船橋「増やま」 酒場ファンが好きな要素、全部入り。


船橋は地元の人たちの間では言わずと知れた大衆酒場の楽園です。東京からも、JR総武線や京成電鉄でアクセス抜群。

なんでこの街に素敵な店が多いのか。町の歴史や地図を見てみれば”納得”なのですが、そもそも港町で東京湾から水揚げされる漁業の街でした。駅から南に600mほどの場所にある船橋市役所の住所も「湊町」です。現在も船橋漁協があるなど、現役の海の街なのです。

さらには、大衆酒場的な要素は、戦後の闇市、そして赤線が存在していたというのも大きいのではないでしょうか。そちらについては、詳しい人に語りをお任せするとして、私は酒場巡りの視点でこの街を見てゆきたいと思います。

現在、再開発による建て替えや、繁華街エリアの移行、ベッドタウン化の進行によって大きく変わりつつある船橋。素敵な横丁が消えていくのと同時に、いい店も新たに誕生しています。

今回ご紹介する酒場は船橋「増やま」です。酒場ファンの間では有名なお店で、私も紙面では何度か記事にしているのですが、なぜかSyupo未掲載でした。素敵な酒場なので、ぜひ皆さんで愛でたいと思います。

 

近くにある老舗の酒場で働いていた方が独立して開業したお店で、新しい店とはいえ、雰囲気はすでにベテランの感じです。

煮込み鍋を中心としたコの字カウンターに、壁に掲げられた短冊メニュー。背もたれのない円い椅子に無垢の板。価格は200円台がほとんどで、生ビール340円という良心価格です。

 

ビールは瓶ビールがサッポロです。セピア色の酒場には、暖色系の瓶ビールがしっくりきます。派手さはないのだけど、一口飲むと微笑んでしまうビール。それが赤星です。大衆酒場に乾杯。

肉豆腐(200円)とうずらニンニク(200円)でスタート。肉豆腐はクタクタに染まっており、肉の旨味を蓄えほどよい旨さが心地いい。一味唐辛子を気持ち多めにかけてもりもり食べれば、ビヤタンはあっという間に乾きます。

うずらニンニクは、増やまの常連さんから注文率が高い安定商品。かなりニンニク香がありますが、これが酎ハイを招き寄せるのです。

 

焼酎はキンミヤ。袖看板にもスタッフの前掛けにもキッコー宮の印が入っているとおり、キンミヤ推しの酒場です。ボトルキープは1ヶ月ですが、1本1,200円とお財布に優しいのでつい入れてしまいます。炭酸をもらって、プレーンな甲類ハイの出来上がり。

 

名物といえば、煮込み(200円)は試してみる価値あり。先の肉豆腐とは別の鍋にあり、肉豆腐がすき焼き割り下風なのに対して、こちらは味噌ベース。定番のシロだけでなくハチノスまで入るごった煮です。

この煮込みと肉豆腐を一つの椀にざっと盛り合わせた重ネ(480円)も、煮込み好きならば一人でペロリ。状態抜群・文句なしの生ビール・キリン一番搾り(340円)をもらって、大衆酒場らしく豪快に飲んで楽しみましょう。

 

キンミヤ焼酎に梅エキスを垂らしただけの「梅割り」や焼酎ハイボール、バイスに牛乳割り、ホッピーも白・黒・赤(55ホッピー)の三種類揃うという素敵なラインナップ。何を飲もうか悩むところですが、ガリ酎(280円)なんていかがでしょう。甘酸っぱく、やや塩気のあるガリとキンミヤの不思議な出会いは癖になります。

 

煮込みがあってももつ焼きはありません。かわりに揚げ物が充実していて、串かつやアジフライは150円と、まるで立ち飲み価格。もちろん注文してから揚げてくれるのでホクホクです。コーンのかき揚げが好きという常連さんが多く、カウンターで飲んでいると必ず一人・二人はかき揚げと格闘しています。

コーンのかき揚げ、からりと揚がっているのですが、箸で取り分けようとするとコーンが散らばってしまいます。これをキレイに食べられたら立派な常連さんか。紅しょうがのかき揚げもおすすめ。

 

ボトルキープのキンミヤがカウンターの手前にずらりと収納されている光景は、どこか見覚えのある眺めです。新しいのにしっくりくる古きよき酒場感は、こんなところにあるのかも。

お財布に優しく、好きな感じであれこれ摘んで飲んでも二千円を越えることはまずありません。こういうお店が駅前に点在するのが船橋の魅力です。さぁ、楽しい飲み屋街へ繰り出してみませんか。

ごちそうさま。

 

(取材・文・撮影/塩見 なゆ)

 

大衆酒場 増やま
千葉県船橋市本町4-5-18
14:00〜23:00(日祝は21:30まで・不定休)
予算1,300円



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