駅全体が飲み屋だ!昼酒・立ち飲みも当たり前なJR博多シティ梯子酒レポート

駅全体が飲み屋だ!昼酒・立ち飲みも当たり前なJR博多シティ梯子酒レポート

JR博多駅がいま、すごいことになっています。

写真は平日午後3時の博多駅新幹線口付近。

九州新幹線の全線開業に合わせてリニューアルを進めてきた新・博多駅が完成してから5年ほど。ピカピカだった駅ナカはこの5年間たくさんの人が利用したことで人間味がでてきて、長く使った道具に神様が宿るように、博多駅の商業施設は成熟し色っぽさや熱量を感じられる空間となりました。

 

九州の人はやっぱりお酒好きなんだなと、改めて感じさせてくれる博多駅。駅の至る所に飲み屋があって、駅全体が飲み屋横丁のようになっています。他のJRの駅開発には見られない雑多な空間で、出店しているお店も地元の個人経営に近い大衆的な酒場が多く、大衆酒場好きならきっと楽しくなる世界が広がっています。

今回は、博多駅という名の飲み屋街を梯子酒して、博多駅で飲む魅力をお伝えしたいと思います。

 

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3つのブロックに分類できる博多駅飲み屋街

 

博多駅の飲み屋街は筑紫口(新幹線口)と博多口、そしてJRJP博多ビルの地下と大きく3つに分類できます。さらに、居酒屋が密集していない場所にも突然ぽつりと昼酒ができる日本酒立ち飲みや角打ち、大箱居酒屋が点在するなど、駅ナカのどこを歩いていても、常に酒場が視界に入ると言っても過言ではありません。

 

まずは最も飲み屋横丁らしい「博多ほろよい通り」へ。小箱の酒場がびっしりと並び新橋駅前ビルや大阪駅前ビルの地下街のような空間。しかも多くのお店がお昼から夜まで通しで営業していて、黒帯ノンベエたちが明るい時間からびっしりと集う場所です。駅ナカの飲み屋街は若い人や観光客向け、という一般的な考えを覆す成熟した飲み屋群です。

 

1.博多ほろよい通り「立ち呑み酒場 よかたい」

「博多ほろよい通り」は大小様々な居酒屋、立ち飲み、海鮮酒場が並びますが、「立ち呑み酒場よかたい」はひときわ賑わう一軒です。筆者も博多駅を利用する際は必ず立ち寄るお店。

 

山陽新幹線博多駅の線路の下という立地で、改札機を抜けて徒歩1分で立ち飲めちゃう。午前10時から開き、明るい時間から立ち飲み客で溢れる人気店です。

 

お酒はサッポロ系。全国の熱心なサッポロビールファンの皆さんは覚えておいて損はなし。黒ラベル、ヱビス、赤星も選べます。ポッカサッポロのパンチレモンを使った酸っぱさが心地いいレモンサワーも297円(税別)と安い。東京から遥か千キロ離れた地でホッピー(セット380円税別)が飲めるのも注目です。

 

福岡の料理が一通り。煮込みに餃子に手羽先唐揚げ、焼鳥や揚げ物も充実しています。どれもリーズナブルでお通しもありませんので、常識的な飲み方ならば2,000円でお釣りが来る駅ナカイチのせんべろ店です。

 

乾杯はサッポロ黒ラベルで!

