人吉「鳥越商店一期屋」 マニアでなくとも楽しめる、球磨焼酎28蔵元を飲み比べ

人吉「鳥越商店一期屋」 マニアでなくとも楽しめる、球磨焼酎28蔵元を飲み比べ

いま、人吉が人気です。この春のダイヤ改正で、JR九州が新たに熊本・人吉間を走る観光特急「かわせみやませみ」の運転を開始し、約1時間40分で結んでいます。一日5往復程度と利便性もよく、2016年の熊本地震から1年経過したいま、おすすめの観光地です。

 

九州山地の囲まれた人吉は自然の城壁都市として、人吉球磨の領主相良氏によって鎌倉時代から明治維新まで統治が続きました。相良700年と呼ばれています。

そうした背景から人吉では独自の文化が育まれ、現在もその面影が感じられます。水と温泉に恵まれ、それによる豊かな食文化も魅力です。ノンベエはなんといっても、球磨焼酎に惹きつけられます。

 

 

人吉の街はさほど大きくないので、旅の起点となる人吉駅からのんびり歩いて回るのにちょうどいい。人吉駅前から球磨川にかけては人吉温泉街となっていて、旅館が並びますが美味しい酒場や食事処もあります。

球磨川をこえると日本百名城のひとつ、人吉城址がみえてきます。天守閣など建物はありませんが、球磨川に面した広々した城址の佇まいは美しいです。その近くには1921年創業の公衆浴場・堤温泉があります。かなりレトロで味わいのある建物です。

 

飲酒後の入浴はキケンです。気になる方は飲む前にどうぞ。

というのも、堤温泉の隣は繊月酒造(せんげつ)があり、温泉の前まで米の甘い香りがほのかに漂っています。

 

温泉はちょっと…という方は、そのまま繊月酒造へ。繊月という名は人吉城の別名で、城に隣接する場所で焼酎造りをおこなっています。

焼酎の里でありながら温泉街。だからここの酒蔵見学には足湯がついてくる!

 

球磨焼酎は、地理的表示の焼酎のひとつ。ワインのブルゴーニュやウィスキーのスコッチなどと同じように、地名が品質やイメージに大きく影響するお酒のブランドを世界貿易機関(WTO)が保護していて、焼酎では「壱岐焼酎」「球磨焼酎」「琉球泡盛」(泡盛)「薩摩焼酎」が指定されています。

球磨焼酎は500年もの間続く伝統のお酒。球磨・人吉の地下水を使用し、ここで瓶詰めすることが規定されています。現在28の蔵があります。

 

ひとつひとつの蔵元をめぐるのもよいですが、おすすめは繊月酒造からも近く、駅から徒歩20分程度の立地にある角打ち「一期屋」で飲み比べがおすすめ。明治から続く球磨焼酎を主力とした業務用酒販の鳥越商店の直営のお酒屋で、有料試飲は営業中は16時までいつでも利用可能です。

朝9時からオープンしているので、午前中から飲んじゃおう!

 

28の球磨焼酎が揃い、3杯飲み比べはなんと400円というお手頃価格。観光地ではあるのですが、「うちはお酒屋ですから」と、付加価値を値段に付けずに提供してくれます。一杯150円から、お燗やお湯割りも用意してくれます。

焼酎を大雑把に分類しますと、昔ながらの製法が常圧、今風が減圧、樽に熟成して風味をつけたものの3種類。常圧はお湯割り向き、減圧はロックといった飲み方が定番です。3種類飲み比べでは、そんな分類も用意されていますのでぜひお好きな味を見つけてみてください。

 

ジョカと呼ぶのは鹿児島。人吉はガラと呼ぶ酒器。このまま直火で囲炉裏などで温めて注ぎ合います。

お店の方はとても親切で、なによりお酒への想いを強くお持ちです。球磨焼酎のお話を聞きながら、土地の味に舌鼓をうってみてはいかがでしょうか。

ごちそうさま。

 

(取材・文・撮影/塩見 なゆ 取材協力/九州旅客鉄道株式会社)

 

球磨焼酎専門店一期屋
0966-22-2374
熊本県人吉市新町15
有料試飲時間9:00~16:00(不定休・WEBから確認できます)
予算1,000円 ※試飲後はぜひ商品の購入を。