仙台『味太助 本店』牛タン焼き発祥の店は、定食だけでなく乾杯も

仙台『味太助 本店』牛タン焼き発祥の店は、定食だけでなく乾杯も

2016年12月5日

終戦後の1948年(昭和23年)、戦前は東京で洋食の修行をしていた佐野啓四郎氏が、仙台・国分町で進駐米軍が食べている牛肉の中で、捨てられていた部位(いわゆるモツ)のタンを貰い受け、焼いて食べさせる店『味太助』を開いたのが仙台牛タン焼のルーツです。

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牛タンを郷土料理に育てた店で飲む

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東北最大の繁華街「国分町」。陸奥国の国分氏の領地だったことから、この地名になったのだそう。伊達政宗の仙台開府以降、常に東北の商業の中心であり、明治維新後は料亭、芸者などの歓楽的要素が加わり発展しましたが戦火によって消失。戦災からの復興に際して、現在のような庶民的な飲み屋が多く連なる街となったそうです。

そんな国分町の歴史の中で誕生し、現代の仙台を代表する郷土料理を生み出したお店を今回はご紹介します。

外観

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東京は豚もつ(シロ)が戦後の食糧難で闇市から始まれりましたが、仙台牛タンもこうしてみると同じような流れなのがわかります。モツ食文化は、街の記憶なのかもしれませんね。

そんな仙台牛タンをはじめた佐野啓四郎氏のお店が現在も仙台・国分町の街で暖簾を掲げています。「味太助 本店」はまさに発祥の店。清潔感ある藍色の暖簾と磨かれたガラス戸。老舗の風格に味わいを感じます。店先のP箱の大衆感も演出しています。

まずはキリンラガーで乾杯

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焼台とテールスープの寸胴を囲むL字カウンターと、奥には小上がりで数席。老舗でありながら、派手な感じや大箱のつくりではなく、落ち着きのある酒場的な内装です。仙台名物の牛タンは今でこそ、おしゃれな雰囲気でランチ(定食ではなくあえてランチ)として食べさせるお店が多いですが、原点は飴色の昭和酒場なのです。

店先のP箱が黄色の通り、60年以上麦酒はずっとキリン。こういうお店だと瓶ビールオンリーということがありますが、意外なことに大樽(生ビール)も置いています。仙台に工場があるキリン。キリンラガー(RL)の生ビールもご当地料理に寄り添うように思いませんか。

それでは乾杯。

品書き

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旅行ガイドやグルメサイトでは食事処として紹介されていますが、実はお昼から夜までずっとお酒が飲める店です。いえ、むしろ常連のお父さんたちは酒場利用でカウンターで地酒を傾けているようです。

一ノ蔵に浦霞、宮城のお酒の美味しいところが勢揃い。

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料理はこれだけ。黒板メニューなどもなく、本当にこれなのです。昨今、専科型の飲食店がブームですが、老舗は70年近く前から尖っていました。

テールスープと牛タンは最高の組み合わせ

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500円のテールスープは口の中でとろけていくテールはもちろん、スープが優しい塩分控えめの味ながら、独り占めしたひたすら飲み続けたくなるアト引く液体おつまみです。

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牛タンは瓶ビール大びんくらいの大きさなのだそうですが、その中でも分厚い部分しか使わないというのがコダワリ。柔らかく濃厚、噛むほどに味が口いっぱいに広がります。やわらかいのにジューシー、どんな下ごしらえがされているのかは想像もできません。

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日本酒をちびちびと飲むながら、テールスープを飲み進めるのもよし、キリン仙台工場で製造される遠野産とれたてホップ(TI)や、仙台づくり(JM)を飲むのもまた楽しい。

高タンパク質ながら脂肪の少ないと言われている牛タン。元祖の店の濃厚な味には、浦霞やキリンビールなど店とともに歩み続けてきたお酒がよく似合います。

通しで営業、昼酒ばんざい。もちろん夜もね。
ごちそうさま。

(取材・文・撮影/塩見 なゆ 取材協力/キリンビールマーケティング株式会社)

店名味太助 本店(あじたすけ)
住所宮城県仙台市青葉区一番町4-4-13
営業時間営業時間
11:30~22:00(L.O.21:30)
11:30~14:00ランチ
日曜営業
定休日
火曜日
創業1948年