築地『とゝや』創業から半世紀。受け継がれる味にヱビスを合わす

築地『とゝや』創業から半世紀。受け継がれる味にヱビスを合わす

2017年12月28日

築地といえば魚河岸が有名ですが、寿司屋や海鮮丼だけが名物ではありません。老舗の洋食屋や市場で働く人々の胃袋を満たす中華食堂、そして意外と鳥専門店も充実しています。

万年橋を挟んだ向こう側、日本一の繁華街・銀座と対をなす日本一の市場町・銀座の食堂は名店ぞろいです。晴海通り沿いで半世紀を越えて愛される老舗鳥料理屋「とゝや(ととや)」もそんな名店のひとつ。

朝9時の開店とともに市場関係者を中心に賑やかになり、11時を過ぎた頃にはグルメ好きな会社員や観光客も加わり行列ができるほどの人気です。

「とゝや」というとランチタイムの焼鳥丼で知られていますが、それはこのお店の一面に過ぎません。ここではとゝやの朝飲みの魅力をご紹介しましす。

二部体制の営業で午前9時から午後2時までと、夕方5時から夜9時まで。夜営業では鶏鍋をメインにお酒も生ビール(ヱビス)や日本酒が選べます。午前営業はお酒はビールだけ。それでも早朝から仕事をする市場関係者のビールオーダー率はとても高いです。

ヱビス大びん(700円)をもらって、トトトとビヤタンへ。窓から差し込む午前の光に照らされ黄金色に輝くヱビスビール。最高です。乾杯!

午前のメニューは丼3種類とおつまみに煮こごり、平焼、そして小鉢たち。

ビールを頼むと突き出しで軽くつまめる煮こごりがでてきます。鶏皮の煮こごりは珍しいです。クセのない軽い脂と出汁のバランスが素敵。煮こごりは冬の季語。いまこそつまみたい旬の肴です。

メインは丼ではなくて「平焼」をお試しあれ。甘さ抑えめであっさり味。強火でぱぱっと焼き上げるもので外は香ばしくぱりっぱり、中はしっかり食感の中に肉汁もたっぷり。脂身と正肉と皮のバランスも絶妙です。創業以来継ぎ足しているタレも味の決め手。

串に刺したものではなく、平焼の通りもも肉を平らにして焼いています。6枚と結構ボリュームがあり、大瓶1本だけだとややビールが足りなくなるくらい。

大根おろしを一緒に頼むのがおすすめ。焼き鳥屋の大根おろしはタレを加えておつまみにするもよし…

七味や山椒をふりかけた上で鶏に載せて食べるのもすっきりとしてよいです。優しい旨味の余韻にすかさずヱビスビールをくいっと。〆の鳥スープも夜の鍋にも使われている鶏つくね入りでぜひ一緒に頼んでみて。

夜は鶏雑炊や一品料理も加わるコースや焼鳥の一通りもあります。まずはお昼で鶏専門50年の味を体験されてみてはいかがでしょう。

店の裏は細い路地が広がり、築地場外の観光客が立ち寄らない昔ながらの光景が広がります。焼鳥を食べて、路地を見学、最後は市場の鎮守・波除稲荷にお参りなんてコースはいかがですか。

ごちそうさま。

(取材・文・撮影/塩見 なゆ)

店名とゝや(ととや)
住所東京都中央区築地6-21-1
営業時間営業時間
[月~土]
9:30~14:00
定休日
日曜・祝日
創業1960年代