相模大野『味しま』相模原市は港町！？魚が安くて美味しい正統派大衆割烹

小田急線相模大野駅から徒歩2分の場所にある『味しま』は、アットホームな雰囲気で本格的な魚介料理を食べさせてくれる居酒屋。クオリティが高いのに値段はお手頃、沿線在住の魚好きの方なら一度は訪ねてほしい名店です。

地元で長く愛されてきた理由がある

東京都に接する県北の街、相模大野。街の中心にある相模大野駅は小田急線の主要駅のひとつで特急ロマンスカーも停車します。駅直結の複合施設をはじめ、駅周辺にも立派な繁華街が広がっており、となりの町田に並ぶにぎやかな街です。

駅周辺は何度か再開発があり老舗飲食店の移転などもありましたが、まだまだ駅近くに家族経営の居酒屋が元気に営業中です。

今回ご紹介する『味しま』もそうした駅前の良い酒場のひとつ。長年続いてきた店で、飲み慣れた年配の常連さんが多い印象です。

もう店構えからして「当たり」なのですが、店内も味わい深い雰囲気。大将が立つ厨房を囲むようにL字のカウンターがあり、テーブル席も多数。

魚がお好きそうなご夫婦が美味しそうに焼魚や刺身を食べていたり、通い慣れたお一人様が旬の刺身をつまみに飲んでいたりと、非常に安定感のある雰囲気です。

常連さんも予約を入れてくるような人気店で、ピーク時はほぼ満卓です。私は偶然空いていたカウンター端の空席に滑り込むように入りました。

つぎつぎ運ばれていくお刺身を眺めては、こちらも何を注文しようと悩みますが、なにはともあれビールから。横浜市生麦でつくられたキリン一番搾りで乾杯！

まず、お通しから嬉しいです。

港町で偶然入った居酒屋で、こんな素敵なつぶ貝がでたら「やっぱり漁港近くはいいね」となりますが、ここは三崎でも片瀬でも早川でもなく、内陸の相模原市。味付けがよく、猛烈に日本酒を誘う味です。ビールはチェイサーとして、すぐさま黄桜生酛山廃生貯をもらいました。

冷酒とタイミングを合わせるように、大将が手際よく切り分けたカツオの刺身がやってきました。ハリ、ツヤ、色合い、そして脂がのったねっとりとした食感、どれも完璧な上物です。

カツオ刺しはこれくらい分厚くなくては！刺身は切り方でも美味しくなりますから。

生姜とにんにく、二種類の薬味もたっぷりついていて嬉しいです。

カツオですっかりテンションが上がったので、続いて稚鮎のフライを。特有の苦味がたまりません。500円でこれだけだしてくれるのは、本当に良心的です。

本日の主役は、こちら！立派なメバルがなんと800円。つくづく近くに港があるのでは？と思える、安くて質の良い魚ばかりです。

よく肥えており食べごたえがあります。脂ののり具合と濃いめの味付けのバランスが秀逸で、飴色に染みた身に箸がとまりません。カレイやキンメなど、煮魚用の丸魚だけでも種類豊富。しかも冷凍品は使わず鮮度重視なのですから、それは流行りますよね。

ちょっぴり濃い目が嬉しいデュワーズ12年のソーダ割り。大満足です。

SNSで映える盛り付けだとか、生け簀があるとか、そういう派手なものはありません。しっかりとした丁寧な仕事をしている、正統派の大衆割烹です。小田急沿線が生活圏でしたら、ぜひ相模大野で途中下車して飲みに行ってほしい一軒。次回はどんな刺身があるかな？と楽しみになります。

（取材・文・撮影／塩見なゆ）