【閉業】高松・瓦町「しるの店 おふくろ」 受け継がれて半世紀。歓楽街の真ん中へただいま

【閉業】高松・瓦町「しるの店 おふくろ」 受け継がれて半世紀。歓楽街の真ん中へただいま

2017年6月21日

従業員だった方が「惣菜居酒屋 まほろば」として、「しるの店 おふくろ」の系譜である居酒屋をオープンさせています。(香川県高松市瓦町1丁目11−12)

JR高松駅は宇高連絡船時代の名残もあって港に隣接しており、潮の香りと波音が聞こえてくるところにあります。繁華街へは、ここから小さな電車「ことでん」で2駅先の瓦町駅まで乗車するか、もしくは10分ほど歩くことになります。

香川の県庁所在地・高松の繁華街は一箇所に集中しているのが特長で、駅前こそ港の広い風景が広がっていますが、中心部の瓦町駅はまるで別世界。人通りが多く、活気のある商店街や飲み屋街が縱橫に広がり、なかなかの賑わいです。

飲食店の数の多さが目立ちます。なにより賑やかなお店があちらこちらにあり、何度訪れても、新たに覗いてみたいお店がみつかる素敵な街なのです。

昔ながらの渋い酒場が立ち並ぶトキワ新町は特に魅力的。前情報などを持たずに、ふらりと暖簾をくぐってみたい、そんなお店ばかりです。飲み屋街の入り口で飲み客を迎えるアーチ状の看板には、香川の地酒・綾菊酒造の文字。高松の夜は高知に負けず劣らず日本酒がよく飲まれています。

このなかで、まず訪れなければいけない酒場が「しるの店 おふくろ」です。1966年創業、2代目が暖簾を守る半世紀酒場です。

単身赴任や長期出張で高松に滞在するビジネスマンたちの健康を気遣い、家庭的な料理が楽しめる「高松」の”おふくろ”でありたいという想いから中心地で開店したと聞きます。

奥に長く伸びる20席あまりのカウンター。厨房と席の間には所狭しと20種類ほどのお惣菜が山盛りで並びます。

ビールは長年サッポロビール。生樽はサッポロ黒ラベル、瓶ビールは歴史ある酒場に溶け込む赤星です。日本酒は店の看板に名入れの通り、西野金陵株式会社の金陵が揃います。

飾りっ気や演出ではなく、美味しさと毎日通えるお手頃さ、そしてなにより家族経営の「ただいま」といいたくなる雰囲気が素敵です。

「おふくろで飲んでいく?」という感じで、ラフに結成した今日の飲みチームの皆さんが、思い思いに飲んで食べて笑っています。ここはなんて無垢な場所なのでしょう。

赤星で乾杯!

小鉢は210円均一なので、予算さえ決めていればあとは難しく考えずにアレコレと食べたいものを頼むだけ。家庭的な料理の数々。なかには”まんば”など、高松の家庭料理の定番食材も「地元です」アピールをすることなく、当然のように並んでいます。

港町・高松らしく鮮魚も揃い、刺身類や焼魚など一部は700円前後と別価格に設定されています。それでも、このアジの南蛮漬けだって210円なのだから、十分です。

ところで、しるの店と添えられていますが、その通りで大きいお椀にたっぷりの味噌汁・おすましを注いだ単品メニューが充実しています。鯛あら汁、ぶた汁、そうめん汁、あさり汁、玉子汁、えのき汁、なめこ汁、若布とうふ汁…さらに季節メニューも加わります。

実は、飲み客だけのお店ではなくて、お酒を頼まず定食だけの利用や、汁もので一杯だけ軽くビールなんていう使い方もOK。0軒目の乾杯の”練習”から、梯子酒〆の汁ものまで用途はいろいろ。

高松に来たら、ぜひとも立ち寄っていただきたい銘店です。

ごちそうさま。

(取材・文・撮影/塩見 なゆ)

しるの店 おふくろ
087-831-0822
香川県高松市瓦町1-11-12
17:00~23:00(日祝定休)
予算2,000円