赤羽『太助』刺身、煮魚、河豚もつく”おまかせ5品”に大満足！昭和44年創業の酒場

赤羽駅北口から5分ほど歩いた場所にある、比較的大きないぶし銀の大衆割烹『太助（だいすけ）』。1969年の創業で、店内には立派な白木のカウンターが広がっています。看板料理はふぐ。ただし、贅沢なふぐコースだけでなく、3,300円の「おまかせ5品」はサービス満点で、日常的な酒場としても十二分に楽しめます。

赤羽に残る職人の店。老舗酒場好きなら一度は行くべき。

赤羽の飲み屋街といえば、有名な酒場が並ぶ赤羽一番街が一般的ですが、この街には駅から離れた場所にも多くの名店と呼ばれる老舗飲食店が存在します。すっかり「酒飲みの聖地」と呼ばれるようになった赤羽では、むしろ駅から離れた酒場のほうが、飲み慣れた人は落ち着けると思います。

今回ご紹介する『太助』も、そのような名店のひとつです。創業から55年が経過し、今も80代の初代大将が板場の中央で包丁を握り、皆さんらと共に店を切り盛りしています。店名の由来は、大将が小学生時代につけられたあだ名「大助」から来ているそうです。

内観

店舗は比較的大きな建物ですが、意外なことに玄関は小さく、事前の評判がなければ飛び込みで訪れるのはやや難しい印象を受けるかもしれません。

それでも、清潔でパリっとした藍色の暖簾は信頼できますし、店内に入って感じる安心感も、暖簾の印象と同じです。年輪が感じられるもののよく手入れがされており、一枚板の白木カウンターがぴしっと広がっています。

品書き

• サッポロ生ビール黒ラベル：小550円・大770円
• サッポロラガービール大瓶：880円
• 清酒 福徳長 日本酒：440円
• 地酒各種：550円～
• おまかせ料理 5品：3,300円
• 然ふぐが楽しめる満足コース：9,350円
• ふぐ寿司：550円
• ふぐのくちばし辛煮：880円
• 一人なべ：1,000円程度から
• 刺身：800円ほど～

おまかせ5品を頼めば間違いない

サッポロラガービール大瓶（880円）

1969年の創業当時から一度も変えたことがないという、ビール銘柄。赤羽は昔からサッポロが強い街ですが、ここ『太助』も定番はサッポロラガーです。赤羽で赤星、さあ乾杯！

おまかせ料理 5品（3,300円）

冒頭でも書きましたように、『太助』の看板料理はふぐで、通年でふぐのコース（約1万円）が楽しめます。ほかにも、刺身や煮魚など5品がセットになった「おまかせ5点」（3,300円）というコースがあり、これがびっくりするほどお得なのです。

最初のお刺身は、分厚くて盛りだくさんです。『おまかせ』ということで内容はその日の仕入れによりますが、この日は本マグロの中トロとかつおの盛り合わせでした。ボリュームだけでなく、モノがいい。老舗の飲食店は、店の歴史の分だけ仕入元との信頼関係があるわけですから、いいものが出ることが多いです。

二品目はあん肝です。脂がのっていて、深い旨さと甘さが心地いい！

3品目は生麩と菜の花で飾り付けたつみれと大根、里芋のおでん。上品な白だしが、ビールから日本酒へのシフトを促します。

まだまだでてきます。4品目は、なんとふぐの唐揚げ。しかも大きく食べごたえあるサイズです。チリチリとした食感と、ふわっと広がる上品な風味がたまりません。

いよいよ5品目。最後は、子持ちカレイの煮付けです。深い味で酒をたっぷり効かせたであろう、甘くて濃厚、東京らしい味付けが嬉しいです。雑多な駅前の大衆店で食べるのとはまた違う、丁寧な料理の数々に癒やされました。

これで5品3,300円はとっても良心的ですし、満足感も高いと思いませんか。

清酒 福徳長（440円）

そんなコースが揃う合間もお酒を飲んでいます。これは日本酒でしょうと頼んだ定番のお燗酒は、灘・御影発祥の和酒メーカー・福徳長酒類の「福徳長」です。芳醇で辛口、燗をつけて”ちびり、ちびり”と飲みたいお酒。

玉露割り（500円ほど）

サッポロ飲料（現ポッカサッポロ）業務用玉露茶をつかった、コクのあるこの味が好き。

太助めし

おまかせ5品で十分満足したのですが、『太助』に来たら食べておきたい〆料理があり、こちらも忘れず注文しました。普段、飲み屋で〆は注文しない人にもおすすめしたい、店名を冠した「太助めし」です。

せいろに、ごはん、鮭、かにかま、生麩、椎茸、三つ葉、たけのこなどを敷いて蒸し上げたものです。蒸し寿司のように酢飯かなと思うかもしれませんが、具材の風味と優しい塩味だけの優しい味。サービスの味噌汁と一緒にいただきました。

ごちそうさま

「ふぐのくちばし辛煮」などこの店ならではのおつまみを追加で食べたい場合は、「おまかせ5品」を二人で1セット（シェア）という注文もできます。ボリュームが多いので、お二人以上で利用されると色々食べられてよいかと思います。

『太助』を教えてくれたのは、赤羽の業務用酒卸・アサヌマさんです。さすが、地元の酒のプロはいい店をご存知ですね。

（取材・文・撮影／塩見 なゆ）