大分「こつこつ庵」 親しまれて半世紀、県庁裏の豊後料理の定番飲み屋。

大分「こつこつ庵」 親しまれて半世紀、県庁裏の豊後料理の定番飲み屋。

六郷満山開山1300年に湧く大分宇佐地域。宿泊の拠点といえば名湯別府。そして旅の拠点といえば大分市街です。JR大分駅ビルもホテルを併設した新駅舎が誕生し、観光に出張に訪れる人を迎える準備は万端の様子。

 

となれば、食と酒の魅力も気になるというもの。豊後水道で水揚げされる新鮮な海産物や「りゅうきゅう」などの全国的には知られていない地場の料理も豊富。

 

そして、御酒といえば我らの味方、下町のナポレオン「いいちこ」の三和酒類や二階堂に代表される麦焼酎の名産地でもあります。

ぜひ今年は歴史と温泉と食が沸き立つ大分へ足を伸ばしてみてはいかがでしょうか。

 

大分駅前にはニワトリの像が鎮座していまして、日本でもイチニを争うほど鶏食の県でもあります。

 

そんな大分の食を大衆酒場で楽しむならば「こつこつ庵」が王道のチョイス。創業は1971年で半世紀近く続く老舗です。場所は県庁裏といういい店がありそうな期待できる立地。木造の建物にはレトロな看板がたっぷり。

 

現在は東京で飲食修行の経験もある二代目が引き継いでいます。昔ながらの酒場の雰囲気ながら現代風の元気が感じられます。

入って左のカウンターはお一人様なら特等席。目の前のケースにはやっぱり鶏が並びます。海鮮類も種類が豊富で黒板を彩っていますが、調理は厨房側で。

 

右側は板間となっていて、民宿の食堂のようなムードです。

 

とにかく焼酎の種類が多くてメニューはびっしり。ビールはアサヒスーパードライでエクストラコールドも選択可能。お酒は国東半島の定番酒「西の関」を筆頭に地のものがならびます。

 

とはいえ、やはり大衆酒場の乾杯はビールでしょう。肉付けの薄い昔ながらのたっぷり中ジョッキににんまりしながら、では乾杯。

 

ジョッキ片手にメニューをぺらぺら。だんご汁はほうとう風の太い小麦粉の麺が入る味噌汁。とり天は大分のソウルフードです。かんぱち、たい、関あじ、豊後水道でとれた魚介類は刺身でも食べられますが、やっぱり大分ならば「りゅうきゅう」です。

臼杵市の郷土料理、キラスまめしはもっとマイナー。醤油漬けの魚におからを混ぜたもので、これに麦お湯割りをあわせたら、何杯でも行けてしまいます。

 

お腹に余裕があればあれもこれも食べたくなる内容です。

 

400円が中心で定番の酒場料理も一通り揃い、地元の人は郷土料理一品くらいに、あとはいつものようにニラ玉などを食べている様子。

 

ハモ天、カキフライ、馬刺しなど、瀬戸内や九州隣県の料理が混ざっていることがわかります。

 

お通しに地物の小鉢をひとつ。頼んだ料理を待ちながらジョッキをぐいっと。

 

カボスを餌に混ぜた大分ブランド養殖ブリ、その名もカボスぶりを使った琉球(600円)。九州特有の甘い醤油にたっぷりの胡麻といっしょに浅く漬かったブリは、お酒を誘うこと間違いありません。醤油漬け…と聞くと辛そうに思うかもしれませんが、これが違うんです。甘さのある醤油好きの筆者は大好物。

 

定番のとり天をおつまみに、西の関の燗酒をだいぶ飲み進めたところで、十分すぎるボリュームの「だんご汁」が〆。鶏に油揚げ、たっぷりの根菜としいたけが入った具だくさん味噌汁で、これと燗酒だけでもそうとういいものです。

 

うどんは少なめにしてもらい、軽くつまもうと思っていましたが、やっぱり太くて一本で食べごたえたっぷり。

郷土料理を提供するお店は駅ナカの和食店から町中の居酒屋まで様々ありますが、お酒を飲んであれもこれもとつまみたいならば、私のおすすめはこつこつ庵です。

地元の人が多いというのもポイントでしょ。

ごちそうさま。

 

(取材・文・撮影/塩見 なゆ 取材協力/九州旅客鉄道株式会社)

 

こつこつ庵
050-5872-5312
大分県大分市府内町3-8-19
17:00~22:30(日定休)
予算3,000円