本八幡「八幡や」 まもなく創業40年!路地裏の渋いせんべろ酒場

本八幡「八幡や」 まもなく創業40年!路地裏の渋いせんべろ酒場

2017年9月21日

東京からJR総武線で江戸川を渡り、千葉県最初の街が市川市です。快速線も停車する市川駅は、その駅名からも市川市の中心街と思われがちですが、実は市役所があるのは一駅となりの本八幡です。

地名の由来は葛飾八幡宮からきていて、平安時代創建の歴史ある神社です。はちまん様の街なので「八幡」。由来と地名で読み方が変わるのは珍しいです。

都営地下鉄新宿線と京成本線も乗り入れており、感覚としては東京と一体化したベッドタウンですが、実は飲み屋街の個性はおとなり船橋や小岩とも違う、独特な雰囲気を持っています。

今回ご紹介するお店は1978年(昭和53年)創業の焼き鳥屋「八幡や」です。

JR本八幡駅と京成八幡駅が繁華街を挟み込むような位置関係にあり、地元住民や近隣で働く人だけでなく、両駅と都営新宿線を乗り換えるお客さんも飲み歩く場所。細い飲み屋街が何本も伸びていて、どこか懐かしい街並みが楽しめます。

そんな本八幡で、ひときわ渋い幅一間ほどの細い路地で40年近くのれんを掲げる「八幡や」は16時オープン。酎ハイが250円とリーズナブルで、料理もほとんどがワンコイン以下と、まさしく大衆のための酒場。いい意味で、近隣の人々の生活感が漂うお店です。

継ぎ足して変わらぬ味を守るタレをつかった焼鳥が看板料理。昨今、外食の世界でも冷凍が当たり前のやきとりですが、こちらは寿司屋のネタケースのごとく、串打ちしたその日の分を冷蔵ケースに並べています。フレッシュな状態で使い切る、あたり前のことなのですがやはり味に違いが出るのだといいます。

焼台を前にしたカウンターと、テーブル席にちょっとした囲炉裏席という配置。民芸調の内装で、どこか山奥の旅館のような暖かさ。

船橋の市場も近いことから海鮮も揃えていて、かわはぎの刺身が450円など日々飲む人の財布に優しい値段設定です。

ビールはキリン一番搾りで390円。日本酒は2合で480円、酎ハイが250円と昨今安さをウリにしている大手チェーンもびっくりな良心価格。

焼鳥は2本から注文ですが、違う串を選んでも良いので縛りは気になりません。1本100円で、自家製骨つくねもこの値段。

そして、八幡やが「せんべろ酒場」たる理由はこのおつかれさんセット。お酒2杯に串3本、前菜もついて1,000円ぽっきり。200円を追加すれば2杯めにホッピーセットを選ぶこともでき、追加でキンミヤ焼酎を選べば1,500円でいい感じに火照ってきそうです。

一杯目は生ビール。キリン一番搾りで乾杯!

ギラギラネオンの表通りよりも、一本二本はいったこんな路地裏で飲むほうがホッとします。

頼むはもちろんおつかれさんセット。前菜は日替わりで、この日は玉子焼きとタコときゅうりの酢の物です。おつかれさんには、やっぱり酢が嬉しい。あれ、私はおつかれさんなのか(笑)

串は骨つくねと焼とりが固定。もう1串は自由に選べますが、ピーマン肉詰めが好みの味。タレは醤油分がしっかり効いていて濃い目の味。ビール、酎ハイを呼び込む鉄板の酒場味です。

1本100円といえどもしっかりとしたサイズで、串の打ち方も短冊状にみっちり詰まった丁寧なもの。燻の風味と濃厚なタレが混ざり、クセになる味です。

チューハイはしっかり濃い目。さすが濃いめ大好き江戸川流域。ウーロンハイは22時までは240円、クエン酸ハイにしても300円とリーズナブルで、この店で2,000円も飲めばだいぶ出来上がってしまうでしょう。

トーク炸裂、個性的で人懐こい大将の接客も楽しく、はじめて飲みに来ても大将と話していると親の代から通っている店のような錯覚に。価格良し、人柄よし、昭和の飲み屋街らしい渋さが素敵な大衆酒場です。

ごちそうさま。

(取材・文・撮影/塩見なゆ)

八幡や
047-336-9457
千葉県市川市八幡2-14-14
16:00~02:00(日定休)
予算1,800円