宇都宮「庄助」 名酒場は県庁周辺にある!現存するこの街最古の飲み屋

宇都宮「庄助」 名酒場は県庁周辺にある!現存するこの街最古の飲み屋

2017年8月10日

餃子の街、そして多数の名バーテンダーを輩出するバーの街としても知られる、栃木県の県庁所在地・宇都宮。東京からは東北新幹線で50分の距離ですが、上野東京ラインや東武鉄道といった在来線で旅情を味わうにもちょうどいい距離です。

街はJR宇都宮駅周辺と東武宇都宮・県庁周辺と大きく分けて2つの繁華街があります。軽く立ち寄る程度ならばJR宇都宮駅周辺でも餃子を肴に軽く一杯が楽しめますが、どっしり飲むならばやはり本町、東武宇都宮、県庁周辺まででるほうが深く楽しめます。

栃木県最大の商店街オリオン通りを中心に、どこか懐かしい風情が残る飲食街、繁華街が広がっています。お昼から飲めるお店もありますし、餃子だけで帰るのはもったいない宇都宮。

うろうろしていると、横丁風の広場や川沿いに昭和の味わいをそのまま残したような飲食店が見つかり、梯子好きの心をくすぐります。

さて、地方都市でいい飲み屋を探そうと思ったら”県庁の周辺を探せ!”が宇都宮にもばっちり当てはまります。チェーン店が建ち並び賑わう大通りやオリオン通りを離れ、宇都宮二荒山神社の脇を通る古くからの道「八幡山通り」を少し歩いた場所にほっとできる大衆酒場が点在。

その中にある一軒、宇都宮で現存する最古の大衆酒場「庄助」をご紹介しましょう。

別名「雷都」と呼ばれる宇都宮は、夏場は夕方になると頻繁に雷とともに夕立が発生します。この日も天候が怪しくなってきました。じめっとした空気もまた、飲みの欲求をかきたててくれるように思えます。

1950年(昭和25年)創業。ぴしっとした店構えがかっこいい。

古くとも手入れが行き届いた建物は、老舗酒場独特の重厚感と、飴色に染まった優しさが漂います。カウンター、テーブル席のほか、小上がりが用意されていて、口開けにあわせてご近所にお住まいの常連さんが仲間と一緒にやってきます。

冬場は郷土料理のきのこ鍋が名物。ちびちびとつまむ柚子みそを好む常連さんも多いです。これは柚子の中をくり抜き味噌をつめ乾燥させたもの。スライスしてからすみのような見た目で供されます。

鍋の色が強くなる寒い季節より、酒場らしさは夏に軍配が上がります。季節料理で内容は毎日かわりますが、豊富なお刺身と揚げ物、小鉢か多数揃い踏み。

特等席は、大皿に旬の野菜や魚が並ぶカウンターでしょう。お通しの枝豆とともに、一杯目が運ばれてきました。ビールは生、瓶ともにアサヒスーパードライ。瓶ビールのときに使うビアタンは太陽マーク時代のものが現役です。

じっとりとした夏、きりっとひえて辛口なスーパードライもいいものです。乾杯!

料理の価格は記載されていませんが、想定の範囲内に収まりますから大衆酒場が好きな人ならばいつもの感覚で頼んで問題はないかと。

おすすめはしめさば。若くしめられ、ぷりっとしていて鯖の甘い脂が口の中でじわりと広がります。刺身にはたっぷりの薬味が庄助の特長です。

日本酒の銘柄はただひとつ。会津の銘酒、末廣の普通酒です。吟醸酒、特別純米などを置くお店も好きですが、歴史ある酒場は普通酒一択に惚れるものです。夏場でも軽く燗をつけてもらって、きゅっと一口。

宇都宮といえば餃子。庄助にも店名を冠した「庄助餃子」があります。専用にラー油もでてきますが、特別個性が光るものではありません。ひき肉とニラの餡から溢れ出す肉汁。平凡だけれどもお酒とよく合い、箸が止まらない一品です。

甲類焼酎でマイルド明利(茨城県水戸市・明利酒造)があり、タンサンも置いていますので、この餃子を肴に酎ハイをちびちびと飲むのも楽しくなります。

立派な水ナスが気になり、浅漬けをひとつ。旬の野菜の濃い味にお酒がまたひとつ進みます。

家族経営の暖かな接客、それを求めて通う常連さんも穏やかで、肴はもちろん、人ヨシの酒場でもあります。

はじめての人でも、酒場のマナーを守ればきっと受け入れてもらえます。またもう一度、宇都宮に行きたくなる。そんな銘店です。

ごちそうさま。

(取材・文・撮影/塩見 なゆ)

庄助
028-622-3506
栃木県宇都宮市塙田2丁目2-3
17:00~23:00(日祝定休)
予算2,800円