札幌・大通「ニュー三幸さっぽろテレビ塔店」 札幌という借景。サッポロというビール

札幌・大通「ニュー三幸さっぽろテレビ塔店」 札幌という借景。サッポロというビール

北日本最大の都市・札幌。その中央をほぼ東西に貫く大通公園はテレビ塔から円山公園に一直線に伸びています。

この大通公園の歴史は古い。明治のはじめに開拓判官・島義勇が札幌の都市計画を大通公園の西端にある円山の丘から東方を眺め、まちづくりの構想をはじめたところから始まります。

火防線としての役割として誕生しつつも、明治9年には公園として整備されていたとされています。円山から創成川に向けて障害物なく見通せる大きく開けた大通公園の眺望は、近代都市・札幌の街づくりに挑んだ開拓使の見た景色であり、思い描いた未来でもあるのではないでしょうか。

大通公園の東端に建つさっぽろテレビ塔は、そんな開拓の歴史を景色から感じられるスポットです。3階にはビヤレストランがあり、そこからの眺めも素晴らしく、札幌を借景に札幌麦酒で乾杯が楽しめます。

 

有料となる展望台は90.38m。そこまでは登らずに、塔の中腹にある三階にビヤレストランはあり、全席が大通公園を眺める西向きの席となっています。1954年小樽で設立のビヤホール「ニュー三幸」が運営。

 

ずらりと並ぶボックス席は落ち着いて飲食が楽しめます。ビヤホールもよいですが、この開放感も格別な魅力があります。

 

高さ2mほどの連続窓は腰の高さまで低くテーブルの隣はそのまま大通公園という感覚。空席ならば、ぜひとも公園の中央に位置する席に座りたい。南側から2つめのボックスがベスト。

 

札幌の街づくりを構想した起点と言われている円山を正面に眺め、その向こうに札幌オリンピックでも使われたジャンプ台のある大倉山がみえます。

冬は雪化粧や雪まつり、春は新緑の街路樹と円山、夏はカラっとした空気の中で広がるビヤガーデン、秋は紅葉と年間を通じて素晴らしい眺めが広がります。成長の続く札幌、2010年には北洋大通センター(写真右のガラス張りのビル)が建つなど、開拓から140年以上を経過しても、大通りの眺めは進化の途中です。

 

高さによる眺望ではなく、一直線に抜けた眺めというのもよいもので、行き交う人々から都市の息づかいのようなものが伝わってきます。そんな札幌を肴に、ビールもやっぱりサッポロです。

北海道内限定のビール、サッポロクラシック(650円)で乾杯!

 

11時30分から21時30分まで通しで営業していて、メニューはアラカルト380円からのグランドメニューが常時用意され、軽く一杯から利用可能。ニュー三幸であり、ビヤホールなのでサービス料や席料などなく、気軽にさくっと寄れるのも魅力です。

16時までのランチメニューで昼食ついでにビールを一杯つけるというのも乙なものです。

 

ニュー三幸の伝統の料理・黒毛和牛のビーフシチュー(1,980円)は、少し値段が張りますが一度は食べておいて損はない逸品。もともと洋食屋としてスタートした三幸の看板料理で、半世紀以上変わらぬ製法で道内産黒毛和牛を4時間以上かけて煮込んでいるとのこと。ナイフがでてきますが、フォークやお箸がすっと入るほどの柔らかさ。

 

濃厚な味わいには、カラっとしているクラシックもよいですが、サッポロラガーをあわせておきたい。札幌の開拓から数年後に設立された開拓使麦酒醸造所。そこで製造されたビールは今年140年を迎えます。それがこの赤星。札幌の歴史を眺める空間にピッタリのビールです。

 

夏のビヤガーデンも良いけれど、オールシーズン大通公園で飲めるさっぽろ時計塔のニュー三幸もよいものです。お昼から通しで営業中、札幌飲み歩きの一軒目で乾杯しませんか。

 

 

(取材・文・撮影/塩見 なゆ 取材協力/株式会社ニュー三幸・株式会社サッポロライオン・サッポロビール株式会社)

 

NEW SANKO さっぽろテレビ塔店
011-252-1800
北海道札幌市中央区大通西1 さっぽろテレビ塔 3F
11:30~21:30(無休)
予算2,500円