 

飛ぶように売れていくよかたい名物のさんまハバネロ(278円・税別)。国分の缶詰シリーズのひとつで通販でも購入できるものですが、「よかたい」で食べるとまた雰囲気が違ってより美味しい。焼台の網の上で直火で熱してくれるので、缶がずっと熱くて最後までホクホク。

 

めんたいいわし(334円・税別)は福岡の酒場の大定番。屋台からラーメン屋まで幅広く食べられているおつまみです。注文を受けてから強火でガンガン焼いて、さっと登場。この辛さがビールを進ませます。

 

セットメニューは入れ替わりで行われる特価品も多く、何度飲みに行ってもワクワクさせられます。取材時は京都伏見の玉乃光の営業さんが店先に立ち、限定酒をアピールしていました。

 

昼からメートルあげたい人にオススメ。焼酎ダブルは362円(税別)。435ワイドジョッキに氷控えめであとは焼酎をこれでもかと注いだハイアルコールな一杯。九州の人の焼酎の飲み方は”ばりすごっ”です。

 

17時前なのにもうこの賑わい。老いも若きも、男も女も、九州の人は飲みっぷりがカッコイイ。

 

立ち呑み酒場 よかたい
092-481-7455
10:00~24:00(基本無休)
予算1,500円

 

2.博多口くうてん「A&K ビア&フード ステーション」

博多口の9階・10階がレストラン街「くうてん」。地元の人気寿司店や全国的に有名な暖簾が入る中、飲み屋も多くてなおかつ個性的。JR他社さんも、こんな駅ビルづくりしましょうよ!

 

ビールを飲むならば、「A&K ビア&フード ステーション」へ。流行りのクラフトビールや輸入ビールを看板に掲げるパブではありません。ここはナショナルビールを愛でる店。勘のよい方は、店名から想像がついたのではないでしょうか。

 

「A&K ビア&フード ステーション」の、Aはアサヒ、Kはキリン。そう、お隣さん同士、日々コンビニや量販店で、居酒屋の生樽でバチバチと火花を散らすあの国産大手メーカー2社をくっつけた類を見ないナショナルビアなお店。運営はJR九州グループの飲食店ということで、鉄道会社が間を取り持っているのも興味深い。

 

複数のメーカーを扱う飲み屋は数あれど、これほどまでにメーカー色を前面に出すお店は珍しい。もちろん、アサヒもキリンも公認していて、時々両社の社員を見かけます。

JR博多シティのホームページの紹介文では

❝「アサヒ」と「キリン」、業界大手2社がタッグを組んだ画期的なビアレストランです。2社それぞれに新鮮な生ビールと、それに合う一品料理やおつまみをご用意。お客様のご参加によって、両社の人気対決も大いに盛り上がります。❞

と書かれていて、ドライ戦争の勝者と、総合酒類の王者の戦いが毎日繰り広げられています。

 

クラフトビールに脚光が集まる時代だけれども、祖父母の代から日本人の日常に寄り添ってきたナショナルビールはやっぱり素晴らしい。アサヒとキリンの主要な生ダルが勢揃いするこのメニューはテンション上がります。スーパードライEXコールドと一番搾りフローズンのチンカチンカ対決など、遊び方いろいろ(笑)

 

瓶ビールも勢揃い。ドライゼロとキリンゼロイチ、ノンアルコールビールを両方揃えているあたり、もう狙っているとしか思えません。

 

フード類は400円からとリーズナブル。ビールに合う定番オツマミが一通りあり、ちょいと軽く一杯という使い方から、ビアレストランとしてしっかりディナーや飲み会でも使える幅広い用途に対応しています。ハッピーアワーセットでせんべろもOK。

 

揚げたてのポテトは芋の形状が選べるのがポイント。好きなディップと合わせて、昼からビールに浸りたい。

 

#バランス感覚

ここの生ビールは状態が素晴らしく、安心してビール通に勧められます。個性的な注ぎ方で差別化するビヤホールとは違い、ここではメーカーの公式に忠実。カタログ写真のような完璧な一杯で乾杯しましょう。

 

お店の人もバランス感覚。ナショナルビールは一世紀を越えて愛されてきたビールだけにアサヒ派、キリン派と多くの人がどれが好きという意思がありますから、こういうお店は盛り上がります。お昼から通しで飲めますので、アサヒ派・キリン派は立ち寄り必須です。自分の乾杯でシェアを覆そう!?

