広島「清ちゃん」 一度行ったら忘れられない。脳裏に刻む名物餃子の味

広島「清ちゃん」 一度行ったら忘れられない。脳裏に刻む名物餃子の味

2017年10月31日

広島銀山町で1964年創業。餃子の店「清ちゃん」は、広島の飲み屋を語る上で外すことの出来ない存在です。

料理は餃子のみ。飲み物はキリンクラシックラガービールだけ。ビールが飲めない人は向かいの自販機で買っておいでというスタンス。以前はラーメンもあったそうですが、女将さんがお一人で切り盛りするようになってからは餃子一本で暖簾を守られています。

まるで映画のワンシーンに登場するような正統派の店構え。いえ、どんな大道具さんでも、本物が醸す味わいにはかなわないでしょう。

 

厨房を囲むL字のカウンターに8席だけ。女将さんの愉快で親身な会話を、その日居合わせたお客さん全員で共有し、気がつけば古くから顔なじみのような錯覚になる。これもまた、まるで映画のよう。いまにも、渥美清さん演じる寅さんが入ってきそう。

 

広島は、街中はどこもかしこもカープ一色。全国展開のキリンも広島はカープ色です。

 

広島県木である「もみじ」、厳島神社の鳥居、広島カープと赤が並ぶ広島。キリンラガーもこの街では広島色です。

 

キリンクラシックラガーの大びん(650円)は、清ちゃんの景色の一つ。ビールを飲んでいるのではなく、景色を飲むような気分。キリンビール岡山工場生まれのクラシックラガーで乾杯。グッとくる味わいがたまりません。

クラシックラガーは昭和40年代のキリン味を今に残す銘柄。清ちゃんの餃子には、ずっとこの味が寄り添ってきました。

 

メニューは餃子(430円)だけ。8個で一人前で、注文するときには「6人前」など数を伝えればOK。すると、まずは特製のラー油ポン酢ソースと軽く胡椒で味付けをしたもやしがでてきます。少しずつつまみながら、餃子の焼き上がりを楽しみにビールをくいっと。

 

フライパンを使い、半分揚げるような調理法でカリカリに焼き上げる「清ちゃん」の餃子。6人前にするとちょうど丸皿一枚分。見事なきつね色のグラデーション。見た目と香ばしい油の香り、それに女将さんの会話で、餃子を食べる前からビアタンが空になります。

 

ラー油とネギはセルフサービス。「食べ方はね、このネギポケットにラー油を吸わせたネギを置くの」と女将さん。渋いお店で女将さんが使った「ネギポケット」という単語が不思議な感じがして、1人クスクス(笑)

ネギポケットを活用して、たっぷりのネギと一緒に食べると!これがもう絶品。細かな餡でニンニクが主張するでもなく、ラー油とネギもすべて混ざって、美味しいのです。そこにクラシックラガーを飲んだあとの余韻が最高で。

 

最初のもやしポン酢は食べきらずにとっておき、餃子と一緒に絡めるのが清ちゃん通。もやしポン酢と餃子を一緒に食べたこと、ありますか。食感の変化とさわやかな風味がおもしろいほどよく合います。

これからは、街の中華屋でももやしと餃子を一緒に頼もう、そう思わせてくれた発見です。

 

6人前は、女性でも3人ならば食べ切れるでしょう。丸く焼いてもらったほうが絶対にオススメ。もりもり食べて、女将さんが醸し出す清ちゃんムードの中でいい気分。

朝から仕込みをはじめて、夕刻から店を開き21時頃売り切れとともに閉店。仕込みが大変とおっしゃる女将さんですが、お客さんが常連さんになって、美味しい美味しいと食べに来てくれることをとても嬉しそうに語ってくれました。

広島の銘店「清ちゃん」で、外で飲んで食べることの楽しさを再発見しませんか。

ごちそうさま。

 

(取材・文・撮影/塩見 なゆ 取材協力/キリンビール株式会社)

 

清ちゃん
082-249-0836(予約推奨)※お一人で切り盛りされているため、営業開始前に電話されるとよいです。
広島県広島市中区銀山町13-11
17:00~(売切れ終い・19時過ぎには閉店することも)
予算2,000円