広島「源蔵本店」 飲みたいとき、いつもそこにある。猿猴橋の名食堂


昭和20年頃、広島駅南東の猿猴橋周辺は巨大な闇市でした。最近までその名残を残す市場がありましたが、再開発で当時の面影はわずか。ここに、焼け野原となった広島の復興とともに歩んできた大衆食堂があります。

終戦から3年後の1948年頃に創業した「源蔵本店」は、いまも朝9時30分から夜の9時30分まで広島駅前に集う人々の胃袋と飲酒を支える貴重な老舗です。建物は2011年に建て替えていますが、料理やお酒はもちろん、お店の方やお客さんも当時のままのいい雰囲気だと往時を知る人は言います。

 

周囲にはガラス張りのきれいなビルが立ち並ぶなか、源蔵本店は昔ながらの食堂として渋く暖簾を掲げます。

 

ところで、「源蔵」という言葉は通徳利の呼び名だということはご存知ですか。1升をこえる巨大な徳利で、酒屋と家庭や飲食店の間でお酒のやり取りに使われていたもの。その由来は忠臣蔵「赤垣源蔵 徳利の別れ」にちなみ源蔵徳利と言うそうです。忠臣蔵がお好きな方は12月14日は源蔵さんで飲んでみてはいかがでしょうか。

 

さて余談はこのくらいにして、早速店内へ。大箱でテーブル席が並びます。カウンターはありませんが一人客も多く、老若男女ひとりからグループまで使いやすい雰囲気です。

暖簾には大衆食堂と書いていますが、朝9時半からシュポっと王冠抜いて傾けられます。

 

冷蔵庫には小鉢や刺身が並び、好きなものを選べます。市場に仕入れに行くのは目利き上手なご主人で、若く勢いのある方です。70年近く続く老舗の暖簾を守る気持ちが建て替えという決断になったと話してくださいました。

 

お酒は昔からキリンビール。広島はクラシックラガーが人気だと教えてくれた今回の飲みの同行者、キリンビール広島支店長の田中さんと広島・山口支社の原田さん。たしかに、老舗のお店は一番搾りよりもみかける頻度が高いかもしれません。

 

それでは、まずはビールから。生樽もやはりキリンラガー。東京では樽のラガーは珍しいので、ちょっとテンションが上がります。左が中ジョッキ(435ml)で500円。右はどーんと1Lジョッキで1000円。少し冷えてきても、飲み屋に入ったら年中ビール日和です。

岡山工場うまれのキリンラガーで乾杯!

 

おつまみには瀬戸内名物の蝦蛄。尾頭付きで爪の先まで食べられます。厚みがあり甘くコクのある味に魅了され、実は2皿も食べてしまいました。取材なのだから、1品で十分なのに、美味しすぎてつい。

 

小鉢も豊富でどれもお酒にあうものばかり。酢の物にはタコとわかめがたっぷり。もちろん地のものです。

お刺身は600円から。刺盛りで700円。小鉢が230円から。穴子の煮つけ(580円)や鯛のあら炊き(800円)、タコの天ぷら(650円)などバラエティ豊か。握り寿司(800円)なんていうのもあります。

 

お酒は酎ハイへ。正確にはチューハイ。キリン樽詰サワーでウオッカをベースに富士の伏流水で仕上げたもの。タップを倒せばそのままでてくる関西に多いちょい甘めのチューハイです。

プレーンで飲むのが一番美味しい!なんて言うといけないのかな(笑)

 

瀬戸内海の街ですから魚の子の煮つけ(650円)が素敵な珍味。これを目当てに飲みに来る人もいるそうで「売り切れてなくてよかった」という逸品。甘くつぶつぶに旨味がつまっていて、ビール・チューハイ・日本酒酔心が進みます。鳥もつ煮(450円)も人気メニューです。

 

鳥もつ煮にはスモーキーさと爽やかな抜け具合がちょうどいいハイボールも好相性。

 

最近導入が進むホワイトホースのハイボールはしっかり濃くて400円。バーでお馴染みのスコッチハイボールですが、酒場にあっても違和感ありませんね。煮物や天ぷらにばっちりあいます。

 

建て替える前の写真を少しみてみましょう。小上がりに小さな座布団、緑の床に可愛いポット。二階はちょっと傾いていたと思い出話が盛り上がります。

 

高倉健さんのキリンラガーやイチロー200本安打のポスターが超懐かしい。ビールで笑うお二人は当時のキリンの担当さん。

 

暖簾はいまと同じの店構え。渋くカッコイイ。これから先の何十年、新しい建物に味わいがでていくのが楽しみです。広島に降りたら必ず立ち寄りたい飲み処「源蔵本店」。朝市場で仕入れたばかりの新鮮な魚と広島の酒とビールに出会えるお店です。

皆さんも覗いてみてはいかがですか。

ごちそうさま。

 

(取材・文・撮影/塩見 なゆ 取材協力/キリンビール株式会社)

 

源蔵本店
082-263-3855
広島県広島市南区猿猴橋町5-18
9:30~21:30(日は21:00まで・月定休)
予算2,000円



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