【閉店】八戸「なんぶや」 八食センター内の日常食堂は、海鮮料理がよりどりみどり

【閉店】八戸「なんぶや」 八食センター内の日常食堂は、海鮮料理がよりどりみどり

2018年3月1日

新幹線に乗って魚を食べに行こう!

魚好きの筆者。どれくらい好きかというと、週に一度は築地市場を散歩するほど。

東京の居酒屋で食べるお刺身に全く不満はありません。むしろ、日本中からこれだけ集めてくれることに感謝でいっぱいです。それでも、やっぱり時々は産地まで行きたくなっちゃう。思い立ったが吉日と、飛び乗ったは東北新幹線。

今回は東京から東北新幹線はやぶさで3時間の港町・八戸から、市民市場の食堂をご紹介します。そこには東京とはまるで別世界の海鮮がありました。

 

冬にわざわざ行くの?と聞かれれば、冬の魚が美味しいからと答えたい。

 

東北新幹線の速達列車「はやぶさ」は八戸に停車する列車も多いです。それもそのはず、八戸は青森県で青森市に次ぐ人口があります。

 

横丁の聖地。日本一の朝市。こんな垂れ幕が迎えてくれるのだから、ノンベエならば楽しめるに違いありません。

 

新幹線と青い森鉄道が接続する八戸駅。近代的な駅舎にJR東日本ホテルズのホテルメッツ八戸が併設されています。駅周辺は街の中心から離れていて、市街地へは周回バスの利用が便利。

 

お昼から飲むならば、八食センターへ。市民市場のひとつで、外観こそ新幹線開通時に現代風に改められましたが、平日は地元の人で賑わう根っからの市民市場です。

 

施設内は高知のひろめ市場のように、フードコート方式で自由に食べられる開放空間があります。牡蠣串と地酒や黒ラベルを販売するお店もあって、軽く角打ち感覚でつまむのも楽しそうです。

 

乾物や甘味が目立たないほどずらりと並ぶ鮮魚店。卸の役割をしている店がほとんどのようで、昼をすぎればご覧の通り氷が目立ちます。長靴に白衣姿の近所の寿司屋の大将などがセカンドバッグ片手に歩く姿が似合っていました。

 

旬の寒ダラにホッケがずらり。助宗ダラが3本500円。東京の魚屋もびっくりな価格と品揃えです。

 

ごっこにどんこ。地場の居酒屋でお馴染みの深海魚もご覧の通り。

 

持ち帰りのコーナーではこれらのお店から仕入れた海産物や野菜を使い、割烹着姿のお母さんたちが次々と惣菜をつくり販売中。

 

お寿司も安い。さんまま寿司が10個で360円。ここで購入し、ベンチで陸奥八仙や南部美人を飲むというのも十分に楽しそう。

 

ですが、せっかくならば市場の食堂へ。ジャンパー姿のトラックの運転手やスーツ姿の市場関係者、店じまい後に飲みに来る鮮魚店の店主など、みるからに関係者ばかりの賑わい。

 

外は氷点下でも、食堂はぽかぽか。調理場から立ち上る水蒸気に包まれて張り詰めた緊張は緩み、その途端に生ビールが飲みたくなりました。乾杯!

 

カウンターとテーブル席。BGMの代わりにテレビではお昼のニュースが流れています。新聞片手に飲む人、次の配達先までの時間を気にしながら、ブリ刺身定食を頬張る人など、さまざまです。

カウンターにはよりどりみどりの焼き魚。しまほっけに真ほっけ、ほっけが2種類あるあたり、食べに来る人のこだわりが感じられます。

 

魚料理はどれも500円前後。品書きになくても「こんな感じ」と伝えれば慣れた手つきで刺盛りを用意してくれます。

カジキのトロ、生本マグロ、分厚く大きなホタテ貝柱に甲が透き通った甘エビ。どれも新鮮そのもの。

 

カジキマグロはこんなに脂が乗っているので一見するとしつこそうですが、食べるとすっと溶けて広がり優しい旨味がふんわり残ります。これはお燗酒がぴったり。

 

食堂なので八戸ラーメンやうどん、せんべい汁となんでもござれ。大皿に盛られた小鉢や焼き魚を揃えて定食にすことも可能です。

 

観光客向けの要素はほとんどなく、海鮮丼も地元の家族連れが馴染みの食堂という感じで食べています。

 

150円の小鉢には青森の定番「まぐろ煮」もあり、この価格でよいのかと驚かされる安さ。お酒は地酒ではなく月桂冠。それでも市場のわちゃわちゃした雰囲気の中で飲む燗カップは格別です。

 

八戸といえば八戸前沖鯖に代表される鯖の名産地。開きの半身が250円とお財布に優しく惹かれますが、うう、もうお腹いっぱい。旅先の市場食堂は魅力がいっぱいです。

ごちそうさま。

 

(取材・文・撮影/塩見 なゆ)

 

なんぶや
0178-28-0561
青森県八戸市大字河原木字神才22-2 八食センター
9:00~19:00(水定休)
予算1,500円