【飲み歩き】東京らしさとは― 東京駅前スタイリッシュ梯子酒


今回の企画は、とある読者の方から頂いた意見から始まりました。

大阪・梅田は地下街や飲食店街がある、福岡は博多も新幹線ホームの下に「ほろよい通り」がある。大都市には駅に直結する場所に梯子酒を楽しむ場所があるのに、東京はないの?

というもの。

その際、すぐに「いやいや、ありますよ」と答えられない自分が居て、それがずっと気になっていました。

東京の玄関口である東京駅で、自信をもっておすすめできる「ノンベエ」エリアはどこだろう。普段、陰と陽が交差する路地ばかりを歩いている私は、大きく忘れていたものがありました。

 

東京駅は誕生の経緯からして丸の内に横丁は存在しない。隠れ家っぽい場所も、細い路地の向こうにある赤ちょうちんも存在しない。でもそんな街であっても、人々は街に「人の生息」を感じる空間をつくるのではないかと。

そうして、結びついた答えが新丸ビルにありました。今年で誕生10年目を迎える新丸ビルですが、実はこの7階にオープン当初から”横丁”テイストの「丸の内ハウス」があります。

 

東京駅から地下を通じて繋がり、旅のスタートにも、帰りの新幹線までの飲み歩きにも便利な場所。

 

7階は新丸ビルのある意味屋上になります

もともと新丸ビルは1952年(昭和27年)に建てられたビルで、隣り合う丸ビルや東京中央郵便局、JR(旧国鉄)本社とともに、東京駅丸の内口の顔として他の建物と同様に高さ30メートル台に抑えられた低層で重厚感ある欧米テイストのビルでした。

その当時の趣きを残すために、新丸ビルの7階以下(旧丸ビルの高さと同じ31m)を旧新丸ビル風の形として、ここより上が高層ビルのデザインとなっています。この段差の部分がテラスになっていて、それが屋上みたいな雰囲気に。あまり知られていませんが絶好のステーションビューなのです。この旧屋上である7階に横丁を作っちゃったのだから、2007年のオープン時にはワクワクしたものです。

 


(ミラーボールにDJブースもあるロビー。店同士・共有スペースの境目はない)

さて、よくある複合商業施設の飲食店フロアというと、共有部分とお店の境目がしっかりあり、お店で気持ちよく飲んでいても梯子やお手洗いの際に現実に戻るのが一般的です。これが街の横丁との違い。

ここ新丸ビル7階の丸の内ハウスが横丁として紹介できるポイントは、まさにここにあり。フロア全体が横丁のようなつくりです。

 


(中央には直線的ながら木のぬくもりを感じるイベント発信コーナー。横丁の中のパブリックな空間です。丸の内ハウスは、新丸ビル全体と独立してこのフロアのみのイベントが随時開催されています。)

とはいえ、昭和テイストを前面にだしたドラマのセットに似たアミューズメント施設的なものではなく、あくまで現代のありりのままの「東京」を感じさせます。オシャレと雑多、表と裏、光と影、オンとオフが狭い空間にぎゅっと詰まっています。

 

丸の内ハウスは、変に大衆・路地裏に寄り過ぎず、だからといってキラキラシすぎない丁度いい、リアルな東京を詰め込んでいるように感じます。丸の内は、新橋寄りでも、六本木的でもなく、遊び場としてはニュートラルな場所ですから、これこそ東京の玄関らしさかもしれません。

 

梯子ツアー・一軒目はリゴレット ワイン アンド バー

欧風小皿料理 沢村、ムスムス、ヘンリーグッドセブン、自由ヶ丘グリルといった本格レストランがありますが、やはりどこか街場の横丁のように開放的です。テラスにも出られますし、共用部分の廊下に並ぶ椅子で食べてもいい。さらにいえば、別のお店の料理をとることもできてしまえるのです。まさに境目なしの横丁感です。

 

では、ここからは「塩見なゆの新丸ビル梯子ツアー」と題して、モデルコース風におすすめをご紹介してゆきたいと思います。

一軒目はリゴレット  ワインアンドバー。大人が毎日通うカジュアルレストランがテーマで、400円からの軽いフードや500円均一のタパスなどちょい飲み系が充実。人気の海老のアヒージョやピザは、数人ならば一品をシェアするのも楽しい。

まずは、ハートランド(500円)で乾杯を。

 

