西谷『ニューボンボン』半世紀続く立呑酒場。常連さんとママの阿吽の呼吸

生活スタイルが変わるにつれて、ベッドタウンの酒場が注目されつつあります。今日は相鉄線の西谷駅前から、立ち飲みの老舗「ニューボンボン」からお届けましす。

創業は1974年（昭和49年）。現在は駅から徒歩1分の線路沿いに店を構えていますが、以前は駅から徒歩15分の住宅街のなかにぽつんと潜む立ち飲み店で、知る人ぞ知るという酒場でした。

移転前はその立地やいぶし銀の店構えから敷居の高さがありましたが、いまは明るくて入りやすいです。それでもお店の雰囲気は昔のまま。女将さんとお手伝いさんの二人が切り盛りし、常連さんとの掛け合いがお店を温かい雰囲気に包みます。

西谷駅は相鉄・JR直通線の開業に合わせて変貌を遂げました。それでも、駅前は昔ながらの私鉄沿線といった雰囲気です。やっぱりこういう街並みはよいものです。

黄色地に赤文字でニューボンボンと書かれた袖看板。移転する前から「ニュー」でした。

相鉄線と東海道新幹線の立体交差手前にある「ニューボンボン」。時折、新幹線が風を切り裂きます。

ホッピーの看板もありますが、まずはやはりビールから。横浜うまれのキリンラガー、大瓶は560円。大切に使われているレトロなキリンロゴ入りのビアタンでいただきます。では乾杯。

樽生もキリン（560円）、酎ハイ系（360円）はホッピービバレッジ社のもの。人気はホッピー（420円）で氷なしのソト飲みきりスタイルで供されます。

鉄道の拠点がある街の酒場には、だいたい鉄道会社のカレンダーがさがっています。ここでも「そうにゃん」（相模鉄道のキャラクター）が書かれた電車のカレンダーを発見。

看板料理は一人では食べ切れないほど山盛りのお刺身（500円程度）で、寿司下駄の上にこれでもかと盛られてきます。マグロブツにすきみ、いわし、旬ならばカツオなど。常連さんは二人でシェアしながら、いつも一杯を楽しまれています。

こちらは湯豆腐（300円ほど）。都度丁寧につくってくれる湯豆腐は熱々で薬味がたっぷり。

よくみると、かなり大ぶりの鱈が豆腐と同量はいっています。一人鱈ちりの喜びをキリンラガーとともに。

店の暖簾にも書かれている焼鳥。3本セット（330円）。お刺身があり、焼鳥があり、センマイ刺しに豚耳ありと、30品弱しかないメニューに、それぞれこだわりが感じられます。

魚介類は市場から、センマイなどはモツ専門店から仕入れているそうです。

濃厚な甘ダレをまとった焼鳥。お客さん用カウンターもステンレス製で、シルバーと飴色のコントラストがなかなか良い眺めです。

かつてコクカという社名だったホッピービバレッジ。その当時のロゴが書かれたホッピー社の割材リターナブルびん。東京周辺は割材メーカーがたくさんあり、それぞれ特徴のあるレモンハイの”ソト”をつくっているので、こうして出会えると嬉しいです。

ベースの焼酎は宝。大きなロックアイスと一緒にでてきます。

常連さんとお店を切り盛りするベテランお姉さまの阿吽の呼吸が微笑ましく、この空間で飲んでいるだけでもなんだか懐かしい気持ちに浸ります。

他人との物理的な距離を空けなければいけないこの時代。せめて酒場では、ほどよく距離をあけつつも、人と人の繋がりを大切にしたいものですね。

ごちそうさま。

（取材・文・撮影／塩見 なゆ）

ニューボンボン
045-373-7221
神奈川県横浜市保土ケ谷区西谷町1101
17:00～22:00（日祝定休）
予算1,800円