姫路「かっぱ 酒饌亭 灘菊」 酒粕白おでんを肴に灘酒を一献、酒蔵直営店。


姫路の「酒饌亭 灘菊」は、1959年(昭和34年)に国鉄姫路駅の地下街で創業した小さな酒場です。店名の通り、姫路市手柄の酒蔵「灘菊」が手がける直営店で、同社の酒と姫路名物のおでんを手軽に楽しませてくれると、長年愛されてきました。

わずか11席しかないL字カウンターは、午前10時頃の回転から地元の常連さんであっという間に埋まる人気。それでも回転の良さもあって入りやすく、姫路の一寸一杯の定番でした。それも、時代の変化は確実に訪れ、現・JR姫路駅の高架化と駅周辺一体の再開発によって閉店。一時は、このまま無くなるかも、と危惧されていましたが、無事におみぞ筋で2011年4月に「かっぱ 酒饌亭 灘菊」の名で移転開業となりました。

現在は、当時のころからの常連さんに加え、最近は噂を聞きつけた若い人も集い、老若男女、お酒好きの天国となっています。

 

そんな「かっぱ 酒饌亭 灘菊」へ行く前に、少し散策を。酒場は料理と酒だけでなく、街の息遣いや文化・歴史とセットで楽しむ場ですから。

 

姫路といえばやはり白鷺城の愛称で知られる国宝、姫路城。新幹線の車窓や、街中どこからでも天守閣が見えることから、近くに感じますが、歩けど、

とんと近づいた気がしません。三の丸でなお、あんな向こうに。

もう、戻ろう…

 

駅からお城にかけての大手通りは再整備されとてもキレイで散歩が楽しくなりました。そして、その脇には縦横に立派な商店街も広がり、さすが城下町の風格があります。

 

もともと呉服店が立ち並んでいた商店街は、いまや続々と飲食店の出店ラッシュ。若い人たちの姿もあり、活気があります。

70余年の歴史を持つ「おみぞ筋」は、小さな溝際の小道に人が集まってできた商店街。本日飲みに行く「かっぱ 酒饌亭 灘菊」は、ここに並ぶ一軒です。

 

姫路駅前から移転に際し、小溝だけに「かっぱ」という屋号が加わりました。

 

おでん鍋を前にしたカウンターは昔と変わらず11席。加えてテーブル席が加わり、グループでも利用しやすくなりました。

 

「昭和34年に地下で創業、52年目で陸に上がる」と書かれたフレーズが、歴史とともに、どこか愛らしさがあります。並ぶ徳利も素敵です。

 

太鼓の椅子は地下の時代から引き継がれています。本物の太鼓で、叩くとたしかにいい音がなります。なんでも、なかには御札がはいってあるとか。

 

お酒はもちろん灘菊のみ。明治34年創業の酒蔵で、姫路の酒場ではお馴染みの土地の味です。さすが直営店だけあって、本醸造・純米・吟醸と縦方向に製法別で選べます。

 

お酒の品揃えはかなり絞られ、日本酒をのぞくと焼酎とビールのみ。隣の若い女性が、酎ハイはありませんか?とお店の人に質問していましたが、確かに、いまどき酎ハイがないお店は少ないですもんね。

生ビールはサッポロ黒ラベル。ピカピカのディスペンサーから丁寧に注がれた一杯がやってきました。日本酒を前にした喉の調整に最適です。乾杯!

 

姫路はおでんが独特。全国的にも珍しいしょうが醤油の味付けです。それに加え、酒蔵直営ならではの「白おでん」も必ず頼む一品です。

おつまみでは、姫路の郷土食・ひねポンや、しめ鯖が人気です。穴子やハモといった姫路らしい食材も。

 

「かっぱ 酒饌亭 灘菊」の名物はこれ、白おでん。しょうが醤油で煮込んた串おでんに、自社の酒粕をたっぷりとかけた逸品。

 

牛すじ、玉子、厚揚げ、こんにゃく、ちくわが1串に刺さったボリュームの多さと、おでん種をあれこれ食べられるのも魅力。酒粕で驚くどマイルドなコクが加わり、言うまでもなくお酒を進ませます。

 

おでんの箸休め、というには美味しすぎる小鉢、ひねポン(540円)。播州地鶏を炭火で炙り、細かくきったあとに自社製ポン酢で味を締めています。万能ねぎの苦味もアクセントです。

 

お酒は、定番普通酒の「本醸造なだぎく」。そのままお燗に付けられる徳利型です。おでんと燗酒の組み合わせは寒い季節だけのものではありません。老舗酒場でずっと続く組み合わせに間違いはありません。

 

今の場所に移転しても、明るい時間からおでんとお酒を求める人達で賑わう姿はかわりません。笑顔がチャーミングなお姉さま方の「おふくろ」的な接客も、旅先の癒やしです。

姫路の老舗で、のんびり地酒と郷土の味に舌鼓をうってみてはいかがでしょう。

ごちそうさま。

 

(取材・文・撮影/塩見 なゆ)

 

酒饌亭 灘菊 (小溝筋のかっぱ 酒饌亭 灘菊)
079-221-3573
兵庫県姫路市東駅前町58
11:30~21:00(日祝は20:00まで・中休みあることも・水定休)
予算1,800円



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