旭川『うえ田舎』日本一フォトジェニックな角打ちは旭川にある

旭川『うえ田舎』日本一フォトジェニックな角打ちは旭川にある

2021年6月9日

旭川に素晴らしい角打ちが誕生しました。近隣の地酒や注ぎ方にこだわる生ビールが、毎日13時から楽しめます。旭川に来て、ここに寄らないのはもったいない!

2019年夏、旭川の酒販店、株式会社うえ田が買物公園通り沿いに新店舗をオープン。旭川の魅力の発信地をテーマに、こだわりの酒器で地酒を提供する角打ちです。本店舗は同社の二軒目で、Syupoでは2017年に既存店舗の取材もおこなっています。

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新店舗の名前は「うえ田舎(うえだや)」。そこには、まるで別世界に迷い込んだような素晴らしい角打ちカウンターがありました。

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買物公園通りにできた異空間!?

JR旭川駅前から一直線に北へ伸びる買物公園通りを歩くこと10分。ひときわ明るく輝く今風のデザインのお店がみえてきました。

デザインにこだわっているのは外観だけではありません。入ってすぐの小売コーナーも洗練されています。

約200種類の和酒が揃います。とくに近年話題になっている、北海道上川町の酒蔵・上川大雪酒造がつくる「上川大雪」をはじめとした、北海道のこだわりのお酒が非常に充実しています。また、富良野エリアでつくるクラフトビールも充実しており見逃せません。

さて、角打ちスペースはどこでしょう。レジのあるカウンター?は、それはお会計の邪魔になってしまいます。実は、ここが驚きの仕掛けです。

不思議な通路の向こう側は、フォトジェニックな空間

すぐには通路だとわからない棚の奥を曲がると、謎の廊下が現れます。

どうしましょう!突然の空間の変化に、テーマパークモードではしゃぎたくなります(笑)

通路の先は、有機的な形状の天井が印象的な角打ち空間が広がっていました。店先に角打ちの案内はあるものの、これは誰だって驚く仕掛けです。

角打ちのイメージを覆す、まるで会員制バーのような場所。冬の旭川はダイヤモンドダストが吹き荒れていますが、ここはなんと暖かい空間なのでしょう。

床も含めて木を多用したつくりと、壁面はアンティークな食器棚が印象的です。

振り返れば、そこはお酒の冷蔵庫。50種類近くのお酒が、品質管理が完璧な状態で揃えられています。

樽詰めの日本酒が飲めるお店は、旭川では非常に珍しいです。角打ちで扱っているところも、筆者ははじめてみました。

ビールは注ぎ方が3種類

予想を遥かに超えるアーティスティックな空間に驚きながら、落ち着くためにビールを注文。

代表の上田桂輔さんによって、丁寧に注がれるビール。上田さんはかつて、東京都墨田区に本社を構えるビールメーカーで業務用の営業をされていた方。ドラフトビールの扱いはお手のものです。注ぎ方はいまも研究中。各地の有名ビール注ぎ職人の技を参考にされているそう。

薄いグラスが枡を履いた独特なスタイルです。お店の雰囲気ともよくマッチしています。ビールの銘柄はサッポロビールのサッポロクラシック。最新のサーバーでクリーミーな泡で蓋をした完璧な一杯です。

乾杯!

最近、ナショナルビールにこだわりのある店で増えている「注ぎ方の提案」をうえ田舎でも行っており、うえ田舎注ぎ(写真のビール)のほかにも二度注ぎ、三度注ぎが選べます。

(旭川で注ぎ方の味の違いを体験できるとは!と、やっぱりはしゃぐ筆者)

お酒の品書きと角打ちの注文方法

ビールはサッポロクラシックに加えて八海山ビールもあります。

そして、冷蔵庫に並ぶ大量の日本酒は、それぞれリボンがかけられており、その色で値段がわかるという仕組み。気になる銘柄をみつけたら店員さんに注いでもらいましょう。値段は一杯380円から。

お酒を湯煎ではなく蒸して燗をつける「蒸し燗」という提案も珍しい。

旭川の地元銘柄3種類を飲み比べできる利き酒セット(1,080円)もあり、お酒が好きな人ならばここは本当に楽しみ尽くしたくなる空間だと思います。

樽詰の日本酒は1杯580円。

珍しいものはすぐに飲みたくなります。樽詰のお酒「澤の花」をつくる伴野酒造は、長野県佐久の酒蔵です。

こうして道外産のお酒も多く揃えているのは、実は地域のお客さん比率が高いからでもあるそう。日本各地のお酒を味わう、旭川でとっておきの秘密基地ですね。

澤の花純米吟醸

個性的な酒器も地元の職人さんの手によるもの。上田さんは、旅行や出張で訪れた人に、お酒をきっかけにして様々な旭川産のものにふれてもらえる場所が創りたかったと話します。

おつまみは旭川を中心とした地元食品企業のもの

角打ちですが料理も用意されています。もちろん、すべてお酒好きのために用意されたもの。旭川の老舗がつくる食べ比べ珍味盛り合わせ(480円)など、近隣の老舗の味が揃えられています。

ただし、ここは角打ち。うえ田舎は居酒屋ではないので、料理はどれも控えめです。

旭川鶏卵のうまたま

お店のイチオシ、かわいい器の蓋を開けると、そこには旭川鶏卵のうまたま(280円)。甘く上品に味付けされており、ほのかな甘味と旨味が日本酒の余韻に優しく重なります。

かま鉄 揚げはんぺん山わさび載せ(330円)

地元の練り物店「かま鉄」の揚げはんぺん山わさび載せ。ついてくるお醤油「ぴっぷ小ねぎ醤油」ももちろん旭川のもの。旭川の老舗発酵食品メーカー「日本醤油工業(キッコーニホン)」などが開発したものです。

上川大雪

次に頂いたお酒は、酒蔵による地域振興の成功事例とも言われる「上川大雪」。休業中だった三重県の酒蔵を引き継ぎ、石狩川沿いの上川町で酒造りをはじめたのがこのお酒。

産官学の連携により、次々とおもしろいお酒をだしていますが、詳しくは店頭でどうぞ。

北海道産のお米にこだわった酒造りがされており、こちらは北海道を代表する酒造好適米「吟風」を100%使用したお酒、上川大雪 緑丘蔵(りょっきゅうぐら)/特別純米60%「吟風」(380円)。キレのよい辛口で爽やかなお酒です。

ここはお酒をテーマにした観光案内所

「少しでも街に賑わいを取り戻そうという考えから、メインストリートである買物公園通りに開いた」と上田さん。

酒屋ができる小さな町おこし事業なのだと感じました。

うえ田舎のおすすめの利用法は、ここで軽く飲んで、お店の方に飲食店を紹介してもらうというもの。同社は周辺の居酒屋にお酒を卸す業務用酒販店なので、老舗から新店まで知り尽くしています。自社の配達先に限らず、旭川の飲酒シーンが盛り上がるようにと、強い想いがあるので、きっと素敵な酒場巡りのコースを教えてもらえると思います。

ごちそうさま。

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(取材・文・撮影/塩見 なゆ)

店名和酒 角打 うえ田舎
住所北海道旭川市4条通8-1703-9 十字屋ビル 1F
営業時間営業時間
13:00~21:00
(角打ち16:00~21:00)
日曜営業
定休日
毎週月曜日 最終日曜日
開業年2019年7月20日