【閉店】新御徒町「兼古酒店」 隠れ家で美味しい一杯、優しい時間


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酒屋で一杯飲む文化ははるか昔、江戸時代以前からの文化と言われています。
江戸では、「もっきり」や「たちのみ」なんて呼ばれ、大衆の”外飲み”の代表格だったそうです。

九州では炭鉱や重工業の発展に伴い、文明開化以降とくにこの「もっきり」が増えてきます。今でも、北九州には多くの一杯売り酒屋が残り、これらを地元の人は、マスの角でお酒を飲む様子から「角打ち」と呼んで親しんできました。

この「角打ち」という呼び名、昔は折尾や小倉の一部の隠語だったわけですが、近年の情報の拡大やお酒文化の多様化を求める人たちから、いつのまにか東京にも届き、今では全国的にいっぱい売りの酒屋さんを角打ちと呼ぶようになりました。

はい、お勉強はここまで。

 

今回、ご紹介する角打ちは御徒町の「兼古酒店」です。
はるか昔からこの地に根付く酒屋さんで、明治・大正時代は誰しもが認める街一番の酒屋さんでした。

現在はご家族経営の暖かな酒店として、ご主人が看板を守られています。

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ここは店内飲みを前面にだしているお店ではありません。
ご主人のご好意で飲ませてもらう、そんなお店です。

店内で飲む値段は小売価格のままですが、ご親切にグラスを貸してくれます。おっとっとっ、はい、乾杯です。

瓶ビールのほか、酎ハイや缶ビール(新ジャンル)もありますので、お仕事帰りにちょっと一杯というライトな利用にも向いています。

 

ご主人が立たれているレジの横には湯煎のお燗器があって、そこにはちょうどよい塩梅に温められた吉乃川の1合瓶が。これは美味しそう。
聞くと、吉乃川の特約店だそうで、普通酒クラスから大吟醸まで様々揃っています。このお燗酒は本醸造。

吉乃川の本醸造は日常酒ではありますが、お燗にすると高級なお酒にも負けない絶妙なバランスです。本醸造好きの方はぜひ。

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惣花や一般流通していないお酒の宝庫。とはいえ、昨今のブームで話題の銘柄ではなくて、昔ながらの銘地酒のブランドです。
さすが元浅草の酒屋さんはレベルが違うというのを、目の前のお酒たちから感じられ、お酒好きの私の心をわしづかみ。

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ご主人は大変上品な方で、丁寧な浅草言葉で町の歴史やお酒について語ってくださいます。

私の思うお酒の飲み方や銘柄についてご主人がたいそう気に入って下さり、「これ美味しいから試してみて」なんて言いながら、ご主人のプライベートのお酒をだしてくださいました。

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酒屋さんというのはあまり飲まない方が多いものですが、ご主人はなかなかのお酒好き。
お燗にしている吉乃川も、閉店後の晩酌用だったそう。すみません、私いただいてしまって。

言葉の一つ一つがとても丁寧で、日本酒についての愛情やしっかりとしたお考えを感じられ、とても心地よい会話ができました。

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角打ちはムスっとして飲むよりは、やっぱりちょっとしたコミュニケーションを楽しみたいですよね。
お酒がお好きな人ならば、楽しいことまちがいなし。

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おつまみは乾き物が並んでいますので、それを肴にお酒を。
お酒を味わうのが最大の目的、そして、ほんの少しのご主人との会話を楽しむ。

いつまでもずっと続いて欲しい、とっても素敵な酒屋さんの一杯売りでした。
できれば、この記事を読まれた方だけの隠れ家にしておきたいです。あまり広めず、街の酒屋文化を守り続けるのも酒屋好きのあり方だと思います。

これからもよろしくお願いします。ごちそうさま。

 

 

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(取材・文・撮影/なゆ)

 

兼古酒店
東京都台東区台東4丁目
閉店

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“【閉店】新御徒町「兼古酒店」 隠れ家で美味しい一杯、優しい時間” への4件のフィードバック

  1. 1001 より:

    いい店のようですね。
    いちど案内してください。
    また、呑みますから。

  2. スカイツリー より:

    兼子酒店さん只今更地になってます
    移転お知らせもありません
    情報お持ちでしたらよろしくお願い致します

    • 塩見 なゆ より:

      おやめになるというお話を伺っていました。良いお店でしたし歴史もあっただけに残念です。。。

  3. スカイツリー より:

    御返事ありがとうございます
    あらら
    そうだったんですね
    残念

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