鐘ヶ淵「はりや」 名残と挑戦。酎ハイの名店の歴史が再び動き出す


鐘ヶ淵の「はりや」といえば酒場好きなら一度は耳にしたことがある名酒場です。惜しまれつつも2016年12月に道路拡張のために73年の歴史に幕を閉じました。

はりやは白髪が似合うダンディなご主人と奥様のご夫婦で切り盛りしていました。その娘さんが今年、ご両親の暖簾を受け継ぎ、なんと「はりや」を再始動。「まさか復活するとは!」と、大いに驚き、そして喜びました。

今回は、そんな新たなはりやの様子をご紹介しましょう。

 

むかしながらの私鉄の下町駅の姿そのままの鐘ヶ淵駅。高架化やバリアフリーで近代的な建物が増える東京の駅にあって、これもまた貴重な光景です。

 

駅前には踏切。風情はあるもののなかなか踏切が上がりません。

鐘ヶ淵駅は北千住以南各駅に停まる列車しか停車しませんが、線路自体は本数が多く、浅草と日光を繋ぐ特急や東急田園都市線まで直通する広域通勤列車が次々と行き交います。

 

踏切の前を東白鬚公園、防災団地を目指して進む道は昔のまま。タクシーの営業所に昔ながらの街中華。ですが、はりやのあった場所は余韻を一切残さず更地になっています。

 

そして、復活のはりやはこの空き地を進んだその先に。もともとあった住居部分を改装して造られています。

 

受け継がれた縄のれんをくぐり、その先へ進むと現代にオープンしたお店とは思えない渋いL字カウンターがあり、それは昔のはりやのイメージに近い。旧店舗時代の部材をふんだんに利用していることもあり、なんだか懐かしい雰囲気です。

 

酎ハイ、300円。昔の店舗で使われていた酎ハイディスペンサーもそのまま使用し、レシピも変えていないという酎ハイは、本当にあの味のまま。久しぶりに飲んだので「あれ、濃い?」と言ってしまいましたが、一年間で私が弱くなったのかも。

乾杯!

 

酎ハイ、瓶ビール(580円)、日本酒(500円)に加え、グラスワインやかりん酒が増えました。

 

料理も引き継がれたものと、新たにノンベエ心をくすぐる豊富な肴が追加され、酎ハイと並ぶ新たな魅力を発しています。お通しはありません。

 

赤いウインナー(300円)。”赤い”とわざわざ書くのも好きですし、タコさんウインナーなのも好き。ノンベエは子供の頃の好物を忘れません(笑)

センスよく野菜も盛られてこの価格、鐘ヶ淵価格恐るべし。

厨房を眺めながら飲む配置なので調理の様子を拝見していましたが、どれもとても丁寧に作られていて料理に対する想いが感じられます。

 

お隣の常連さんのイチオシ、トウバンジャン鍋(580円)。ごま油をひいて具を次々と入れてトウバンジャンで味をまとめたもの。寒い季節にはたまりません。

 

酎ハイをクイクイと喉を流したくなる辛さです。この鍋は少しとっておいて…

 

キャベツ炒め(380円)。はりやのキャベツ炒めは焼きそばのこと。旧店舗時代からの名物で、これが干しエビを入れるなどグレードアップ。飲んだ〆でなく、これをつまみにお酒が進むおつまみ焼きそばです。

 

常連さんが頼んだ「玉子焼き」。ふわふわでのオムレツ風。見た目も美しく、女性主人のセンスを感じます。

 

酒肴が300円から400円がほとんどで、どれも丁寧につくられているのが素敵です。お腹にそこまでたまらず、美味しく楽しく過ごせる数々。

 

さっきのトウバンジャン鍋は、少しとっておけばお鍋にできる。そう常連さんが教えてくださり、私の〆ははりやでおじや。豆腐を少し残してレンゲでかき混ぜるのがポイントだそう。

 

卵で綴じてとろとろに。暖まります。

 

はりやは昔からビールはキリン。新店舗になっても、この眺めはかわりありません。酎ハイは度数が高いので飲んだあとはビールでしっり水分補給も。

 

酎ハイを飲むごとにやってくる小判型食券札。これも昔のまま。

また、以前店のアイドル的存在だったGEの年代物の冷蔵庫は姿を消しましたが、GEのエンブレムがひっそりと飾られているので探してみては。

変わらない魅力と、変えていく魅力、この絶妙な融合がここにはあります。

ごちそうさま。

 

(取材・文・撮影/塩見 なゆ)

旧店舗時代の記事

 

はりや
03-6657-5359
東京都墨田区墨田2-9-11
17:30~23:30(日定休)
予算2,000円



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