ビールはキリンハートランドとハイネケン、スパニッシュイタリアンのスタイルで、ワインはウォークインセラーを構えるほどの品揃え、その数2000本。果実系のカクテルも充実していて楽しい雰囲気です。

 

スタンディングバーはキャッシュオンなので、ビールとフードで軽く喉を潤す「ちょい飲み」を楽しんでみては。せんべろ✕オシャレとはまさにこれ。

 

テラスに持ち出すことも可能で、ビールやカクテルグラスは割れにくい特製のもので用意してくれます。

 

夕暮れの丸の内、ピザをつまみにジントニック。東京の横丁にはお洒落な要素が必要です。

 

ボリュームがあり、具材もたっぷり盛られたピザは8インチ800円~と意外にもリーズナブルです。

 

もう少し、ちょい飲み梯子をするならば

仕切りがないので、ぜひ回遊してほしい丸の内ハウス。何度か通って、気に入ったお店が見つかれば、次からはそこを拠点としてしっかり食事をするもよし。

ロビー正面にあるのはSO TIREDという広東料理店。神楽坂の老舗中華・龍公亭に由来する店で、ここの小皿中華はデートもいいけれど、一人飲みの肴にもちょうどいい。

 

早い時間は比較的空席もありますので、軽くちょい飲みだけでも立ち寄られてみては。ビールはキリンブラウマイスター(600円)と珍しいチョイス。オフィスワーカーのため息のような店名ですが、お疲れさまのあとはビールが美味しい!

 

共用部分にも移動可能のテーブル席が並んでいるので、少し早めに飲み始められるならば、ここでゆとりの乾杯を楽しむのも一興です。

 

そうこうしているうちに、夜になってきました。そうなると、少し和食をおつまみにして最後は〆のお蕎麦と楽しみたい。ソバキチは、新丸ビルの中でも随一の日本酒処です。

 

蕎麦前としてモツ煮込み、板わさ、大根と貝柱のサラダ、貝柱の陶板玉子とじ、あつあつふっくら玉子焼き、鰆の西京焼き、豚肉メンチカツなど。

 

名物のもつ煮込みは370円など、この立地でありながら、しっかり街場の酒場価格なのが嬉しい。

 

日本酒の定番は菊正宗で、本醸造の樽酒(480円)や豊富な地酒から3種類飲み比べられる利き酒セット(1000円)など、硬派なノンベエの心もくすぐる内容です。

 

ソバキチからテラスにでると、そこは東京駅を見下ろす絶景が広がります。

 

 

大衆酒場の顔、ビールも丸の内の横丁ともなると、なぜかスタイリッシュにみえてくるから不思議です。(一番搾り生ビール490円)

※テラスへの持ち出しにはメニューに制限があります。詳しくは注文の際にお店の方にご確認ください。取材時と内容が異なる場合がございます。

 

ソバキチは本格的な蕎麦屋というよりは蕎麦居酒屋。おつまみが充実していますが、天ぷらをビールの肴にするのも、屋外では何か特別な印象です。

 

店内で自家製している蕎麦。鰹出汁の風味で酔いが和らぎます。日祝以外は27時(午前3時)がラストオーダーと深夜まで営業していますので、深夜の東京駅周辺では、ここ・新丸ビルこそ隠れ家のような存在になります。

 

最後はバーで酔いを楽しもう

建物内に戻りまして、〆そばのあとは、なんだかバーに行きたい気分。店の境が曖昧なので、遅い時間は丸の内ハウス全体がバーのような雰囲気になっていきます。

 

一際個性的なバーといえば、ここ現バーではないでしょうか。工事現場的なライトで照らされる怪しげな看板。

 

変わり続ける丸の内は、東京の最先端の現場である(東京の中心は工事現場でもある)ということからコンセプトがうまれた「現バー」は、つまり現場。スタンディングやかんたんなテーブル席が並ぶ店内でまず目に飛び込んでくるのは、工事作業用の足場的なパイプと明かりです。

 

“現場”は、ビルの両側に入り口がある、通路の一部がそのまま使われています。仮設バーのようでいて、実は本格的というギャップがおもしろい。バーテンダーの方のジャケットは、ここを利用する常連さんたちにプレゼントされたバッジがびっしりと並んでいます。洗濯が大変だとか。

 

ビールはハートランドの瓶と生はブラウマイスター。状態が抜群にいい薄針の生ビールを、こうやって知る人ぞ知る空間で出会えることは探検心がくすぐられます。トルティーヤチップスをサルサにつけて軽いおつまみに。

