小伝馬町「さかばやし」 値段以上の味と量、ホッとできる定番立ち寄り処

小伝馬町「さかばやし」 値段以上の味と量、ホッとできる定番立ち寄り処

2016年9月19日

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小伝馬町という街を飲み歩いたことはありますか?

神田や新橋ほどの賑わいはありませんが、実は素敵な酒場が山程あるんです。地下鉄日比谷線の中央区各駅は築地以外はあまり飲みの街として知られていませんが、特筆すべき魅力のあるお店がどの駅にも必ずあります。数で勝負の新宿や渋谷と違う、数人でしっぽり仕事終わりに立ち寄るような一寸一杯の小箱が中心です。

まずは立ち寄ってみて欲しい店が「ちょいと一杯 さかばやし」です。”さかばやし”とは、酒屋や酒造に吊るされる新酒をアピールするもので、「杉玉」という呼び名のほうが有名でしょうか。店名の通り、日本酒の品揃えが多く、これから新酒の季節を迎える時期にぴったりです。

店先の樽もテーブルになり、寒くなるまでは軒先夕焼け飲みというのもまた心地が良い。

 

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小箱の酒場で、ベテランの女性が数人で切り盛りしています。お姉さんたちは皆さん明るく上品で、とても美人さんです。

厨房を囲むL字のカウンターとテーブルが5卓というつくり。キャッシュオンスタイルで、お酒や料理をその都度の支払いで購入し、思い思いに楽しむというかたちです。

 

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カウンターの一画はずらりとその日の摘みが並んでいます。ここから食べたいのをひょいと持ち上げれば、あとは加熱調理や薬味を載せるなどはお姉さんが仕上げてくれます。築地から毎日仕入れる食材は、海鮮を中心に旬を反映したもので種類豊富。一番高いおつまみでも350円ほどと、毎日飲みたい人にも嬉しい価格設定。ボリュームもしっかりあるので満足度は価格以上です。

 

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生ビールもなんと350円。しっかりサイズのサッポロ黒ラベルが用意されています。このビール、ご覧の通り洗浄もばっちりです。黒ラベルの樽生ほど環境によって味が変わるビールも珍しいのではないかと思いますが、立ち飲みでこんなの出てきたら惚れちゃいますよね。

では乾杯。

 

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厚さ一寸ほどある、かなり大きな鮭の塩焼きも300円。予め焼いて皿に盛られていますが、タイミングが良いと焼きたてを供してくれることもあります。鮭で飲むのが大好きな筆者、もうこれで黒ラベルは何杯でもいけます。

日本酒や焼酎も300円から450円くらいとリーズナブル。というのも、母体は酒販店で、”酒屋がその場で飲ませる店を角打ち”という、広義な意味で言えばここも「角打ち」に含まれるわけで、お酒が安く種類豊富なのも納得できます。高清水や一ノ蔵など、大きな酒造の定番が並びますが、どっしり構えた酒造のお酒のほうが似合います。

 

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夕飯的な用途も含めて飲みに立ち寄るならばとん平焼きがおすすめです。ボリューム満点、たっぷりのキャベツを豚と玉子で包んだ鉄板料理です。タイミングが良く、ちょっと待てば作りたてを出せるよということで、ほくほくの状態ででてきました。合わせるお酒はポッカサッポロの玉露緑茶で割った、酒場でおなじみの緑が強い「緑茶割り」です。

 

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キャベツが中心なので重たくもなく、ビールやチューハイを飲み進めるのには十分な役者です。

 

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パンチレモンサワーをもらって、暮れゆく日本橋小伝馬町の路地を眺めながら飲む。酎ハイ類も300円とリーズナブル、驚くのは瓶ビールはキリンラガー大びんで450円。小伝馬町界隈の飲み屋ではおそらく最安値です。もちろんお通しもないので、お酒2杯におつまみちょっともらって、大満足でせんべろ飲みが叶います。

40代以上のスーツ姿のお客さんが中心で店の雰囲気は騒がしくなく、いかにも小伝馬町らしい酒場の風景です。わいわい飲む最近の激安酒場とは違う、昔ながらの一杯飲み屋の落ち着きがここには残っています。

オープンから22年、すっかり小伝馬町の夕暮れにはなくてはならない店として溶け込んでいますね。その以前から酒屋として使っていた建物ということもあり、老舗好きにもおすすめできる雰囲気が随所に感じられます。

ごちそうさま。

 

(取材・文・撮影/塩見 なゆ)

 

さかばやし
03-5695-2705
東京都中央区日本橋大伝馬町4-1
16:30~22:30(土日祝定休)
予算1,800円