東京の中心、日本橋。大通りの喧騒から一歩入った日本橋川のたもとに、福井の郷土料理を提供する評判の蕎麦屋さんがあります。『御清水庵 清恵(おしょうずあん きよえ)』は、都内でも珍しい本格的な越前おろしそばの名店。50代を過ぎてから店を始めたという店主の想いに触れながら、福井の地酒と郷土の味を楽しみました。
日本橋は徒歩で日本中の味が楽しめる

東京で暮らす魅力のひとつは、都心にいながらにして日本中の郷土の味に出会えることではないでしょうか。
特に日本橋周辺は各県のアンテナショップも多く、徒歩圏内で日本列島を食べ歩きできるほど。行政主導の施設に限らず、今回ご紹介する『御清水庵 清恵』のような個人店も実は結構多いんです。

地下鉄の三越前駅からすぐ。緑色の大きな暖簾が目印。「越前おろしそば」の文字に惹かれますが、ここは単なる蕎麦屋ではありません。夜は福井の食材で一献傾けられる、酒場としての魅力に溢れています。
店主さんは福井県のご出身。もともとは会社員だったそうですが、第二の人生として東京のまん真ん中で蕎麦屋を開店。錚々たる蕎麦の老舗が立ち並ぶこのエリアでは珍しい存在ですが、創業から四半世紀。すっかり日本橋の人気店のひとつになりました。

店内はテーブル席が中心ですが、お一人様でも気兼ねなく過ごせる雰囲気。壁には、名物の「越前おろしそば」に使われる大根の画が飾られていました。
昆布締めにサバ燻、黒龍で福井を旅する

席につき、まずはビールで喉を潤しましょう。アサヒスーパードライの中瓶(650円)で乾杯。

お酒の相手(肴)をどうしようかと品書きを眺めていると、ご主人が声をかけてくれました。
「白身はいつも鯛なんだけど、今日は豊洲でいいヒラメが入ったから」
そんな嬉しい提案を断る理由はありません。

ヒラメの昆布締め(900円ほど)。輝く身はねっとりとしていて、噛むほどに昆布の旨味とヒラメの上品な脂が口の中に広がります。ご主人の目利きは確かです。

せっかくですから、さらに福井らしい味を求めましょう。鯖のくんせい(750円)。

運ばれてきた瞬間、その艶やかな照りに食欲をそそられます。びっくりするほどしっとりしていて、いつまでも口に含んでいたい食感。スモークの香ばしさが鯖の脂の強さを包み込み、凝縮された旨味となって舌の上に残ります。

うん!おつまみが美味しいからもう少し飲もう。

選んだのは、ほたるいか三種盛り(850円)。一夜干し、沖漬け、黒作りの3点です。合わせるお酒は、福井の銘酒「黒龍」(1合850円)や「一本義」の本醸造(1合750円)。今回は温燗でお願いしました。
ふくよかなお米の香りを含んだ温かいお酒が、ホタルイカの濃厚な肝の味をさらりと流してくれます。

最後はもちろん看板メニューの越前おろしそば(850円)。
福井県産のそば粉を使い、つなぎを少しだけ加えた「外二(そとに)」で打たれた麺は、色が黒く野趣あふれる佇まい。 一般的なもりそばとは違い、大根おろしと削り節、刻みネギが最初から乗っています。ここに特製のおろしだしを豪快にかけていただくのが福井流。

ひとくち手繰れば、大根の鮮烈な辛味が鼻を抜け、そのあとに蕎麦の強い香りが追いかけてきます。この辛味が、お酒と肴で満たされたお腹をすっきりと整えてくれるのです。ランチに蕎麦だけでも食べに行きたいくらい。
日本橋で味わう「本物」の郷土愛
日本の道路の起点である日本橋から一番近い場所で、これほど本格的な福井の郷土蕎麦が食べられるのは面白い巡り合わせです。周辺には各県のアンテナショップも多いですが、ここはご主人の個人的な情熱と郷土愛で成り立っている「私設大使館」のような場所だと感じました。
福井・北陸好きの皆さん、ぜひ食べてみてほしいです。
| 店名 | 御清水庵清恵 |
| 住所 | 東京都中央区日本橋室町1丁目8−2 |
| 営業時間 | 11時00分~13時30分 17時00分~22時00分 |
| 創業 | 2002年 |
| WEBで予約 | ホットペッパー |
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