那覇「大衆酒場 足立屋」 千円握りしめて酔いに行こう!沖縄せんべろ発祥の店


いま、沖縄は空前のせんべろブームです。といっても東京のそれとは異なり、もともと飲食店の相場が安いこともあって、本気で千円でべろべろにさせようとしてくるのです。

そのきっかけとなった酒場が牧志公設市場近くのマーケットの片隅でなんと朝6時から営業の立ち飲み屋「足立屋」です。1号店は県内の別の街にあるのですが、アクセスの良さ、朝から夜まで通し営業な点、そして開放的な雰囲気もあって、那覇・松尾の同店はひときわ輝いています。

 

沖縄イチの繁華街・国際通りから牧志公設市場へ入る複数のアーケード。食材から洋服、食堂などがわんさか商品を並べ、ほぼすべての店が営業中ということもあり地方都市ではまれに見る活気ある商店街です。

観光客の姿が目立つものの、主な利用者は地元の人で、地域に無くてはならない存在であり続けているようです。

 

那覇中心部のアーケードは、一本曲がったその先がおもしろい。パスポート不要の海外とはよく言ったもので、日本語表記さえなければ完全に台湾や東南アジアの景色そのものです。

本州の闇市や花街の余韻が残る路地を歩くのとはまた違った魅力があり、その先に酒と肴が待っているとあれば観光スポットばかり巡ってもいられないはず。

 

そうしてT字路をわけ進んだ先に、見覚えのある赤い星マークを発見。すでに店先では午前中にもかかわらず地元の方たちが泡盛でいい気分になっている様子。

 

沖縄は冬でも暖かい。今日は特に寒いという2月ですら気温は15度ほどあり、真冬の東京の店先で飲んでいる筆者には、軽めのコート一枚で飲めることに喜びを感じるほど。なにせ、もう桜は開花済みというのですから、それは絶好の飲み日和なわけで。

 

ビールは生がオリオン。瓶は最近営業さんが活躍中という赤星。オリオンビールはその名の通り南の星「オリオン座」から来ていますが、北の空を代表する北極星とこうして立ち飲み屋で並び輝きます。

では乾杯!

 

なんで赤星なの。という疑問もあるかと思います。実は足立屋のお酒は甲類にキンミヤ、割材にホッピーと赤星だけでなく、他のメニューにも東京の下町の定番が揃っています。

 

店のコンセプトは「下町大衆酒場」。そもそも東京で中島らも氏によって名付けられた「せんべろ」という言葉は、東京の下町の酒場にぴったり当てはまり、その東京の安く楽しくのスタイルを沖縄式に作り変えたのが「足立屋」というわけです。

 

もともと沖縄は立ち飲みや軽く一寸一杯という飲み方はなく、そんな中にせんべろが来たものだから、陽気で人懐こくお酒が大好きな沖縄県民に大きく受け入れられ、独自解釈で進化し、すっかり定着しています。いまや、牧志公設市場周辺の裏路地はせんべろ天国と化しています。

 

千ベロはきっちり税込み千円。なんとこの価格でお酒は3杯も飲めます。

おつまみは下町風の豚モツ煮込みか串揚げ4本セット、もしくは日替わりの「本日の千ベロ」から鮮魚のぶつ切りやたぬき豆腐が選べます。ウコンサプリの酒豪秘伝も千ベロのおつまみとして選べるのが笑いどころ。そこまでして飲みたいの。と思っていたら、早速売れていました。沖縄人といえど、みんな強いわけではない。

千ベロセットのお酒はビールを含む(一部除く・詳しくは店員さんに)ほぼすべてのドリンクを注文可能。オリオンドラフトでもホッピーセットでも。アルコール40度の泡盛なんて昼から3杯飲んだら相当「ベロ」になりそうです。

 

おつまみも充実しています。基本は千ベロからスタートし、そのあと泡盛ロックや水割でちびちびやるのが常連の流れ。注文を受けてから揚げる串揚げや焼鳥、焼とんは種類豊富で、4本250円とこれまた驚くほど安い。

一品物も鰻からハムカツまでバラエティに富んでいます。

 

子連れでやってくる常連さん。お子さんは近くで買ったソフトクリームを舐め、お爺ちゃんやお母さんは泡盛を舐める。奥では夜勤明けの若い女性二人組みが仕事のストレスを流すべく、ぐいぐいとオリオンを喉に当てている。

南の国の解放感、沖縄各地でもこれほど自由な空間はめったにないでしょう。

 

丁寧な接客も特長で、そんな中突然イケメン店員さんが「お姉さん、昨日浮島通り梯子してたでしょう。今日も朝から飲んで最高ですね!」と突然話を差し込んでくる。わ、わ、見られていた。聞けば、お兄さんは店を上って朝までこのあたりで飲んでいたとか。

ボリュームある串揚げ、牛にみえてこれは鶏。揚げ具合もちょうどよく、たっぷりソースでビールが進みます。

 

電氣ブラン、泡物、薩摩焼酎とハイアルコールが並ぶ向こうでは、牧志公設市場でもお馴染みの郷土食材の豚モツを使った鍋がぐつぐついっています。

 

古酒40度の泡盛をソーダで割って「元祖足立サワー」。沖縄は泡盛のソーダ割は一般的で、本州の人が泡盛ロックしか飲まないことをむしろ「強いなー」と感心していました。

 

割ってゆっくり時間をかけて飲むのが本場の泡盛の飲み方だと常連さん。古酒の濃厚な味はちっょとソーダで割ったくらいでは風味・旨味も飛ばずに十分美味しい。

 

朝ベロなモーニングセットはお酒2杯とめざしで500円だとか。早朝から飲みに来る人も多いのだそうで、朝まで飲んだ〆の一軒に立ち飲みというのは、わからないでもないです。冬でも断熱・暖房なしで南国の太陽を浴びていい気分。

 

市街バスの多くが国際通りを経由するので県内各地から好アクセス。宜野湾市や宮古島から来た人と一期一会の飲み話に花が咲きます。

 

沖縄のセンベロはより開放的で、より酔っ払えて、なにより最高に楽しいです。ノンベエならば牧志公設市場周辺の立ち飲みにこそ南国パラダイスを感じるはずです。

ごちそうさま。

 

(取材・文・撮影/塩見 なゆ)

 

大衆串揚酒場 足立屋
098-869-8040
沖縄県那覇市松尾2-10-20
6:00~22:00(不定休・だいたいやっています)
予算1,000円



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