【閉業】札幌「ビヤケラー札幌開拓使」 発祥の地の風格を味わうビヤホール

【閉業】札幌「ビヤケラー札幌開拓使」 発祥の地の風格を味わうビヤホール

2017年7月22日

日本人がつくるビールの歴史は今から140年前、北海道で始まります。当時は官営のビール醸造所で、北海道を開発するための官庁・北海道開拓使の直営工場として誕生しました。ミルウォーキーやミュンヘンといった世界のビールの名産地と同じ北緯45度で、ビール原料のひとつであるホップがもともと自生していたことからも、開発における近代産業の立ち上げにビールは最適だったのでしょう。

 

DSC09885---コピー

その後、開拓使醸造所は民間に入ら下げられ、現在のサッポロビールとなりました。この払い下げ以前から稼働していた醸造所の跡地は、現在はサッポロビール系が運営する複合都市商業施設・サッポロファクトリーとなり、当時の建造物が大切に保存・活用されています。

この伝統ある開拓使醸造所を満喫できるビヤホールが「ビヤケラー札幌開拓使」です。サッポロビールのお膝元だけあって、サッポロビール園や狸小路サッポロビヤホール(現在のライオン狸小路店)など、伝統あるサッポロのビヤホールが多いですが、それぞれ個性が違うのでビール好きならば飲みまわることをおすすめします。

 

ビヤケラー札幌開拓使の運営はサッポログループの銀座ライオンですが、銀座7丁目のライオンとはメニューも違いますが、なにより雰囲気がまったく異なります。なにせ、元ビール工場の貯蔵トンネルを再利用しており、経済産業省の近代化文化遺産に登録される建物を飲みながら体感することができます。

 

大きなトンネル3本がビヤホールとして使われていて、ちょっとした迷路のようになっています。隠し部屋のような横穴もあり、特別な個室も用意されています。北海道におけるサッポロビールの存在感は東京以上で、社名に恥じない地域社会との共存共栄の関係が続いています。

 

ビールはもちろんサッポロビール。40年目を迎えた黒ラベルのほか、北海道限定のサッポロクラシック、ヱビスにエーデルピルスも用意されています。大きいジョッキもありますが、この雰囲気は小グラス(金口)のほうが似合うように思えます。小グラス550円(以下税別)、ジョッキ780円。

では乾杯!

 

運営こそ、サッポロライオンですがメニューは特別なもので、北海道内の食材が豊富に揃っており、生甘エビ刺し(いっぱい盛られて880円とお得)やちゃんちゃん焼き、イカソーメンなど和食系が多い。いまでこそビヤホールの料理といえば洋食ですが、昔は枝豆や冷奴が人気だったそうですし、なにより国産ナショナルビールは和食の味付けによくあいます。

 

タラバかにの足焼きまであります。せっかく北海道に来たからカニ専門店…とも思いますが、ここならば一通り揃っていて、しかもそこそこの満足感も感じられます。

 

肉系ではなんといってもポークスペアリブ1,580円。甘辛い味付けで、古くから道内のビヤホールの定番の味です。豚の脂としっかり味のタレでビールが進むこと間違いなし。

 

予め包丁をいれて提供されますので、あとは手で掴んで豪快にかぶりつくだけ。

 

ここでしか飲めない北海道開拓使アルトビールや、施設内で醸造しているナショナルクラフトビール開拓使麦酒 ろ過ビールも用意されています。

 

開拓使麦酒 ろ過はサッポロビール創業当時の製法でつくり味も再現したビール。原料も当時のものにこだわりオホーツク産・富良野産の麦芽に富良野産のホップを使用しています。いってみれば、なんどもリニューアルされ続けてきた赤星の元祖の存在。なお、ここには開拓使麦酒未ろ過というのもあり、これはかなりマニアック。サッポロビールファンでも飲んだことがある人はわずかでしょう。

 

札幌を代表するビヤホールだけあって、有名人のファンも多く、色紙のかわりにグラスにサインが並びます。

ここでしか飲めない赤星の元祖に、北海道食材をつかった料理。伝統ある産業遺産のレンガの風格も相まって、思い出に残る札幌観光にぴったりのお店です。

飲み歩きの一軒に、開拓使ロマンに浸る空間はいかがでしょう。

ごちそうさま。

 

(取材・文・撮影/塩見 なゆ 取材協力/株式会社サッポロライオン・サッポロビール株式会社)

 

ビヤケラー札幌開拓使
011-207-5555
北海道札幌市中央区北2条東4丁目 北二条東4サッポロファクトリー内レンガ館1F
11:00~22:00(無休)
予算2,800円