那覇・県庁前「なかむら家」 沖縄鮮魚を楽しむ地元酒場。えーぐぁーマース煮に泡盛を。

那覇・県庁前「なかむら家」 沖縄鮮魚を楽しむ地元酒場。えーぐぁーマース煮に泡盛を。

那覇の人に「普段はどんなお店で飲むのが好き?」と聞けば、やはり観光客が多い国際通りより、一本入った路地や、飲食店が密集していないエリアに点在する”知る人ぞ知る”系がお気に入りのようです。

やはり那覇で飲むならば、地場に愛される大衆酒場を覗きたい。そうしてやってきたのは「なかむら家」です。地元の人には有名なお店で、最近は観光客も増えているそうですが、実際にカウンターで飲んでみれば、方言のきついお父さんたちが泡盛片手にいつもの時間を楽しんでいました。

 

鮮魚店をルーツに、居酒屋としては1984年(昭和59年)からの創業。鮮魚店時代からの仕入れルートで、新鮮な地元の魚を日常価格で提供してくれるこで人気です。

 

氷にどぶ漬けされたイラブチ(ブダイ)シチュウマチ(青ダイ)が並ぶ品台に向いたカウンター。魚の向こうでは板さんやお手伝いのお姉さんが猛烈な手さばきで料理やお酒を次々用意しています。

奥は小上がり、手前にはテーブル席。常連さんは板さんと会話しつつ飲めるカウンターがお気に入りのよう。

 

家族連れの姿もあり、子供といっしょでも安心して飲めるボックス席も用意されています。

 

店長のお兄さんは飲食一筋。気の利いたトークもしつつ、手元は止まりません。東京から来たと話すと、隣の常連さんに紹介してくれ、それからカウンターに並ぶ同士で飲み屋の会話に花が咲きました。

 

ほとんどの季節、半袖で出歩ける那覇の夜。いつだって美味しい生ビール。名護でつくられる沖縄の誇り。オリオンドラフトで乾杯。

 

生ビール(450円)、中びんはオリオンのほか、アサヒスーパードライとキリン一番搾りを揃えています。一番が50円高いのに注目。沖縄では本州ビールは少し値付けが高いことがあります。

 

ずらっと泡盛。那覇周辺で暮らす人だけでなく、沖縄の中心地として県北や離島から遊びや仕事で来る人も多く、そんな方々はやはり地元の銘柄を選んでいるようです。

一人飲みならば一合でちょうどいい。度数の高い泡盛は、180mlでもしっかりメートルはあがりますら。

そして、「なかむら家」に来たならば、まずは刺身を頼むべし。地元の人も「ここは新鮮だから」と太鼓判の刺身は、品書きの内容だけでなく、お店の方と相談すれば臨機応変に対応してくれます。

 

魚が看板料理の店。品台に置かれた魚から、「これをあんかけで」などと頼むのがベター。小鉢や天ぷらも沖縄一色です。

 

郷土料理店ではなく、普通の居酒屋なのでチキン唐揚げややきとりもあります。

 

汁物など、丼ぶりででてくるようなボリュームある料理も多いので、頼み過ぎにご用心。

 

いい感じで盛り合わせてもらったお刺身(700円)。全国的にはメジャーではない魚貝に目が行きがちですが、実はタコやまぐろも沖縄の名産。すっきりした味ですいすい食べられる沖縄の近海マグロは、赤身好きなら一度は食べてみて。

 

赤マチと那覇では呼ばれるハマダイ(東京ではオナガ)は地元の市場では高値で取引される高級魚。宮古ではメンタイと呼ぶよと、カウンターの先にいた宮古出身のお父さん情報も。

身に甘み、皮の旨味があり、水で〆れば皮目もキレイ。沖縄の魚の美味しさ再発見です。

 

菊の露をロックで飲み始めたら常連さんも店長さんもびっくり。そんなペースで飛ばして大丈夫?だそう。沖縄の人は長い時間をかけ、じっくり飲んでいく習慣があり、古酒など特別なものでなければ、泡盛は水割りにするのが一般的。それはわかっていても、やっぱり一杯目はぐっと強いのを飲みたくて。

 

えーぐぁーマース煮。これを地元の人が方言まじりで早口で言われ、理解できずに苦笑い。えーぐぁーというのは魚の名前。全国的にはアイと呼ばれる魚で、本州でも太平洋側の酒場でごくまれにみかけますが、沖縄では定番魚。強火で一気に塩味で煮込んだ「マース煮」にして食べれば、これは酒の肴にぴったり。

 

身離れはよく、ほどよく脂が載っています。身は甘く余韻に旨味がしずかに残ります。一緒に煮込んだ豆腐にえーぐぁーの味が移り、こちらも美味。

 

沖縄のもずくは本州のように酸味を効かせず、細い独特なもずくを優しい塩味でいただきます。水割りの泡盛とあわせれば、涼を感じる一品です。

魚のすり身を揚げた「なかむら揚げ」や近海マグロの目玉を煮たもの、沖縄名物のぐるくん唐揚げなども美味しいよ、とのことで、ぜひ近いうちにまた飲みに行きたいです。

地元の人との一期一会の会話と、美味しい酒と肴が楽しめる居酒屋です。

ごちそうさま。

 

(取材・文・撮影/塩見 なゆ)

 

なかむら家
098-861-8751
沖縄県那覇市久茂地3丁目15-2-1F
17:00~24:00(日祝定休)
予算2,500円