ハノイ駅近くのホテルで缶ビールをちびりちびり。旅の開放感とともに、なんだか小腹が空いてきた。近くには日系のスーパーもあるけれど、この街の夜にもっと溶け込んでみたい。そんな気分に駆られ、スマートフォンの地図を頼りに、地元で評判のバインミー屋『Bánh Mì Phúc(バインミーフック)』の明かりを目指すことにしました。
言葉は通じなくとも「ビール飲みたい」は世界中で伝わる

熱帯特有の湿気を含んだ雨が、アスファルトを黒く濡らしています。路肩に並ぶ無数の原付きバイクと、歩道を我が物顔で占拠する巨大な街路樹、ベンガルボダイジュの力強い根が地面を凸凹にさせています。これぞハノイ、と感じながら歩くこと数分、目的地に到着しました。

間口は広くありませんが、ひっきりなしに訪れる地元の人が、この店の人気を物語っています。
店先に立つと、香ばしいパンの香りと肉の焼ける匂いが鼻をくすぐります。もちろん日本語は通じず、英語もほとんど伝わりませんが、そこは”ノリ”で!
指差しとジェスチャー、そして笑顔で「シンチャオ!(こんにちは!)」の挨拶で席へ。

まずは喉を潤そうと、冷蔵ケースを指差してビールが欲しいとアピール。差し出されたのは、ベトナム南部で人気の「サイゴンスペシャル」。きりっと冷えたビールが、ハノイの蒸し暑さを忘れさせてくれます。一杯25,000ドン(約140円)という価格も嬉しい限りです。
パンもつまみになるバインミー
私の隣では、仕事を終えたのであろうGrabのバイク運転手さんが、鉄板料理を豪快に頬張っていました。これは、この店のもう一つの名物「Bò Bít Tết(ボー・ビット・テット)」、ベトナム式のビーフステーキです。
夜食には少し重いkw@今回は見送りましたが、次回ハノイに来るときは食べてみたい。

さて、お待ちかねのバインミーです。メニューを見ても分からないので、ここは「お任せ」でお願いすることに。店員さんは手際よく、軽く温められたフランスパンに、自家製レバーパテをたっぷりと塗り、チャーシューやきゅうり、香草(パクチー)を挟んでいきます。

手渡されたバインミーは、外はカリッと、中は驚くほどフワフワ。甘酸っぱい漬物のシャキシャキ感、濃厚なパテのコク、そしてエキゾチックな香草の風味が渾然一体となり、口の中は完全にハノイ。具材次第ですが、どんなに贅沢しても5万ドン(約280円)を超えることはなさそう。円安の今でも、まだまだお得感があるのがベトナムです。

深夜のハノイ。こんなイレギュラーな寄り道が旅を何倍も楽しくしてくれます。ちなに、「Phúc」という店名は、ベトナム語で「幸福」を意味するそうです。ハノイの路地裏で出会った美味しいバインミーとビールに幸福を感じ、ホテルへと戻りました。
比較的治安が良いとされるハノイですが、夜道を歩く際は、海外にいるという意識を忘れずに、いつも以上に周囲への注意を払ってくださいね。
店名 | バインミーフック Bánh Mý Phúc |
住所 | 9 P. Yết Kiêu, Nguyễn Du, Hai Bà Trưng, Hà Nội, ベトナム |
営業時間 | 6時45分~21時30分過ぎ |
予算 | 1 人あたり ₫1~100,000 |