旭川「ゆきちゃん」 日本最北端の立ち飲みは、新宿みたいにあったかい

旭川「ゆきちゃん」 日本最北端の立ち飲みは、新宿みたいにあったかい

人口35万人、北海道第二の都市、旭川。北海道の中央部に位置し、道北の経済や文化、交通の中心的な存在です。農産物の他、主な産業といえば日本製紙北海道工場があり、紙の町としても知られています。

飲食系でいえば山頭火など有名暖簾を輩出した旭川ラーメン、酒業ならば1900年設立の日本酒精製造、現在の合同酒精の創業の地であり、あの有名なしそ焼酎・鍛高譚や日本酒大雪乃蔵を製造しています。

駅前は広く栄えていて、積雪の時期であっても飲食店はなかなかの賑わい。古き良き北海道の歓楽街が残っていて、札幌・すすきの界隈を飲み歩くよりも旅情という点においては勝っているように感じます。夜も更けてくれば、スナック街を昭和の銀幕のスターが歩いてきそうな佇まい。

 

JR旭川駅は2010年に立派な高架駅に建て替えられ、駅前広場も大規模に整備され街の玄関口は雰囲気を一新。駅前にはイオンも出店し、地方都市でありながら街の中心部に賑わいを感じます。

また、古くからの駅前ビルには飲食店街があり、大阪駅前ビルやニュー新橋ビルのような、昭和の香りが漂うノンベエが吸い寄せられる空間が残っています。

 

内装や看板のデザインに味があるとともに、店名の一つ一つがいい味をだしています。

 

冬季は吹雪くとなかなか梯子酒もままならない北海道は、こうしてビルの地下街にハモニカのごとく小箱の酒場をのれんを掲げる路地が多くあります。駅にも近く、汽車の時間まで軽く飲んで暖まる人が行き交います。

 

この旭川駅前ビルの地階に、日本最北端(Syupo調べ)の立ち飲み屋があります。店名は「ゆきちゃん」。ハローキティー好きのママが切り盛りするコンパクトなお店で、その雰囲気は新宿ゴールデン街にそっくり。

立ち飲みと言っても折りたたみチェアがあり、混雑時は立ち飲みになるという感じ。

雰囲気はスナックなのですがカラオケを歌う場所ではなく、料理と豊富なお酒が自慢のあくまで居酒屋さん。

 

ビールは立ち飲み価格で390円とリーズナブル。男山や国士無双など地元旭川のお酒がなんと一杯300円という安さ。鍛高譚ももちろんありますが、なんとホッピーも扱っています。旭川でホッピーはとっても珍しい。

 

それでは乾杯!北海道No.1のビール、サッポロ黒ラベル。ジョッキが凍らせてあります。外は寒くても屋内はポカポカの北海道、年中冷えたビールが美味しいです。

 

おつまみは日替わりの黒板料理のほかに100円から400円とお手頃な値段設定でいろいろ。貝付きホタテやイカのポッポ焼き、ナメタガレイなど、他の地域ではこういうお店でまず見かけない北海道の幸が含まれているのも注目です。

 

単品で注文するもよし、なんとなくお酒を飲みながらお漬物や大皿料理を小鉢にしてもらうのもOK。二軒目、三軒目に飲みに来るようなお店ですから、ちょこちょこっとつまむだけでいいのも嬉しいですね。

 

サッポロビールがつくるオヤジの二杯目ドリンク「バリキング」。お店の雰囲気とよく合います。

旭川の駅前ビルでスナック風立ち飲みで帰りの汽車までのんびり過ごす。ガイドブックに載るような有名店も良いけれど、本当の旅情はこっちにあるような気がします。

 

女性が切り盛りするお店ということもあってか、地元で働く女性のお一人様も多いです。とても愛されているお店で、お客さん同士の仲もよいのですが初めての人も暖かく受け入れてくれる雰囲気です。

スナックまでは入りづらいけれど、ゴールデン街的な空間で地元の人情にふれてみたい。そんなときにはとってもオススメのお店です。場所柄、一人で入るには勇気がいりそうですが、ほろ酔いならば勢いに任せてみてはいかがでしょう。

ごちそうさま。

 

(取材・文・撮影/塩見なゆ)

 

ゆきちゃん
0166-23-5058
北海道旭川市宮下通7 旭川駅前ビル B1F
17:00~23:00(日祝定休)
予算1,500円