 

A&K ビア&フード ステーション
092-415-1190
11:00~24:00(基本無休)
予算2,300円

 

遊食豚彩 いちにいさん

一口餃子や馬肉など九州の名物料理が集まるJR博多シティのくうてん。入っているお店も現地で愛されている有名店が多く、県外初進出もあるほど。観光客が多く週末のランチタイムは行列ができるほど。

がっつり飲むよりは軽くビールや焼酎を飲みつつ、お昼ごはんが食べたいなと鹿児島発・黒豚しゃぶしゃぶの銘店「いちにいさん」へ。

 

ビールは生がアサヒで400円~。瓶ではアサヒ、キリン、サッポロ、サントリーと4社揃い。では乾杯!

 

衣がさっくと軽めに揚がったとんかつ(セットで1050円・税込)。ごはんを少なめにしておいて、芋焼酎のお湯割りとあわせてちびちびと。

 

しゃぶしゃぶ(セットで2800円・税込)は単品で一人前から注文可能。何人かで食べに来ていたら、一人はとんかつ、一人は豚しゃぶなんていう頼み方が色々楽しめておすすめ。

 

遊食豚彩 いちにいさん
092-477-8123
11:00~23:00(基本無休)
予算3,000円

 

 

筑紫口と博多口をつなぐ通路にだって、ぽつぽつと飲み屋が点在。「昼から一人で飲める」と掲げられた看板や、昼間にもかかわらず美味しそうに酒盗をつまみに焼酎を飲んでいるお客さんの姿が頼もしい。

 

3.JRJP博多ビルの地下は横丁だ

東京駅前のJPタワーはオシャレで上品、とっても丸の内らしい雰囲気が漂いますが、博多はJP系も飲みや横丁です。JR博多シティと連続した関係にあり、日本郵便とJR九州の共同事業の施設です。

 

駅から300歩で来れるから三百歩横丁。JRJP博多ビルはオフィスビルなので飲食店は低層階と地階のみ。とくに地下の横丁は近隣のビジネスマン御用達の給水ポイントとなっています。

 

アパレルが入る駅ビルと違って、こちらにやってくる人は飲む気まんまんなので、店も昼から飲みのメニューをずらりと並べています。

 

お店とお店の間に仕切りはなく、市場の食堂のような雰囲気。平日の明るい時間に取材していますが、夜に再び飲みに来たときはもう溢れんばかりのノンベエで大盛り上がりでした。串揚げ、浜焼きを看板に掲げる「しらすくじら」は、毎日福岡市場で仕入れる魚介類を楽しめます。ビールは赤星、ヱビスに黒ラベルと、サッポロ勢必見。

 

蕎麦前ではなく、うどんの前につまんで飲むというスタイル

うどん屋で飲むというスタイル、九州では一般的ですが東京は蕎麦居酒屋はあってもうどんは少ないかも。二〇加屋 長介はうどんの前にお酒とツマミをしっかり楽しむ地元スタイル。 薬院大通駅にある超人気店の支店です。

 

ビールはキリンハートランド。瓶ビールではスーパードライとヱビスが選べます。日本酒は佐賀や福岡のお酒と並び、全国の地酒有名銘柄も。

 

ランチタイムから当然のようにあるおつまみメニュー。牛すじ煮込みや刺身など普通の居酒屋同等の内容に驚きます。

 

福岡の人の日常食、うどんは450円から。

 

シメのうどんを楽しみにして、まずはビールで乾杯!1000円の男気ジョッキがお得なのですが、1L近くドーンと出てくると恥ずかしいですね(笑)

 

雲仙ハムカツはここの名物。サラミのようなモチモチのハムを分厚く揚げたもので、濃厚な美味しさがビールをぐいぐい飲ませます。かまぼこバターも癖になる美味しさ。家でも作れるけれど、やっぱり酒場でつまんだこの味にはできません。

 

