歌舞伎町の入り口で昭和51年創業の老舗やきとり酒場「番番」は、ギラギラとしたネオン街にありながら誰もが安心して過ごせる大衆店として長年愛されてきました。私も父娘二代で通う酒場で、新宿で飲むときは自然と足が向きます。
そんな番番の暖簾分け店が2017年池袋に登場。池袋店のご主人・泉さんはなんと創業当初から通っていた常連さんです。新宿の番番の社長の特別な計らいで店を開けられたと話すご主人。
サンシャイン通りに近い雑居ビルの3階に位置する番番。歌舞伎町の本店がそうであるように歓楽街にひっそりと店を構えています。
エレベーターを降りたらそこは周囲の喧騒がうそのような飲み屋が広がります。真新しい厨房機器に新店らしさがありますが壁やカウンターには木目調が使用され、酒の場としてふさわしいぬくもりが感じられます。
とくにこの椅子がいい味をだしているように思いませんか。まるで番番のよう。あ、ここは番番でした。
生樽は新宿同様にアサヒスーパードライ。しっかりメンテナンスが行き届いたマルチサーバーから、これまたキレイなジョッキに注がれます。乾杯!
本店譲りの毎日使える価格が並ぶ品書き。酎ハイはなんと250円。ビールは瓶(中びん500円)ではスーパードライに加えサッポロ黒ラベルを置きます。ご主人の出身が札幌とのことで郷土への想いから選んだとのこと。松前漬けなど黒板メニューにも北海道の料理が並んでいます。
お酒は吉乃川。水冷ケースにぷかぷかと浮かぶ一升瓶も新宿と同様です。
やきとりは一本単位で選べて100円。豚もつととり焼きの2種類と巻ものがあります。一品料理にはおなじみの煮込みや番番サラダが並びます。
カウンターからの眺めは本当にそっくり。折れた変形コの字もまた同じような味わいがあっていいですね。テーブルはなくカウンターオンリー。袖触れ合うも他生の縁、となりの人との一期一会の会話も始まりそうです。
お通しの小皿(200円)。きんぴらをつまみながら料理の完成を待ちましょう。
こんなにボリューム満点でよいの?という山盛りの番番サラダ(350円)。とろっとしたウスターソース風のドレッシングがかかっています。それにしても一人では十分すぎる量で不摂生なノンベエを想う良心のようです(笑)
焼鳥はタレ、塩から選べます。開店前に串打ちしたものを注文をうけてから焼き始めます。おなじみのホクホクのつくねも本店ゆずりの美味しさ。適度に粗びきでニラが練り込まれています。
ところで酎ハイはどこも同じだと思っていませんか。そんなことはありません。
何の変哲もなくみえるこの酎ハイ、実はベースの焼酎は茨城県水戸市元吉田町の明利酒類株式会社がつくる甲類「明利」。そう、新宿の番番と同じなんです。宝、キンミヤ、アサヒならば焼酎ダイヤなどが有名ですが、「明利」のまるく優しい味は番番の味。
さらにマルチサーバーの強炭酸も加わり何杯でも飲めるこの味はまさしくあの味です。おかわりを続けレモンの枚数が増えるのも一緒。
番番好きの皆さん、ぜひ覗いてみてはいかがでしょう。
ごちそうさま。
※携帯電話の電波、入ります。
(取材・文・撮影/塩見 なゆ)
やきとり番番 池袋店
03-6914-1289
東京都豊島区東池袋1-22-7 瑞光ビル3F
17:00~23:00(日定休)
予算1,800円