築地「鳥芳」 これぞ古き良き東京の焼鳥。職人仕事が素晴らしい

築地「鳥芳」 これぞ古き良き東京の焼鳥。職人仕事が素晴らしい

2017年10月26日

今日は東京・築地から焼鳥の老舗「鳥芳」をご紹介します。

魚河岸のイメージから海産物の街と思われがちな築地ですが、古くからの鶏肉専門店や鶏料理の飲み屋も多いです。鳥芳も半世紀をこえて続く名店で、近隣の会社員や築地に暮らす人々から世代を越えて愛されています。

築地・新富町は銀座通りからも徒歩7分ほどの場所。昨今は奥銀座なんて呼ばれ、落ち着いた町並みと老舗の佇まいを求めて飲みに来る人の姿もみられます。

大衆的なもつ焼き屋にはない、ぴしっとした店構え。東京の古い焼き鳥店はどこか蕎麦屋や寿司屋のような佇まいです。暖簾には「鳥やき」の文字。

一枚板の白木のテーブルが美しい店内。焼き場に向いたカウンター席と、奥にテーブル、座敷が広がります。銀座から百メートルの場所にも関わらず、ここは別世界の落ち着き。

伝統的な東京の酒場のかっこよさがここにあり。

安さをうりにするお店ではありません。昭和のまま時間が止まっていて、いまの人たちの趣向には添えていないかもしれませんが、それこそ老舗酒場に訪れたくなる価値だと思います。女将さんと職人さんの丁寧な仕事に惚れる店。

お酒は400円で日本盛一本。ビールはサッポロ。瓶ビールは昔からずっと赤星。酎ハイは420円から。

焼鳥は単品でも注文可能ですが、まずはコースで一通り食べるのが基本。5本1,800円でだいぶ満足できるはず。すべてにお新香、おろし、スープがついてきますので、軽くコースメニューというイメージです。

黒ラベルですが、ここではあえて昔の「サッポロ生ビール」と呼びたい。500mlジョッキのしゅっとした生ビールジョッキが素敵。鳥芳独特なタップからジョッキを一時的に離して泡を作る注ぎ方です。

それでは乾杯!

焼鳥が焼ける間をつなぐ自家製のお新香。大根おろしはそのまま食べても良いですが、焼鳥に添えて食べるためにとっておきます。

鳥芳は焼鳥ではなく「鳥やき」。一本一本異なる具合で味付けされていて、串を持つときにちょっぴりテンションが上がります。焼き上がりが同時になるように焼き始めを変え、さらに焼き具合も表面をカリっと、中はふっくらと仕上げた職人技。

一本が大きく満足感があるだけでなく、その味がなにより好きになります。

「日本盛はよいお酒~♪」と頭の中で日本盛のキャッチコピーがぐるぐると。灘の銘酒、淡麗辛口のぴしっとした味が、東京のみりんをたっぷり使った甘タレと抜群の相性。

最後に瓶ビールをもらって仕上げの鳥スープ。

東京には日本全国の食材や料理が集まって、食べたいものはなんでも食べられる街になりましたが、伝統的な東京の味もまた代えがたい魅力があります。しっぽりと、美味しい焼鳥に癒やされるひととき、いかがでしょう。

ごちそうさま。

(取材・文・撮影/塩見 なゆ)

鳥芳
03-3543-2825
東京都中央区築地2-11-3
17:00~21:00(ランチ営業あり・土日祝定休)
予算2,900円