【閉業】新今宮「縄のれん田中屋」 ジャンジャン横丁で魚料理の正統派

【閉業】新今宮「縄のれん田中屋」 ジャンジャン横丁で魚料理の正統派

2014年7月16日
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大阪のジャンジャン横丁から新世界にかけて、ここは日本を代表する飲み屋街です。
串かつ店が多く並びますが、正統派の酒場もぜひ立ち寄ってみてください。

「田中屋」は、ジャンジャン横丁でもお気に入りの一軒です。
天王寺駅・動物園駅からすぐの立地で、縄のれんがいかにもな大衆感を漂わせています。
店内は大きなコの字カウンター。厨房を見渡せる配置で、飲みながらも他の人のために作られる料理の調理風景が眺められて楽しい配置。

お店は笑顔が素敵なご主人が笑顔で料理をつくる姿は、まさに大衆のための割烹です。ご主人は二代目だそうで、このお店の歴史はこの界隈でも長いほう。

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いらっしゃい。ビール?
そうですね、最初からですが日本酒で始めたいです。
お酒は灘の銘酒、定番であり王道の菊正宗が揃います。300mlのびんをもらって、はい乾杯。
このほかに関西の地酒、香住鶴と浪花正宗なんていう短冊もあって、これまた飲みたくなる雰囲気。

ちなみにビールはキリンラガー。ラガーが似合う濃い目の木目調の空間に癒やされます。

おつまみにはタコの甘煮をもらいましょう。これが甘さやだしの入り具合が絶妙で、とにかく日本酒と好相性。レギュラーメニューというものが特別にあるわけではなくて、本日のオススメを黒板から選ぶのがここのスタイル。

なので、必ず食べたいこのメニューというよりは、その日の市場に入ったものを楽しむというお店です。

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お刺身(関西ではお造り)は常時10種類以上。旬のものがずらりと並びます。
ぐじ、クロダイ、シマアジ、カツオ、生ウニにカニまで、高級食材も豊富な品揃えでそれだけ眺めながらで飲めそうな物ばかり。

種類が豊富で質も量もしっかり、それでいて価格は600円程度と大衆価格。

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焼魚も多く、こちらは300円から400円と嬉しい価格設定ながら、甘鯛にヒラメに真鯛など高級食材のオンパレード。
煮魚も同様、安くてもよさそうなものばかり。

正統派の大衆割烹はこうであるべき、そんな雰囲気はご主人の思い入れから実現しているように思えます。

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東京の酒場ではまず見かけない鱧ですが、大阪では定番の顔ぶれ。
しっかりと骨切りされて処理されているので高級店に引けをとらないクオリティです。辛子味噌をちょこんとのせて食べれば、笑顔になることまちがいなし。

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これは珍しい”鯛の子”の煮付けです。
甘めに優しくにられているのですが、火の入り具合がちょうどいいのかボソボソとした印象はなく、噛むほどに広がる味。
鯛の旨味がぎゅーっと詰まっているのでただひたすら美味しいです。チェイサーに瓶ビールを飲みながら、菊正宗は一合そしてまた一合。
冬場はおでんに寄せ鍋も楽しめます。

ご主人の包丁さばき、調理の早さ、嬉しそうに料理をしている雰囲気は、さすが老舗の酒場といったところ。
お客さんは観光客が少なく、地元の方がほとんど。串かつを食べ歩くのもいいけれど、本当にいきたいお店はこういうところ。

ごちそうさま。

(取材・文・撮影/なゆ)

 

縄のれん田中屋
06-6641-5239
大阪府大阪市浪速区恵美須東3-4-16
15:00~22:00(水木定休)
予算1,500円