大島「鳥久」 地元に愛される穏やか酒場、鶏も魚も優しい美味しさ

大島「鳥久」 地元に愛される穏やか酒場、鶏も魚も優しい美味しさ

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皆さん、個人経営の居酒屋に事前の情報を持たず、通りがかりの際の一瞬の気付きで暖簾をくぐることはありますか?

いまはインターネットでなんでも調べられる時代。たいていの飲食店は口コミサイトに情報がでています。さらには、居酒屋が好きな方ならば、その道の達人が書いているブログを見ながら「ここに行きたい」となって、目的の酒場を目指すのではないでしょうか。

でも、そんなお店のことを知らないまま、自分の「はっ、ここいいかも」という感性だけを頼りに、まさしく「飛び込み」してみるのも実はとっても楽しいんです。好きな飲食店の方向性って、日々飲み歩いてくると共通点が見えてくるじゃないですか。そうしてこれまで蓄えた「イイ店の条件」が正しいかどうかを飛び込みで試すのです。

私が飛び込みで店を巡っているとツイッターに書いたところ、「なゆさんはメーカーや飲食店同士の、いわゆる業界情報で飲みに行っていると思ってた」と書かれてショック。私だって好きなお店は自力で見つけ出すんですよ!(笑)

前置きが長くなりましたが、今回はそんな事前情報なしで飛び込みで入ったら、実に素晴らしく通いたくなる銘店だったというお話。大島の「鳥久(とりきゅう)」をご紹介します。

 

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良いお店の条件、皆さん色々お考えをお持ちと思います。私の場合は一言で言えば「熱量」です。人が集い、料理やお酒が売れていれば自然と店構えにもそれが現れてきます。つまり、そこには熱源がある。メートルが上がった先輩たちの体温、お燗器の湯気、焼き場の炎。それがあればほぼハズレ無し。

さらには、看板、暖簾、入り口の3箇所がピシっとしていればなお良し。砂埃のついていない看板があるお店は自信をもって開けられます。

業界紙では、「店先に通函を置くな」なんて書いてありますが、私の場合は、これも大切な目印にしています。いいお店はお酒が売れている。だからビールの樽も必然的に大きいタイプになる。10L樽なのか20L樽なのかは気にします。

 

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ということで、ここ鳥久は、キレイな立て看板、パリっとした暖簾、20L樽、店先で感じる熱量。条件が揃っていましたので、ハズレ無しと判断し入ったわけです。そしたらもう、そこはパラダイスでした。

まじめ、実直だけど優しさ溢れるご夫婦が切り盛りされている鳥久。お店の雰囲気は大将が作るもの。それに合わせてお客さんもいい人が集います。常連さんは地元の酒場通のおじさまが中心で、みんなキリっとした飲み方をされています。

 

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黒板メニューには豊富な海鮮がずらり。イワシにカレイにホタルイカにカツオに、まだカキフライも美味しそう。刺身の種類が多いということは、それだけ回転しているということ。もう間違いありません。

 

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お刺身や一品料理は500円前後とリーズナブル。カウンターに座ってゆったり飲めるお店でお財布に優しいときたら、それは通うよね。

 

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看板料理の焼鳥をいただきましょう。シロやカシラなどのもつ焼き(豚)と鶏の両方を種類豊富に揃えています。1本130円ですが、一般的な100円もつ焼きよりもポーション大きめ。このあたり、シビアに見る方も多いので念のため。ボリュームよりもなによりも、串打ちが丁寧で絶妙な焼き加減。新鮮さが伝わる立派な焼鳥が嬉しい。

 

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地域柄、ここにもあります。下町の老舗の顔、元祖酎ハイ。琥珀色の謎のエキスがはいった色付きのチューハイ。こちらはちょっと甘め。配合は…と書くのは野暮なので、ぜひ飲んでみてください。

 

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鶏皮もご覧のとおり、たっぷりぎっしりと串打ちされています。詰まっているので表面はカリカリに、中はふっくら。甘さの主張がやや強めのタレと皮の脂の旨味があいまって最高のお酒のつまみになります。

 

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腕自慢の大将がつくる名物料理、つくね(160円)。かなり大ぶり、そしてモチモチとした食感の中に鶏の肉汁がたっぷり。これは必ず頼むべき私のイチオシです。

手間がかかるつくねがこのボリュームでこの値段。東京のつくねファンは都心から都営地下鉄新宿線に乗ってでも訪れるべき。

いいお店です。今年一番の飛び込みで発見した名酒場。まだまだ知られていないのですが、あんまり流行ると雰囲気も変わってしまいますし、ここはこっそりと紹介しておきたい…

ごちそうさま。

 

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(取材・文・撮影/塩見 なゆ)

鳥久
03-3681-7751
東京都江東区大島5-8-3
夕方~(平日は営業)
予算2,000円