糀谷「渡商店」 120年の時をさかのぼる、幸せになるお酒時間


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大田区の蒲田と羽田の間に糀谷という街があります。
小さな商店街と昔からの町並みが残るとても温かみのあるエリアなのですが、ここに江戸時代から続く酒屋さんがあります。

京急空港線の糀谷駅から徒歩10分。
けっして近いわけではありません。

商店街があるわけでもなく、ひたすら住宅街を歩いて行くとそこに立派な酒屋さんが見えてきます。

渡商店。建物は戦災はもちろん関東大震災にも耐えてきた120年以上使い続けられているもの。
空襲の被害も免れ、ここはお酒の神様がついているのではないかという雰囲気。

「いらっしゃい、飲んでいってね」

そう優しく迎えてくれるお母さんにほっとしながら、奥の方へと入っていきます。

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なにを飲む?

私「サッポロの大瓶をお願いします。」

乾杯です。
ふぅー、落ち着きます。10分も歩いてくれば喉もかわきます。最初のいっぱい、ひとくちがたまらなく美味しいです。

瓶ビールは各社揃い、缶酎ハイ・缶ビールを飲む人もいます。なんだか旅先の茶屋で飲んでいるような錯覚に。穏やかな日差し、歴史ある酒屋さんならではの長年蒸発したお酒によって染み込んだまろやかな匂い。そんな場所でいただくお酒は格別です。

ビールから次は日本酒へ。若鶴生吟醸「蔵香」を。若鶴の300ボトルは実に珍しいです。

大将「うちは若鶴さんとの付き合いは何十年もあるんだよ、あとは西宮酒造さんとの付き合いは深いねー」

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西宮酒造さんといえば、今は社名変更で日本盛になった灘の大手酒造さんです。
その日本盛の特別な銘柄が「惣花」です。

総花は江戸時代に丹波杜氏の岸田忠左衛門氏が生み出した究極の灘酒。明治時代より御用酒となり、宮内庁で使われていることで有名です。

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味は甘味・酸味・辛味・苦味・渋味の調和が実にすばらしく、呑んだ感想はまさに灘の最高位にふさわしいお酒だと思います。
これを扱っている酒販店はかなり少なく、大田区では渡さんと池上本門寺近くの酒屋さんの2軒しかないとのこと。

取扱店をしぼり、品質の管理を怠らないようにするのが目的だと思いますが、とにかく幻のお酒です。

飲食店で飲めるところでは大塚の「江戸一」が有名ですし、雰囲気もピッタリです。私も江戸一ではかならず飲む銘柄です。

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富山の若鶴も特約店とのことで直接取引になっているそう。
若鶴は東京ではめったに見かけませんが、1800年代から続く富山の名門酒です。

味は独特の甘味と酸味があって、ベタつかないのだけど甘い、爽やかなんだけど旨味があるというもの。
いやいや、さすが歴史ある酒屋さん、おいているものが昨今のお店では真似のできない品揃えばかり。お酒好きにはたまりません。

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おつまみはキヨスクで売っているような乾き物か缶詰。
チータラを摘みながら、お酒話で奥さんや大将と楽しいひととき。

駄菓子屋さんに通った経験がある方には、それに似た楽しさを角打ちに感じるそう。

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最近は女性もくるけれど、やっぱり地元のお父さんたちが多いねーと奥さん。
女性がくるほうが私は楽しいんだけどねと笑顔で話してくださり、終始ずっとお話し相手になってくださいました。

渋い表情の大将も、お酒の話で意気投合。お酒のプロはやっぱりかっこいい。

120年以上の建物ですから隙間風や規格外の構造で悩むことは多いそうですが、しっかりと歴史を守っていきたいという大将は職人の顔でした。

「この前の地震でも一個も落ちなかったんだ、うちは強いよ。
この支えなんて関東大震災のときに付け足したものなんだ。立派だろうー。」

 

角打ちはただ飲む場所ではありません。こういう時間を旅する場所なんです。
お酒が好きならば、お一人様でもぜひ足を運んで欲しいです。最高なお酒時間が待っています。

ごちそうさま。

 

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(取材・文・撮影/なゆ)

 

渡商店
03-3744-0005
東京都大田区西糀谷2-17-22
9:00~19:00くらい(土日営業)
予算1,000円

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