鶯谷『根岸川木屋』銘店・鳥のぶの2号店は大人の空間だけど下町酒場

鶯谷『根岸川木屋』銘店・鳥のぶの2号店は大人の空間だけど下町酒場

2016年12月2日
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日暮里の常磐線の踏切脇で半世紀近く続く居酒屋「鳥のぶ」。料理上手な大将が作る豊富なメニューに多くの人が感動し、週末は予約がとれないほどの人気店です。筆者もよく飲みに行く酒場で、通いだした頃はさほど混んでいなかったのですが、いまや予約しておかないと難しい。

店名の通り、銘柄鶏をつかった鳥料理を中心にした店として初代が創業し、いまの社長になってから他の料理も充実させたそうです。盛り付けがきれいなオニオントマトサラダ(おすすめ)や牛タンにアヒージョ、さらに麻婆豆腐やカツサンドまでなんでもござれのすごい店です。冬はコース料理についてくる鶏鍋もおすすめ。

いいお店だけど、入れない。そう思っていた矢先に聞いた二号店の話。

今回ご紹介するのは鶯谷にオープンした鳥のぶ二号店の「根岸川木屋」です。

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鶯谷駅から言問通りを越え、鍵屋の裏側へまわったところにあるちょっとした商店が集まる一画に登場。知らないと絶対はいらない、そんな場所。

これぞ大衆酒場といった外観の日暮里の鳥のぶと雰囲気はがらりと変わって、木製の分厚い扉と店内が見えないつくり。敷居が高そう、値段も高そう。

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鳥のぶの社長こと、二代目の川木さんが立つ厨房を見渡すカウンターと、料理屋さん的なゆとりのあるテーブル席が並びます。奥にある冷蔵ケースには、本醸造から大吟醸まで幅広いラインナップの國酒が出番を待っています。

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ここまで見ると「高そう」と思うのですが、いやいや、やっぱり鳥のぶには変わりありません。下町酒場の代名詞、「焼酎ハイボール」を置いています。しかも300円!ホッピーセットはナカ焼酎はもちろんキンミヤで、セットは450円という酒場値段です。

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焼酎は450円からで幅広い品揃え。日本酒も140mlで550円均一とわかりやすい。冷蔵ケースから掘り出し物の銘柄を探して味わいましょう。

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ビールは生樽がアサヒスーパードライ。瓶ビールでアサヒドライプレミアム<豊醸>、キリンハートランド、サッポロラガーと3社選択可能。

昔、日暮里の鳥のぶには「メニューに加えてほしい料理など」と書かれたアンケート用紙があり、飲みに行く度に「赤星」と書き続けてきた甲斐があります。匿名で私が書いていたことは、社長にはバレていたようですが(笑)

そんなこともあって、赤星で乾杯。

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お通しは衣かつぎと、サンマのマリネ。旬を感じるちょっとした一品が嬉しい。

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下町酒場の基本、焼酎ハイボールも飲みましょう。店のオリジナルブレンド、鳥のぶのは風味おとなしめで度数は高め。氷なしで注文すれば、いつも「ボール」です。

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料理もほとんど変わりはない。これからオリジナルメニューを増やしていくそうですが、取材時はおなじみの創作洋食と居酒屋料理がごちゃまぜの内容です。

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すべて紹介しきれないほど多い品揃え。ファーストオーダーまで時間をもらってじっくり悩みたい。

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アサヒの豊醸をもらい、宮城県産の生牡蠣を。カウンターに座ると、目の前に準備された食材を見渡せて、大ぶりの牡蠣も魚や野菜と一緒に氷の上に並んでいたらからつい。美味しいに決まっています。

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白レバーは口に入れた瞬間にとろけていくほど柔らかい。脂がのっていて、匂いはなくただひたすらお酒が進む味。

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日暮里の店はお弟子さんに店を任せているので、大将が焼く焼鳥はひさしぶり。ハツ、ボンジリ、砂肝など、タレはみたらしのように甘さがしっかりしたものですが、鶏の静かな旨味とちゃんと調和が取れています。

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こんなおつまみには日本酒もいかなくては。土井酒造場(静岡県掛川)の銘酒・開運の純米を。日本酒は大将による厳選された顔ぶれ。

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広い厨房、大きい冷蔵庫。これまでの焼鳥屋の隅っこと違い、大将が生き生きと動き回っています。それは料理にも現れているようで、お刺身の盛り合わせもパワーアップしています。

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日によって内容がかわる盛り合わせは1,500円。盛り付けが上品ですし、仕事が丁寧。サンマの炙りは特製の肝醤油でいただきます。

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お燗酒と和らぎ水をもらい、お刺身相手に心地よい時間。根岸のこの界隈は静かでいいですね。

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A4ランクステーキ(2,200円)から自家製メンチカツ温玉のせ(500円)、ピータン豆腐(550円)まである。さらに、食事系メニューも、世のチェーン系総合居酒屋もびっくりの多彩すぎる内容です。

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普通・辛め・極辛の3段階が選べるオジサンたちのアイドル・ナポリタン(700円)は、鳥のぶ時代からの名物メニュー。これだけでハイボールや瓶ビールが進んでしまうから困ったものです。

日暮里のお店は焼鳥屋なのに洋食まで出していてチグハグな印象がありました。いい意味で。それが、このお店になって内装のグレードがあがり、料理と店の雰囲気がやっと一致したのかなと思えます。それでも、「やっぱり川木さんの創作料理は、どれを頼んでも美味しい。」というのは変わらない。

ごちそうさま。

(取材・文・撮影/塩見 なゆ)

根岸 川木屋
03-6883-3344
東京都台東区根岸3-11-5 1F
17:00~24:00(日祝定休)
予算3,300円