博多っ子が愛するごぼ天うどん。さぬきと違い歯ごたえではなく、優しい喉越しが特長の博多うどん。ごぼ天をトッピングするのが福岡の人気の食べ方です。

平日は中休みあり、土日は通しでやっています。

 

二〇加屋 長介
時間/昼11:00~14:30 夜16:00~24:00(平日)・11:00~24:00(土・日・祝)
席数/28席・スタンディング12席
電話/092-409-0302

 

お昼からお刺身で飲むならば卸し直営「魚介」

長浜鮮魚卸が直営する魚介。全国の日本酒と福岡で水揚げされる鮮魚を楽しむ酒場です。もちろん昼から飲めるお店。ビールはサントリーモルツです。乾杯!

 

昼飲みを応援するオトクなセット。1,100円で刺身と小鉢とお酒一杯がセットになっています。

 

ビールが500円、ハイボールが400円、魚ツカサワーは、魚料理専用のウオッカベースのこと。ウオツカで魚ツカ。九州らしくあまおう、デコポン、カボスのシロップを入れることも可能。

 

季節限定、数量に限りのある日本酒を多く揃えていて、お酒で季節が感じられるのも魅力。全体的にちょっぴり価格は高めですが、それに見合ったお酒や料理を揃えているようです。安く飲むなら、断然昼飲みセットです。

 

生牡蠣や厚切りえいひれ、ごまさばなど駅ナカで飲んでいることを忘れてしまうおつまみたち。列車の時間ギリギリまで飲んでいたい。

 

魚介
時間/昼11:30~16:00、夜16:00~24:00(月~土)・日曜日の夜は、23:00まで
席数/30席
電話/092-409-0322

 

薬院の牛タンの銘店が駅ナカに進出「たんか」

薬院で人気の牛肉料理店「タンカ」が駅ナカ、三百横丁にオープン。牛サガリや牛タンが看板料理の牛料理店です。

 

本店は居酒屋ですが、こちらはバル風。コの字カウンターとおしゃれな雰囲気の融合でカッコイイ。ビールはキリン一番搾りとハートランド。生ビール420円とお手頃です。

 

焼肉といえば焼肉なのですが、自分で焼くスタイルではなく、串やたたき、炙りなどお店で調理して提供するスタイル。おつまみは300円台から、牛刺し5点盛り700円などちょいと飲むのに嬉しい価格帯もあります。

 

牛たん串、サガリ串が名物(1,300円)。このほか、通常の焼鳥もありますので軽く牛を食べた後は簡単なツマミでゼロ次会的な利用もよさそうです。

 

たんかの牛テール焼き(950円)はまさに肉!もっちりしていて脂も多く濃厚な旨味が口いっぱいにひがります。一人だとボリュームがありますので数人でどうぞ。

サングリアやワインもあるけれど、コの字カウンターでさくっと使うならホワイトホースのハイボール(480円)やチューハイ(400円)かな。

数人でシェアして食べて飲んで、ひとり2000円でお釣りがくるくらい。定番の牛タンだけでなく、熟成サガリなど様々な部位を楽しめるお店です。

 

博多たんか
時間/11:30〜23:30
席数/57席
電話/092-409-4929

 

JR博多駅は新たな飲みの名所です

駅の中には角打ち(住吉酒販の記事)もあります。朝から飲めるお店も複数あって、一日中梯子酒が楽しめる、ノンベエなら無視できない場所になりました。福岡といえば中野の屋台に天神のネオン街など、飲み処がいっぱいありますが、駅ナカの便利でいいとこどりな感じも素晴らしいです。博多から、熊本、長崎、鹿児島へ行く人も、山陽新幹線で本州へ渡る人も、博多駅の滞在予定時間を少し多めに計画されてみては?

ごちそうさま。

 

(取材・文・撮影/塩見 なゆ 取材協力/株式会社JR博多シティ 九州旅客鉄道株式会社)

 

JR博多シティ
福岡県福岡市博多区博多駅中央街1−1
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