金沢「ひげの店」 香林坊の夜に欠かせない、梯子のゴールはひげさん


北陸最大の歓楽街、香林坊・片町。JR金沢駅からは路線バスで10分ほどの場所にあります。JR駅と市街の中心地が離れている、地方の県庁所在地によくある都市構造です。

金沢城や兼六園にもほど近く、有名ブランドやシティホテルが立ち並ぶ香林坊。隣接して広がる片町のネオン街は、北陸飲み歩きには欠かすことのできない遊び場です。金沢おでんや、能登半島沿岸の海産物が楽しめるだけでなく、京料理の流れをもった職人技の食文化も魅力です。

国の重要伝統的建造物群保存地区に指定された茶屋街はお昼の観光にはいいけれど、やっぱり金沢は夜が楽しい。とくに、割烹や大衆酒場を散々巡った後に入り込む横丁が大好きです。

 

街中には犀川をはじめ、「ブラタモリ」(NHK)で紹介されて一躍スポットがあてられた辰巳用水など、街の至る所に水の流れがあります。その脇を、酔いの火照りを落ち着かせるためにふらふらと歩くのが最高に気持ちいい。あ、でも真冬は危険なので、梯子はほどほどに。

片町にはいくつか横丁がありますが、なんといっても「やきとり横丁」の魅力は素晴らしい。

 

間口3尺ほどのの細い獣道のような”穴”が、建物の中心を貫き、その両側に10軒ほどの小箱の飲み屋がハモニカの口のように連なります。京都のリド飲食街や四富会館に近いといえば通じるでしょうか。東京ではなかなかこのような場所はありません。

ファサードには、「あい子」、「山ちゃん」、「まりこ」など、いかにもスナックらしい名前が書かれていますが、実はここにある飲み屋は一軒も現存していません。実におもしろい。さらにいえば、やきとり横丁ながら、焼鳥屋も一軒とありません。

 

読者の皆さんは、この路地に入る勇気があるでしょうか。むしろ、ワクワクしてきますか。

 

6軒目、7軒目と梯子を登りながら多くの店を覗いてきましたが、Syupoでまず紹介したいお店は、横丁入り口すぐの「ひげの店」です。髭が特長のマスターがいる渋いバー…ではなく、本名がひげさんの営むワインバー。

L字カウンターに6席ほど。あっという間にいっぱいになります。店はマスターのひげさんが1人で切り盛りされています。

壁にずらりと並ぶマスターがコレクションしたヒーリングミュージック、イージーリスニング、JAZZのCDが静かに流れます。

 

ワインとチーズが定番で、ちゃんとしたバー料理のお腹にしっかりいれる系も用意があります。その日、その日にマスターが用意する数本がワインのラインナップで、銘柄などは基本おまかせでOK。知識豊富なマスターが選ぶワインは、ブランド化はしていないけれど、リーズナブルでアッパー系に負けない掘り出し物を用意されています。では、乾杯。

白、白、赤、赤とおまかせでおかわりを続け、チーズもそれに合うものを、ちょっとずつだしてくれます。

 

横丁のワインバーというものが好きでみつける度に飲んでいますが、ひげさんの店は格別心地が良い。お客さんは、身なりのいい役職の高いような方が、接待終わりのプライベートを楽しんでいたり、大阪から来たという女一人旅という女性、いつも梯子のの最後はここでワインを舐めるというご隠居さんまでいろいろ。新宿のゴールデン街をキレイにした感じ、なんていうと角が立つからやめておこう。

 

まるで異世界に繋がっているようなこの通路。酔いの気持ちよさと、飲み屋巡りの冒険心があれれば、きっと楽しめるはずです。

主要な歩ホテルまでもタクシーでワンメーター。真夜中も営業していますので、せっかくの金沢、最後の最後にひょいと覗いてみませんか。マスターのひげさんの人柄も大好きです。

ごちそうさま。

 

(取材・文・撮影/塩見 なゆ)

 

ひげの店
076-261-9989
石川県金沢市木倉町6-4
19:00~27:00(日祝定休)
予算



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