 

600円から平均的な価格帯は800円前後とお手軽価格。(20時~22時は300円のチャージがありますが、それ以外はクイックでノーチャージ。)もちろん、ここのカクテルもテラスに持ち出しOK。ピザをおつまみに、欧米サイズの大きなマティーニを飲むNYスタイルと決め込むのもよし。

 

約250年前に誕生した歴史あるジン。取材時は丸の内ハウスではGORDON’ Spresents “G&T” SUNSET CHEERZと題して、ゴードントニックを軸にしたカクテルやおつまみが各店に登場していました。

 

それにしても、不思議な空間です。こういう空間、大好きです。

 

最後の最後は来夢来人でスナック気分

蕎麦が〆、バーで〆と、さんざんいいながら、延々と〆を重ねていくのが筆者の行動パターンなのですが、それにも応えられるのがすごい。巡り巡ったゴールはスナック・来夢来人。小さな窓からは、怪しげな店内がチラ見可能。入ってみちゃう?

 

これが新丸ビルの中とは、誰がおもうでしょう。天井が見えなければ、完全にゴールデン街系です。(写真はイメージです。)会員制と書いていますが、誰でもOK。

全国、どこの街の夜でもみかける「来夢来人」の名のスナック。昭和歌謡や洋画からつけられた名前で、いかにも昭和の夜って感じが素敵です。ついに、Syupoもスナック解禁か…?

 

丸の内ハウスの来夢来人は店は完全にスナックですが、システムは女性専用の歌謡バー。そこのお父さん、お水のお姉さんはいませんよ。

 

その代わり、まじめなバーテンダーが美味しいカクテルを作ってくれます。

 

女性はなかなか入りづらいこういう空間。そこをあえて女性専用にしたというのがおもしろい。ちなみに、男性も女性と一緒ならば入れます。

 

家庭用の冷蔵庫にサーキュレーター、赤い花柄の布。どこかのスナックをそのまま剥製にしたような空間。ゴールデン街遊びの人でも納得のクオリティ(笑)

 

このテーブルがまたリアルで。そうそう、こういうハーフサイズのテーブルを連結していますよね。

 

女性限定、薔薇の館・来夢来人。ウィスキーのボトルがずらりとキープされている壁は、そのほとんどがバラのバーボン・フォアローゼス。

 

コースターやグラスを包むレースまで、一周回って昭和が可愛く見えてきます。フォアローゼスのハイボールで乾杯。

テーブルチャージ1,000円、ボトルセット1,500円(一人)、カラオケ300円と明朗会計です。ハマりそう(笑)
ここは、やっぱり来夢来人だけに小柳ルミ子さんの来夢来人を歌わなきゃ?

 

壁側はベンチシート、内側は四角いオットマン風の椅子。これは、水割りをつくってスナックのママごっこが捗りそうです。

あれ、さっきからテンションが変わってきた?だって、ここは場末のスナック・来夢来人。今日はどっぷり酔いを進めたい気分。日祝以外の日は、午前4時まで営業です。朝まで歌っちゃう?

 

ワンフロアで完結する濃厚な飲み屋街・新丸ビル丸の内ハウス

遠方から東京にいらした方に、これで自信を持って紹介できます。東京の駅直結、東京らしさを楽しむならば丸の内ハウスという選択はいかがでしょう。

東京にお住まい・お勤めの方も、いつもと違ったスタイリッシュな梯子酒に繰り出してみては?チャイニーズとタパスと煮込みとカクテルをみんなで買い集めて、テラスでセルフビアガーデンというのも楽しそう。

ごちそうさま。

 

(取材・文・撮影/塩見 なゆ 取材協力/キリンビール株式会社 Special Thanks/三菱地所プロパティマネジメント株式会社 丸の内ハウス事務局)

 

【イベント】

5.26.fri – 9.29.fri
BEER TERRACE 2017

期間中は、全9店舗が丸の内ハウス特製ビアジョッキでビールを提供して、テラスでテイクアウトメニューを持ち寄って飲めるイベントが開催中です。

 

丸の内ハウス
詳しくは公式サイトへ
http://www.marunouchi-house.com/

平日 11:00〜翌4:00
日曜・祝日・連休最終日 11:00〜23:00

予算:※今回の飲み方で一人あたり…
リゴレット ワイン アンド バー 約1,500円
ソータイアード 700円
ソバキチ 約1,700円
現バー 約1.900円
来夢来人  約3,000円



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