船堀「百味家」 家族経営のあったか食堂は朝から営業、おふくろの味で乾杯

船堀「百味家」 家族経営のあったか食堂は朝から営業、おふくろの味で乾杯

やっぱり都営新宿線は最高です。埋立地の開発を目的として開通した比較的新しい路線なのに、探ってみるとあるわあるわのイイお店。平行しているJR総武線や京成線沿線の年代物の街とは違う、昭和のベッドタウンの独自進化がみられるのです。

高度経済成長期にこの街にやってきた人たちも街とともに年齢を重ね、現在は近所のいつもの仲間と酒場通い。若いファミリー層も、子供が友だちと遊んでいる間、ママたちで集まっていつもの食堂でママ会・昼酒を楽しむ。ベッドタウンには、ベッドタウンの酒場のあり方がみえてきます。

ここ、「百味家」は、まさにその典型的な食堂です。店先にならぶ自転車が人気の証。このあたりの居酒屋は、みんな近所から自転車で飲みに来るから、店先はこんな感じになっていることが多いです。飲酒後は自転車は手で推して。

 

カフェテリア方式で、お店に入ると飛び込んでくるのはズラリと並ぶ小鉢や刺身たち。バリエーションはかなり豊富で、価格は130円から290円がほとんど。大変リーズナブルです。見ているだけで楽しくなります。ご主人が料理の売れ行きに合わせて次々と追加でだしてきます。

 

向かいの船堀小学校のグランドでは、クラブ活動でサッカーを楽しむ子どもたち。午後のゆったりとした日差しが差し込み、天国のような時間が流れています。あぁ、お昼酒ってすばらしい。

 

ビールは大樽がキリン一番搾り(IS)、瓶ではラガー(RL)とアサヒスーパードライ(SD)が選べます。酒場の単価指標に使われることの多いホッピーのセットは390円。日本酒は合同酒精の富貴と渋いチョイスと、地酒で喜多屋(福岡県八女市)など。

 

瓶ビール450円は嬉しい価格。安定のキリンラガーでまずは乾杯。

 

お盆を借りて、食べたいものを選びます。種類豊富で悩んでしまいます。ほうれん草のごま和えやシーザーサラダなど、シンプルなこれぞ食堂の小鉢という内容がほっとします。

 

温かい食べ物は選んだ後に加熱してくれます。やっぱり食堂といえば、サバの味噌煮ははずせません。この甘味、脂の旨味にビールをあわせて昼から飲むのが、ザ・食堂飲み。

良心的でボリュームしっかり。これで190円はスーパーのお惣菜価格です。お財布に優しいですし、手作りの料理はどれも体にも良さそう。

 

ごろごろと具だくさんの酢豚。ボリュームしっかり、食べごたえ十分です。ビールがもう一本欲しくなる、いや、そろそろ酎ハイに以降してちびちびと飲み進めますか。

隣のテーブルのご隠居さんたちは「いいちこ」をお湯割りにしながら、お互い継ぎ足しつつ楽しそうに飲んでいる。飲み屋で仲間たちと昼から飲むのが日課、という老後も悪くないですね。

 

酎ハイは290円。ポッカサッポロの玉露緑茶でつくられた玉露割りも290円。ベースの甲類がかなりたっぷり入っているので、しっかり酔えそうです。

テーブルも椅子もゆとりがあり、空間も広くて居心地が良すぎる。この価格ならもっと過酷な状況下で飲むことも多いのに、なんという心地よさ。家の近所にこんなお店があったら絶対に通ってしまいます。

ご近所の皆さんのたまり場となっている理由がよく分かる良いお店。仲のいい人たち数人できて、あれこれ摘んで飲んで楽しく宴会するのも良さそうです。

ごちそうさま。

 

(取材・文・撮影/塩見 なゆ)

 

 

百味家
03-3869-6610
東京都江戸川区船堀3-2-3
10:00~23:30(無休)
予算1,800円