京成船橋「あさひ」 酒販店出身、腕自慢の大将を求めて集う人々

京成船橋「あさひ」 酒販店出身、腕自慢の大将を求めて集う人々

船橋へやってきました。最近、ちょくちょく来る街ですが、今のところ「飲み歩き」以外の目的で来たことがありません。船橋市場を見学したり、ららぽーとやイケアでショッピング、はたまた船橋競馬と遊ぶ場所は色々あるのに。

なぜか。それは酒場が多すぎるから(笑)

角打ちから老舗大衆酒場まで様々です。東京であれば、地域ごとに点在するようなお店が、駅周辺にぎゅっと凝縮されているような街なのです。

お昼から飲むならば、間違いなく「あさひ」でしょう。京成船橋駅から徒歩3分。ちょっぴり怪しいネオンが駅前から広がりますが、飲食店が中心の「ザ・飲み屋街」といった街並みにあります。

生活道路に面していることから、ベビーカーを推す親子が通るような場所です。そんなお母さんも実は常連で、顔なじみから「飲んでいけば?」「これからこの子と買い物に。」という地域密着感が素敵なお店です。

 

8席ほどしかない大変コンパクトなお店。カウンターだけの3坪くらいなのですが、ビールケースを敷地のギリギリまで出してテーブルとして、風よけビニールで覆った掘っ立て小屋感満載で限界まで広げています。椅子はビール樽(19L)の上に蓋を置いた即席のもの。アサヒの樽はすらっとしていて背が高いからちょうどいいサイズ。

詰め込めば10人は飲めるかな。

生ビールも店名とあわせてスーパードライです。テントのようなスペースながら、お酒と肴がちゃんとしているのが何より人気の秘訣です。状態のよいスーパードライの生で乾杯。

360ジョッキ(5B0N2)で泡少なめが350円と嬉しい安さ。

 

壁一面に短冊でメニューが並びます。300円前後の価格がほとんど。お通しもないので、おつまみ2品とお酒2杯でちょうどいいサク飲みになります。

 

並ぶお酒は小さな立ち飲みとは思えないほど充実しています。竹鶴も余市もイチローズモルトまで。

 

マスターの渕上さんは、船橋市内の業務用酒販店大手「やつや」で働かれた後、船橋市内の食堂で飲食を4年修行し、2013年にこの場所に「あさひ」を開業。

食堂の経験が存分に反映されている大衆料理の数々が店の特長です。とくにホワイトボードのメニューは、バリエーション豊かで毎日通う常連さんも飽きさせません。

 

ボリュームのある食堂料理が多い。常連さんたちのお気に入りはこの「ベーコンエッグ」で、野菜たっぷり、卵2つにこれでもかとベーコンが盛られて290円です。酎ハイも290円、一緒に合わせれば大満足のチョイ飲み体験が楽しめます。

 

ただ酎ハイを飲むのではなく、お好みで天羽飲料製造の赤ラベルこと”Aボール”をお好みで垂らすことが出来ます。これで簡単、下町焼酎ハイボールに変身です。

 

仕入れで使う船橋市場が近いこともあって、刺身や焼き魚、カキフライと海鮮が多い。お客さんたちはその日の気分とマスターとの掛け合いでおつまみを決めます。今日は明太子チーズオムレツ(390円)に挑戦。

とろっとしたチーズと明太子の組み合わせは反則だよね。酎ハイが進まないわけがありません。

 

ビールはこっそりと、赤星の愛称でお馴染みのサッポロラガーの中びんも取り扱っています。通っている常連さんがどうしても飲みたいから入ったという噂です。

とにかく、マスターや常連さん同士の仲がいい。そして、初めての人にもはるか以前から馴染みの店だったような気分にさせてくれる雰囲気がここにはあります。

お客さんが飲みなれているといいますか、飲食関係のスタッフが出勤前後に飲みに来たりするなど、京成船橋のちょっとした集会場のようになっていることも。

 

バリキングや天羽のミントなど、隅々みるとずいぶんおもしろいラインナップがあるお店。リーズナブルで楽しく美味しい「あさひ」を求めて、今日もお昼から昼酒族が集います。そして、夕方を過ぎれば会社帰りのサラリーマンの楽園へ。

あけっぴろげたお店ながら、最初は敷居が高く感じると思いますが、勇気を出してえいやと入ってみてください。

きっと船橋が好きになります。

ごちそうさま。

 

(取材・文・撮影/塩見 なゆ)

 

大衆あさひ
047-435-0323
千葉県船橋市本町1-13-1
12:00~24:00(日は18:00まで・不定休)昼酒
予算1,4oo円