛は毎年今の季節は立ち飲みスペースをアメ横の魚屋のごとく、店内を鮭やイクラなど年末年始に向けた食材売り場に変身します。

復活した本店も区別なく、年末は二階飲みが飲み屋として営業中です。

 

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店に並ぶつまみは、食べたいものを自分でとって、最後にドリンクと一緒にお会計をするという流れ。カフェテリアスタイルというか、むしろノンベエたちの間では「味の笛方式」というほうが通じるかもしれません。

 

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使い捨てのパックに入った刺身は、スーパーの刺身売り場からそのままもってきたような感じです。小鉢系もラップに包まれたプラ容器に入っています。これが味気ないという意見も聞きますが、慣れてしまうとこれが味の笛の味だと思ってしまいます。

 

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名物は「笛汁」で、味の笛の看板メニューであり、吉池で吉池で売っている食材がどっさり入った具だくさん汁です。

 

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串かつ、煮魚、焼き魚、なんでもござれ。大皿にどんと盛られているものから自分で好きなものを選んでお会計。

 

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お酒は精算のタイミングで注文です。ビールはアサヒスーパードライで、なんと250円。どれももめちゃくちゃ安い。定番のお酒は、一合瓶ごとお湯に漬かっていて、そのままヒョイととって燗酒を楽しめます。上燗ほどの温度で、一合280円とお値打ちです。

支払いに交通系電子マネー「Suica」が使えるのも味の笛らしさ。立ち飲みでソニーのXperiaをかざして「ピピッ」っと不思議な気分。

 

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吉池という名前は、創業者の実家の屋号からとったもの。新潟出身の高橋氏が赤羽橋で魚屋をはじめたのがきっかけということもあり、新潟の酒と魚を得意とします。定番の越の白鳥も、上越市の第一酒造のお酒です。

 

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ビールはスーパードライ。カップのサイズは小ぶりですが、ビールの回転がよく、サーバーもメンテナンスされているので美味しい一杯が楽しめ、なによりお財布に優しい。

 

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まぐろ刺し、焼鳥、笛汁をつまみにして、晩酌セット完成。1人で飲むなら十分過ぎる量です。

 

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揚げもの、焼き物などはレンジ加熱してくれるので、注文後しばらくしたら「焼鳥の方」と呼び出しがあります。私は焼鳥ではないなんて野暮な態度をとる先輩たちは誰一人居ない。「俺、焼鳥!」とレジへ駆けつけます。

 

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まぐろだけでなく、刺身はどれも結構いいものが並んでいます。

 

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笛汁(400円)は、本当に具だくさん。注文したら奥の大鍋からささっと注がれる。具が圧倒的に多く、鮭や豚、根菜がたっぷりはいって、汁というよりは味噌煮といった感じ。寒い季節に、燗酒と笛汁をあわせてガード下の立ち飲みできゅっとやる。結構身近なところに幸せはあるものです。

テーブルに座れればなによりですが、立ち飲みでちょいと飲んでいくにも便利なお店です。

まだ飲みに行ったことがない方は、もったいないですよー。

ごちそうさま。

 

(取材・文・撮影/塩見 なゆ)

 

味の笛 本店
03-3837-5828
東京都台東区上野5-20-10
15:00~22:00(日定休)
予算1,200円